Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

巨大ITのハードウェアたち FBのスマートウォッチの噂

 

 世界がコロナ渦に苛まれているというのに、何もこんな時期に物騒なことを引き起こすることはあるまいと思うが、そうはならない事情が何かあるのだろうか。

 ロシアが、EU欧州連合経済制裁を科してくるのであれば、関係を断絶する用意があるとラブロフ外相が述べたとロイターが報じる。

ラブロフ外相はEUとの関係断絶に向けて動くかとの質問に「われわれは(それに向けた)準備ができているとの事実から前進する」と説明。「われわれはグローバル社会から孤立することを望まないが、それに向けた準備を整えなければならない。平和を望むなら戦争に備えろということだ」と述べた。 (出所:ロイター)

jp.mobile.reuters.com

 もう少し穏便にことを構えることはできないのだろうか。

 

 

 ミャンマーではクーデターが起き、軍が権力を掌握する。そのミャンマーで、フェイスブックミャンマー軍のコンテンツ制限、偽情報と見なす対応とブルームバーグが報じる。

 米ソーシャルメディアは多くの場合、政治的紛争において一方に肩入れすることを避けるが、フェイスブックは今回、ミャンマー軍が発信する説明の配信を停止するという直接的な措置を取った。フェイスブックは軍情報部および軍報道官による利用を制限。

さらに、「軍のコントロール下にあり偽情報に関する当社の方針に繰り返し違反するその他のページについても、同様の措置を取る」と表明した。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

 かつてのクーデターと言えば、真っ先に放送局などを占拠したものだが、さすがにフェイスブックを占拠するとはいかない。事態がこれ以上悪化しないことを祈りたい。

 権威主義にとって、インターネットとは厄介な存在なのだろうか。

 

 

 インターネットの寵児、巨大IT企業となったGAFAの動きが目まぐるしい。

 そのフェイスブックが、スマートウオッチ開発、健康機能など搭載し来年発売とロイターが報じる。FBも本格的にハードウェアに参入してくることになるのだろうか。

jp.reuters.com

 

 アマゾンはCEOが替わり、一方で、環境負荷を軽減する取り組みの一環として、圧縮天然ガス駆動の配送車700台超を発注したという。

 ロイターによれば、新型コロナウイルス感染拡大の影響で宅配事業が急拡大し、乗用車に比べ温暖化ガス排出量の多い大型トラックの利用が増加している問題に対応するためだという。リビアンのEVトラック10万台を導入するというのに、そこまでやるのかと感じる。

jp.reuters.com

 

 アップルのEV「アップル・カー」も話題持ちきりだ。果たして提携先はどこになるのだろうか。

 

 

「アップルは何も共有しない。アップルから得られる恩恵は唯一、数の多さだけだ」と指摘する専門家の声をCNNは紹介する。

技術の共有や緊密な協力を抜きにした取り引きでは、自動車メーカーは台湾の電子機器受託大手ペガトロンやフォックスコンと似た状況に陥る可能性がある。2社はiPhoneの組み立てを行っているが、巨額の利益は獲得していない。 (出所:CNN)

 同じビジネスモデルを踏襲することは、主要自動車メーカーとしては避けたいところだろうとCNNはいう。

www.cnn.co.jp

 果たしてそうなのだろうか。主導権を取れれば、それに越したことはないが、いずれアップルが参入していることが必然となるのであれば、手を組んで、数量を上積みした方が得策ではなかろうか。仮に薄利であっても、今よりは益は増える。数量が増えれば、資材調達を含め有利になることはなかろうか。

 CNNは、ホンダや日産、ステランティスBMWの名前も挙げ、より小規模な自動車メーカーならアップルとの提携をより受け入れやすい可能性があるという。

 

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 益々GAFAが巨大化していきそうな勢いである。今後の規制当局との争いはどう進展していくのだろうか。

 今はGAFA対抗を考えるよりは、まずはうまく付き合い方法を考えた方がいいのだろう。もしかしたら、その先に大いなる機会が生まれるのかもしれない。

 

