「普通の日常が戻るまであと7年か-現在のワクチン接種率から判断」とブルームバーグが報じる。収まらないパンデミックを憂慮している最中のこの報道には驚く。
あと7年
少し長すぎはしないだろうか。
ブルームバーグによれば、事態が正常に戻るには、ワクチン接種率が70-85%になる必要があるという。1人当たりワクチン2回接種での接種率75%を目標に設定して、ブルームバーグのワクチン・トラッカーで世界の状況を調べると、一部の国が他国よりはるかに急速に前進している実態が浮かび上がるという。
世界で最も接種率の高い国であるイスラエルは、わずか2カ月以内に75%の接種率を達成する勢いだ。米国は2022年正月までにこの水準に到達する見込み。裕福な先進諸国でのワクチン接種が世界の他の地域よりも急速に進んでいる状況を踏まえると、現在のペースでは世界全体で7年を要する見通しだ。 (出所:ブルームバーグ)
ワクチン確保が遅れる。自国でもワクチン開発ができない。少しばかり焦りも感じたりする。
蔓延る相対的貧困
『コロナ禍で見えてきた「豊かな日本」の隠れた貧困』と題したAFPの記事が気になり出す。AFPによると、過去6か月で50万人が失業しているという。その波及効果が国内に広がっているという。
「世界第3位の経済大国・日本では、新型コロナウイルスの感染拡大ペースはこれまでのところは比較的穏やかだ。他国で行われているような厳格なロックダウン(都市封鎖)は実施されてこなかった。失業率も3%以下で、社会のセーフティーネットが盤石という評判のある日本は、コロナ禍の経済面での影響を難なく乗り切るとみられている」とAFPは指摘したうえで、現実との乖離をレポートする。
日本では、200万円以下の年収で生活する人が1000万人を超え、6人に1人は「相対的貧困」に該当する。これは、所得が国内の等価可処分所得(手取り収入などを世帯人数で割って調整したもの)の中央値の半分(貧困線)に満たない状態のことで、国の一般的な生活水準と比較したときの困窮者人口の割合を示す指標だ。 (出所:AFP BB NEWS)
新型コロナウイルスの影響を受けた倒産が全国で1000件に達したと、帝国データバンクが公表した。1000件の負債総額は3825億5400万円で、負債1億円未満の小規模倒産が530件(構成比53.0%)を占めているという。
業種別では「飲食店」が最も多く、飲食店向け工事が減少した「建設・工事業」が続く。
AFPは、「就業者の40%前後が、低賃金で契約を簡単に解除できる「非正規」の仕事に就いている」という。こうしたことも影響しているのだろうか。
巣ごもり需要
総務省が5日、2020年の家計調査の結果を発表した。前年から5.3%減ったという。2人以上世帯の月平均消費支出は27万7926円だそうだ。
日本経済新聞によれば、旅行関連や外食、衣料品などへの支出が大きく落ち込んだという。
支出を品目別にみると、国内外のパック旅行費や宿泊代など「教養娯楽」が前年比18.1%減った。外出自粛で交通費が減り、「交通・通信」は8.6%の減少となった。「被服・履き物」は19.8%減。テレワークの広がりでスーツや婦人服の需要が低迷した。感染予防のため人との接触の抑制が求められた結果、交際費や外食費も年を通じて減少した。 (出所:日本経済新聞)
その一方で、巣ごもり需要で、テレビや空気清浄機、エアコンなどの販売が伸び、ふるさと納税も増えているという。
アンバランスさがにじみ出る。長引くコロナ渦を考えれば、産業構造を変えていくことも求められるのであろうか。雇用の受け皿がないと厳しい局面からの脱出が見えてこない。
政府が推進する「脱炭素」「循環型経済」で新たな雇用は生まれるのだろうか。企業にもその責務が生じているはずだ。
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