 「関連文書」

dsupplying.hatenadiary.com

 
dsupplying.hatenadiary.com

 

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コロナ診断の最前線 アップルウォッチに探知犬、接触確認アプリ「COCOA」

 

 新型コロナ陽性者との接触を知らせるスマホ用アプリ「COCOA(ココア)」の不具合が4カ月以上も放置されていたという。前政権肝入りだったはずの施策にしてはずいぶんお粗末な話だ。

 それに反して、新型コロナウイルス探知犬が鋭い嗅覚を使って「コロナ臭」を嗅ぎ分けるという。ロイターによれば、人間の唾液の検体から94%の確率で感染者を識別できるという。

jp.reuters.com

 国内のデジタル技術よりも犬の嗅覚の方が鋭いのかと知ると、「COCOA」の顛末にはがっかりする。

 

 

 

犬がコロナ感染者を見つける

 米国では、NBAの試合に探知犬が導入されたとYahooニュースが伝える。news.yahoo.co.jp

それによれば、新型コロナウイルス探知犬は、すでにアラブ首長国連邦フィンランド、チリなどの空港で導入され、探知率はPCR検査とほぼ同レベルとの調査結果もあるという。 

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アップルウォッチがコロナを検出する?

Apple WatchPCR検査より1週間早く新型コロナの陽性診断予測可能、マウントサイナイ医科大学発表」との記事をTechcrunchが出す。

 それによると、Apple Watchをはじめとしたウェアラブルハードウェアにより、現行のPCR検査よりも最大1週間早く新型コロナウイルス(COVID-19)の陽性診断を効果的に予測できることが、「Journal of Medical Internet Research」に査読済み論文として発表されたという。

この研究の実際の医療現場への影響について、この研究の著者らは結果を予測し、リスクのある他の人々から個人を分離するのに役立つと述べている。最も重要なことは、これにより遠隔で行う手段が提供されることで、介護者は身体検査やPCR検査を行うことなく新型コロナウイルスの発症を予測または検出できるようになり、発症が疑われるリスクの高い状況下において予防措置を講じるのに役立ち、感染力が強くなる前に伝播を予防できる可能性がある。 (出所:Techcrunch)

jp.techcrunch.com

この研究は現在も進行中だという。躓くアプリ開発がある一方で、さらに様々な研究がなされ、コロナの検出や追跡が別な手法で可能となっていく。

 

 

COCOA」の顛末

「歴史に残る失態。痛恨の極みだ」と、話すのは当時IT担当の副大臣として陣頭指揮を執った自民党平将明氏。

接触確認アプリの開発に当たって、致命的な不具合を防げなかったことについて、政府内に専門の知識や技術を備えた人材が不足している現状に課題があると話しているとNHKが伝える。

厚労省は、コロナ対応で多忙を極めている上、IT関係にはあまり強くない役所だ。業者任せにならないようにするには発注者側にもかなりIT技術がわかる人が必要だが、定員や予算の縛りがあり、十分ではなかった。政府は今まさにデジタル庁をつくるべく進めているが、その問題意識の1つが顕在化してしまった」 (出所:NHK) 

www.nhk.or.jp

 さらに、NHKは「アプリ開発には改修がつきものだが、委託された業者側がアプリの保守管理体制を確立できたのは、去年6月のアプリの運用開始から1か月半後だった」と指摘する。その理由について、業者側は「ほかのアプリ開発の仕事もあるなかで、人繰りの調整が必要だった」と取材に答えたという。

 随分お粗末なメーカ選定と言わざるを得ないのだろう。

 厚労省から開発を委託されたのは「パーソル&プロセステクノロジー(東京都江東区)」。同社は日本マイクロソフトとFIXER(東京都港区)に再委託したという。Med IT Techによれば、この開発予算が9460万円であることが明らかにされているという。この費用は実際に支払われているのだろうか。

 

 

 さらに、Med IT Techは「模擬テストだけで、実機によるテストをしていなかった」と話した田村厚生相の疑問を投げかけ、「開発チーム」が存在するのか疑いたくなるという。

medit.tech

 昨年6月23日のITmediaNewsは、開発経緯を説明する。

 厚労省が開発を主導すると決まったのは5月8日。25日には、安倍晋三首相が全国の緊急事態宣言を解除する記者会見の中で、同アプリを「6月中旬に公開する」と明言した。

廣瀬さんはTwitterで、「5日前にAPIの仕様が変わろうと、実装が変わろうと、何があっても3週間で完璧なものを作り上げろと言われ、(それで不具合が出たら)へっぽこエンジニアの烙印を押されるわけだ……」とこぼす。 (出所:ITmediaNews) 

www.itmedia.co.jp

  記事を読むとアベノマスクを彷彿させる。こんなことの繰り返しでは、コロナ対策どころか、日本の経済が歪な構造になり、今ある苦境に陥ることも容易に想像できてしまう。もしかしたら氷山の一角なのかもしれないと思いたくなる。国が発注するデジタルやIT関連、さらにDX関連について疑いの目を向けたくなる。 

 利にばかり走る企業が蔓延るのはこういところにも原因があるあるのかもしれない

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 「関連文書」

www.itmedia.co.jp

 

ようやく始まるワクチン接種 その期待と心配

 

 米国が集団免疫を獲得するのは夏の終わり以降となりそうだという。ワクチンが早くから始まったが足元のワクチン不足の影響だという。

 ブルームバーグによれば、米国でのこれまでのワクチン接種は計4050万回。昨年12月に2種類のワクチンが利用可能になったものの、物流の遅れやワクチン不足で人口のごくわずかしか接種を受けていないという。

 また、イエレン米財務長官が、「労働市場は失速しつつあるようだ」と述べたとブルームバーグが伝える。

長官は低賃金労働者とマイノリティー、女性が最も厳しい状況に置かれているとし、景気減速が長期化すれば「恒久的」なダメージを被りかねないと指摘。「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだずっと先だ」と語った。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

 ブルームバーグによれば、十分な規模の積極的な追加経済対策パッケージが実行されれば、米国は2022年に完全雇用に復帰し得るとの認識を示したそうだ。

 なかなか厳しい現実がそこにある。

 

 「コロナ禍で「1日1食」、増える困窮者 備蓄米開放も不十分」とロイターが報じる。

 それによれば、コロナ禍の長期化で収入が減り、その日の食事にも困る人が増えているという。支援団体が無償提供する食事の利用者はこの1年で倍増、政府が備蓄米の開放を始めているという。しかし、そこには問題も多いという。

昨年初めにコロナの感染が拡大し始めてから、この1年で日本社会は様変わりした。コンサートやスポーツ競技など大型イベントは次々と中止に追い込まれ、飲食業や観光業は利用客が激減。帝国データバンクによると、コロナに関連した倒産は1年間で1000件に達した。生活困窮者は以前から増えつつあったものの、コロナ禍で職を失ったり収入が減り、その日の食事にさえ困る家庭や人々が急増した。 (出所:ロイター) 

jp.reuters.com

「昨年夏ごろまでは政府の特別定額給付金の効果もあったようだが、その後に生活資金が底をついた人たちが増えたと思われる」と話すセカンドハーベスト・ジャパンの芝田雄司氏の声をロイターは紹介する。非正規就業者やひとり親世帯などに加えて、正社員も残業代がなくなり、4人家族で生活するために食費だけでも節約したいといった事情の人がセカンドハーベスト・ジャパンの無償の食事提供に訪れているという。

 日本最大のフードバンク「セカンドハーベスト・ジャパン」は、複数の大学で食事の無償提供を始めているという。アルバイトができなくなり、生活ぎりぎりとなる大学生たちがいることが理由のようだ。

 

 

 厳しく、悲しいコロナの現実がそこにある。 

「この国の福祉制度は全ての国民をカバーしていると言う。制度的にはそうかもしれないが、実際にはそうはなっていない」とセカンドハーベスト・ジャパンのマクジルトンCEOは指摘しているとロイターはいう。 

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 来週からワクチン接種が始まるという。集団免疫を獲得するまでにはどのくらいの時間がかかるのだろうか。その間に経済が疲弊しないか、少しばかり心配にもなる。手厚いセーフティーネットの再構築と、単なる観光や飲食の需要喚起にならない経済対策が必要になっているのだろう。

 結局、みなが希望を持ち、もっと積極的な心構えになれれば、この困難を乗り越えていけるのかもしれない。しかし、現実には混乱、不安を煽るような行為が横行し、人々がなかなか希望をもつことができていない。

 そろそろ場当たり的な行動制限ばかりでなく、感染症に対する安全・安心を確立していくべきなのだろう。そうしなければ、苦境を乗り越えることができそうにもない。医療提供体制の安心、飲食、移動に対する安心・安全、セーフティーネット、安心・安全を早急に企業、国民との間で作り出していく、そうした強い姿勢を行動をもって示していかないと何も変化が変わらないような気がする。

 

 

 長き渡るに政治的愚行、もっと言えば政治を私物化した愚行が政治不信を醸し出した。しかし、一方で国を憂い、この国難を乗り越えていくためには、心のどこかで政治的なリーダーシップに期待しているのだろう。そして、それが心根とは逆についつい批判として現れる。

 政治家には自らの政治信条もあろう、しかし、国民のそうした隠れた期待に応えていくという姿勢が伝わらなければ、いつまでも何にも変化は起きない。そればかり、さらに不信がさらに募り事態は悪化していく。そうしたことが政治家である自分の「恥」であることに気づいてもらわなければならない。

  コロナを克服するということが大義名分、大きな目的であることを伝え理解してもらうためには、批判されることは覚悟の上で、愚直に繰り返し、繰り返し、行動していくしかないのだろう。

 求められているのはみなが理解できる「善行」なのかもしれない。その中には対話も含まれている。

 本人が気づかずにいる些細な信条が混乱を引き起こす。それを改める勇気があれば、国民の期待に応えることができるということであろう。もし、それができないのであれば、もう退場いただくしかない。そろそろ限界が近づいているような気がする。

 

半導体不足はなぜ起きたのか、その深層は 考察その2(台湾TSMCの日本進出)

 

 過度に自国産業を保護すべきという気はないが、十分な雇用を維持できる産業規模は必要だと感じる。このコロナ渦だから尚更そう感じるのかもしれない。多くの人が職を失っているが、それを受け入れるだけの雇用機会があるのだろうかと少しばかり不安になる。

 そんな中、半導体ファウンドリー(受託生産)で世界最大のTSMC(台湾積体電路製造)が日本に開発拠点をつくる話が進んているという。

 

 

 

要素技術が魅力なのか、台湾TSMCの日本進出は

 日本経済新聞によれば、日本では半導体の「後工程」パッケージ(封止)作業などに関連する開発を主に手掛けるという。

日本は世界でも有数の装置メーカーや素材メーカーが集まる。TSMCはこうした日本企業とは、既に台湾で連携を進めている。ただ先端の半導体開発を急ぐには、一段と関係を深める必要があると判断したようだ。 (出所:日本経済新聞

www.nikkei.com

 TSMCは現在、海外初となる先端の半導体工場を米国に建設するため、準備を急いでいる。日本にも先端の開発拠点を設けることで、今後は日米台の強みを効果的に活用し、現在、世界最大手である優位性を今後も堅持したい考えだと日本経済新聞はいう。

 

いつまで、そしてどこまで広がるのか半導体不足 

 一方、このコロナ渦にあって、半導体が世界的な不足に陥り、あらゆる業界でその需要を満たしきれていないという。Gizmodoは、このコロナ渦が「ラップトップやモニター、ウェブカメラなど、「第2次消費者向けガジェットブーム」を誘発しているという。

 多くの人がステイホームを続け、より恒久的なホームテクノロジーソリューションが求められていると指摘する。この半導体不足の影響を受け、2021年前半は引き続きガジェットや自動車の品薄状態は続くとみる。

www.gizmodo.jp

  ブルームバーグによれば、ミベアミツミが、半導体不足の影響が航空業界を含むさらに多くのセクターに広がる可能性を示唆、貝沼由久社長はアナリストとの電話会議で、「需要がわれわれの予想より早くいろいろなところで湧き出ている」と語ったという。

 

 

 自動車業界における半導体不足はさらに深刻のようだ。「ゼネラル・モーターズ(GM)は今月、北米3工場の操業停止を余儀なくされ、フォード・モーターは短期的な20%の生産削減の準備を進めている」とブルームバーグが伝えた。国内メーカも同様に減産を強いられるが、唯一トヨタがその影響をミニマイズ化できているようだ。 

www.bloomberg.co.jp

 

営業利益2兆円 減産しないトヨタの強み

 そのトヨタが2月10日、2021年3月期通期の業績予想を発表した。連結営業利益を2兆円になるという。

 ITビジネスONLINEによれば、世界的な半導体不足の影響については、現時点で「減産になることはない」としながらも、リスクに備えて状況を注視していくという。

 日本経済新聞は、ルネサスエレクトロニクスとの関係性を指摘し、東日本大震災を教訓に「供給網全体で半導体在庫を手厚く持つようになった」も影響を限定的にしたようだという。

 

 

今回の代替調達は震災でルネサス製の半導体供給が止まったとき、完成車メーカーが復旧支援に駆けつけた「信頼関係が作用した」(トヨタ幹部)という。トヨタデンソールネサスにあわせて約11%出資。デンソーは18年に出資比率を引き上げ、このとき半導体の重要性が高まることを念頭においていた。 (出所:日本経済新聞) 

www.nikkei.com

 電機メーカに勤め資材調達を仕事にしていた身からすれば、調達リードタイムが長く市場キャパが潤沢でない半導体を戦略資材とするのは当たり前のことであった。それでも、今足元多くの電機メーカでさえ十分な半導体を確保できていない。機械加工が主だった自動車メーカが苦慮するのは当然なのかもしれない。

 自動車が一段と高知能化し、技術的に複雑化するにつれ、フォード・モーターフォルクスワーゲン(VW)といった金属加工が伝統的強みの自動車メーカーにとって、リスクが顕在化した。ソフトウエアと半導体の専門知識がより豊富な自動車メーカーはこうした潮流を乗り切りやすいが、これら伝統メーカーの場合は供給面の問題に潜在的に見舞われやすい。 (出所:ブルームバーグ) 

 また、自動車メーカーが「『リーン生産方式』に非常に固執しており、在庫を低水準に保ってコスト効率を高めている」ことも指摘する。

www.bloomberg.co.jp

 

まとめ

 この半導体騒動を見ていると、国際分業の流れに乗り台湾系のファウンドリーやEMSばかりを活用してきたことがよかったのだろうかのかと疑問も沸いてくる。結局はそれによって一局集中を招き、あらゆる産業が市場の需要を満たすことができない事態に発展した。

 この先、サプライチェーンを見直す動きにつながっていくのだろうか。もし仮に見直すのであれば、トヨタルネサスの関係性のように相互に助け合うことができるようになっていくことが望ましいのかもしれない。

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 今回の台湾TSMCのつくば進出がそんなことを考えるきっかけになればいいし、こうしたことで国内の雇用機会になればいいのかもしれない。

 

dsupplying.hatenadiary.com

 

「参考文献」

www.itmedia.co.jp

社員の「善意」と会社のしくみ ANAの機内食通販が人気に

 

『アマゾンの正論「善意は役に立たない」を理解しない日本企業、DXで赤っ恥は確実だ』、過激なタイトル名の記事を日経XTECHが出す。読んでみれば、なるほど納得はする。

「Good intention doesn’t work, only mechanism works!」

とは、アマゾンの取締役会長に退いたベゾス氏がよく口にするモットーだそうだ。

「善意(良い意図)は役に立たない。仕組みだけが役に立つ」と記事筆者は訳し、アマゾンだけでなく、全ての米国企業、いや世界中の企業がそれぞれの「仕組み」によって、自らの事業を運営しているという。

 

 

 さらに、「日本企業は勝手にやっている現場の集合体」という。これまた随分過激なものの言いようだ。記事筆者は全社的な仕組みがまともではないのだと指摘し、勝手にやっている現場は従業員の「善意」で満ちあふれ、部分最適や属人化を招いているという。

業務の遂行に必要な機能やプロセス、ルールなどがきちんとそろっており、標準化され明文化されていなくてはならない。機能は細かく分割されて各部署に割り付けられ、さらに細分化されて個々の従業員に割り当てられる。そして、それらをうまく連携させるための標準化されたプロセスやルールが存在する。これこそが仕組みであり、まさに全体最適だ。

(出所:日経XTECH) 

xtech.nikkei.com

 中堅社員になりたての頃、上司が変わった。新しくやってきた上司はトヨタの生産システムの信奉者だった。属人的な仕事は止め、システムで仕事をできるように変革しろとの指示が飛んだ。まずは小さな職場からの変革だったが、やがてそれが拡がりをみせ、それで事業部が変っていったのかもしれない。栄華は長く続かないが、それでも一時は会社でトップクラスの利益を叩き出し、事業本部まで駆け上がった。小さな職場での取り組みが礎になり、それが花開いたのかもしれない。まだ、デジタル化やDXデジタルトランスフォーメーション、そんな言葉とは縁遠い時代のこと。

 

 

 記事はまともな主張、正論をいう。

 個々の従業員に割り当てられる機能は当然、従業員に分かるように明文化される必要がある。これをジョブディスクリプション(職務記述書)という。ちなみに、このジョブディスクリプションに基づいて働く雇用制度がジョブ型雇用だ。従って、従業員に求められるのは、職務(=機能)を果たすために必要な能力であり、間違っても「善意」ではない。もちろん、おもてなしが職務として記述されているのなら、善意ではなく機能として、おもてなしをする必要はあるが。 (出所:日経XTECH)

 確かに、事業が一時の勢いを失い、コア事業から外され、他社と合弁して新会社を作ることになった。どちらも大手であるが、どちらの会社のしくみ、システムを使うことができず、一から作ることになった。当時のどちらの事業部のトップもあまり仕組み作りには熱心ではなかった。部分最適になり、仕事が属人化するようになった。筆者が指摘する通り、個人の善意に頼ることになっていたのかもしれない。

 外部環境の変化もあったが、その新会社は7年あまりで幕を閉じることになった。

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 ANAが、コロナ渦で国際線の多くが運休する中、少しでも収益を生もうと、国際線機内食の通販を昨年2020年12月からスタートしたという。1月までに約7500セット、9万食を売り上げており、ヒット商品と言っても過言ではないだろうとAviation Wireはいう。

 

www.aviationwire.jp


 社員の善意で始まったことなのだろうか。それとも「仕組み」があって、その上に善意が花開いたのだろうか。 

 コロナ渦である。善意を活かすために、「仕組み作り」が求められているのかもしれない。

www.astyle.jp

 

アップルがEVを作れるかという疑問

 

 アップルのニュースが尽きない。アップルカーを韓国現代グループのKIAが作るのではとのニュースが流れたかと思うと、早速、それを否定する記事がでる。

アップルはコメントを控えた。

現代自動車は今年1月、アップルと自動運転のEVを巡る開発協力で協議中との報道を認めた当初の発表文を修正し、アップルへの言及を削除した。

この発表や協議に関するその他の報道にアップルは不快感を抱いたという。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

 アップルと現代自動車の協議が再開するかどうかや、その時期は不明とブルームバーグはいう。車両を大量生産する能力を有する世界的な自動車メーカーの数は限られ、そのうち何社がアップルとの提携に関心を持つかも不明だとも指摘する。

 

 

秘密主義

「アップルからの打診はない」と、スズキの取締役が話したとロイターが伝える。こうしたことまでがニュースになる。

 SUBARUの取締役も、スズキ同様に「今のところ何も聞いていない」と述べたという。

jp.reuters.com

 ロイターによれば、5日付の日本経済新聞が、サプライヤー幹部の話として、日本メーカーを含む「少なくとも6社くらいで交渉が進んでいる」と報じたという。

 

ものづくり 

 MotorFanがアップルの自動車産業参入の問題点を指摘する。

「生産委託という手はある」。

自動車を作ったことのない企業が「工場を持ちたくない」との理由で生産委託すると、過去の例では事業は長く続かなかった。

ファブレスはコンピューターや家電の世界では当たり前だが、市場での不具合をすぐに生産にフィードバックする体制や「現場での日々の改良」をどう契約の中に盛り込むかは、よほどツーカーの仲にならないと難しい。量産しながら改良するというランニングチェンジは、自動車では当たり前だ。 (出所:Motor-fan)

motor-fan.jp

 電機業界のものづくりの現実を知らない意見でしかない。

 ものづくりの世界ではあまり業界の差はないかもしれない。少なくとも自分がいた電機会社2社はそうだった。ものづくりの基本をトヨタの生産方式にまなび、差があるとすれば、その安全基準だけではなかろか。

 

 

これがアップルの現実か

 36KrJapanが中国側からの視点でアップルの生産についてレポートする。

フォックスコン(富士康科技集団)がアップル向けの製造ラインで使っている製造設備の20〜50%はアップルから提供を受けたものだ」と36KrJapanは指摘する。

 工場の敷地と建屋、従業員は生産委託先EMSに帰属しているが、あたかもそれを自社工場と同じように扱うことでアップルの意匠性と品質を作ることができるといっていいのかもしれない。実際に、アップルから設備貸与を受けた企業から話から感じたことでもある。

アップルは自身のサプライヤーから調達したシステムをあてがうことで、受託製造を行う企業の一挙手一投足を監視している。

中でも最も知られているのは、アップルが多額を投資したERP(企業資源計画)システムだ。システム内でアップルは部品サプライヤーから組み立て工場、販売店までの一連のデータを管理している。

ティム・クックCEOのパソコンからは、各部品の製造数、各製造ラインの稼働状況、各工場の歩留まり率まで、世界中のサプライヤーの当日の運営状況が確認できるのだ。 (出所:36KrJapan)

36kr.jp

 さらに、小型音響部品を製造する「瑞声科技(AAC Technologies)」を例にして説明する。

同社のアップル向け製造ラインでは、制御ソフトウェア、コンピューター、ERPシステムはいずれもアップルが提供したもので、ライン責任者のもとにはアップルから問題を指摘するメールが随時届く。

つまり、工場の建物と工員、一部の設備が瑞声に属する以外は、全てがアップルによってコントロールされているのだ。 (出所:36KrJapan) 

 仮にアップルがEVに進出するのであれば、同じ手法をとるのかもしれない。それが自らの強みを活かすことになるのだから。 

「中国にはサプライチェーンがあるが、イノベーションも開発能力もない」との見地に基づいて分業を図るのは、米中両国の製造業における特殊な現象だと36KrJapanは指摘する。

 アップルは、単に商品設計だけでなく、ものづくりにおける技術開発もすべて支配しているということなのだろう。たとえ生産現場を自ら持たなくとも、人任せにせず、加工技術も含め自ら要素技術も開発しているのだろう。そうでなければ、iPhoneのあの美しい筐体は出来上がらない。

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 「モノを作ることへの執着がなければ製造業にはなれない。アップルが生産委託で自動車事業を成長させるには、並大抵ではない努力と、多少の失敗を笑っていられるだけの資金がいる」とMotor-Fanは指摘する。

  

dsupplying.hatenadiary.com

 

 そのアップルは1時間あたり2万台のiPhoneを売るまぎれない製造業の会社である。大量に安定して同じ品質でつくることは自動車とはまた違った苦労もあるというものだ。謙虚にものづくりをするメーカは安全確実にものづくりを進めるものだ。決してばくち打ちのようなものづくりのまねは絶対にしないはずだ。

 
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コロナとあと7年 ブルームバーグ予測から考えること

 

 「普通の日常が戻るまであと7年か-現在のワクチン接種率から判断」とブルームバーグが報じる。収まらないパンデミックを憂慮している最中のこの報道には驚く。

あと7年

 少し長すぎはしないだろうか。

 ブルームバーグによれば、事態が正常に戻るには、ワクチン接種率が70-85%になる必要があるという。1人当たりワクチン2回接種での接種率75%を目標に設定して、ブルームバーグのワクチン・トラッカーで世界の状況を調べると、一部の国が他国よりはるかに急速に前進している実態が浮かび上がるという。

世界で最も接種率の高い国であるイスラエルは、わずか2カ月以内に75%の接種率を達成する勢いだ。米国は2022年正月までにこの水準に到達する見込み。裕福な先進諸国でのワクチン接種が世界の他の地域よりも急速に進んでいる状況を踏まえると、現在のペースでは世界全体で7年を要する見通しだ。 (出所:ブルームバーグ) 

www.bloomberg.co.jp

 ワクチン確保が遅れる。自国でもワクチン開発ができない。少しばかり焦りも感じたりする。  

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蔓延る相対的貧困

 『コロナ禍で見えてきた「豊かな日本」の隠れた貧困』と題したAFPの記事が気になり出す。AFPによると、過去6か月で50万人が失業しているという。その波及効果が国内に広がっているという。

「世界第3位の経済大国・日本では、新型コロナウイルスの感染拡大ペースはこれまでのところは比較的穏やかだ。他国で行われているような厳格なロックダウン(都市封鎖)は実施されてこなかった。失業率も3%以下で、社会のセーフティーネットが盤石という評判のある日本は、コロナ禍の経済面での影響を難なく乗り切るとみられている」とAFPは指摘したうえで、現実との乖離をレポートする。 

 日本では、200万円以下の年収で生活する人が1000万人を超え、6人に1人は「相対的貧困」に該当する。これは、所得が国内の等価可処分所得(手取り収入などを世帯人数で割って調整したもの)の中央値の半分(貧困線)に満たない状態のことで、国の一般的な生活水準と比較したときの困窮者人口の割合を示す指標だ。 (出所:AFP BB NEWS)

www.afpbb.com

 新型コロナウイルスの影響を受けた倒産が全国で1000件に達したと、帝国データバンクが公表した。1000件の負債総額は3825億5400万円で、負債1億円未満の小規模倒産が530件(構成比53.0%)を占めているという。

 業種別では「飲食店」が最も多く、飲食店向け工事が減少した「建設・工事業」が続く。

 

  AFPは、「就業者の40%前後が、低賃金で契約を簡単に解除できる「非正規」の仕事に就いている」という。こうしたことも影響しているのだろうか。

 

巣ごもり需要

 総務省が5日、2020年の家計調査の結果を発表した。前年から5.3%減ったという。2人以上世帯の月平均消費支出は27万7926円だそうだ。

 日本経済新聞によれば、旅行関連や外食、衣料品などへの支出が大きく落ち込んだという。 

支出を品目別にみると、国内外のパック旅行費や宿泊代など「教養娯楽」が前年比18.1%減った。外出自粛で交通費が減り、「交通・通信」は8.6%の減少となった。「被服・履き物」は19.8%減。テレワークの広がりでスーツや婦人服の需要が低迷した。感染予防のため人との接触の抑制が求められた結果、交際費や外食費も年を通じて減少した。 (出所:日本経済新聞

 その一方で、巣ごもり需要で、テレビや空気清浄機、エアコンなどの販売が伸び、ふるさと納税も増えているという。

 アンバランスさがにじみ出る。長引くコロナ渦を考えれば、産業構造を変えていくことも求められるのであろうか。雇用の受け皿がないと厳しい局面からの脱出が見えてこない。

 

 

 政府が推進する「脱炭素」「循環型経済」で新たな雇用は生まれるのだろうか。企業にもその責務が生じているはずだ。

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