Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

コロナ渦と脱炭素社会 アフターコロナの脱炭素社会を目指すANAの構造改革 

 

 コロナはいつになったら収まるのだろうか。コロナ渦による経済の影響ばかりが強調され、対策がワクチン頼りでは、やはり厳しいということなのだろうか。

 感染予防策として「換気は重要な課題」とする東京都は、中小企業の換気対策工事に対する補助制度を拡充するという。日本経済新聞によれば、工事費用の3分の2を補助し、上限額を200万円に引き上げる。対象も事業者単位から事業所・店舗ごとに広げるという。

 

www.nikkei.com

 

 感染症が抑え込まれていない状況下にあって、利用者の感情に訴え、良心に頼る景気刺激に限界はないだろうか。まずは公衆衛生、安心・安全な環境が不可欠のような気がする。

 政策によるミスリードはないのだろうか。前政権の空前絶後の景気刺激策ではなく、多くの事業者、店舗が公衆衛生に資する環境作りに参加できるような補助制度が必要になっているような気がする。それがあってからの刺激策でないと、いつまでも、感染拡大で街中が静まり、感染が下火になると街中に人があふれ、また、感染が拡大する。それでは、生きたお金の使い方になっていないように思う。

 

 

 

 未曽有のコロナ渦という時期に、前年並みの売上を求めること自体に無理はないだろうか。ないものねだりのような気がする。

 可及的速やかに回復したいとの気持ちは理解できるが、まず現況を受け入れ、環境の改善を優先させ、そこから回復を急ぐという方向にマインドリセットできないのであろうか。そうすれば、いつまでも同じことが繰り返されることはなくなるような気がする。

  政府が2050年のカーボンニュートラルを宣言することで、社会に少し変化が起きているようにみえる。コロナもまた同様な気がする。政策を見直することで社会の雰囲気に変化が起きるのかもしれない。

 

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落ち込んだままのGDPギャップ

 GDPギャップが7~9月期はマイナス6.2%だったという。日本経済新聞によれば、金額にすると年換算で34兆円。4~6月期の57兆円から改善したものの需要の不足が大きいという。

 GDPギャップとは、「需給ギャップ」とも呼ばれ、日本経済全体の需要、個人消費や設備投資を積み上げる実際の国内総生産GDP)と潜在的な供給力の差を示すという。

 

www.nikkei.com

 

 

 

 コロナ渦で苦境のANA 構造改革続く

 ANAは、こうした状況下、公募増資で最大約3321億円を調達するという。ブルームバーグによれば、新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念が高まる中、機材の購入費用などに備えるため追加の資金調達に踏み切るという。調達資金のうち2000億円をボーイング787型機の購入含む設備投資資金に使い、残りを長期債務の返済資金に充当するそうだ

 ANAによると、ボーイング 787の導入は、中長期的な成長原資として、需給適合対応力の向上と環境負荷の低減を実現する目的としているという。大型機のボーイング 777を中心に28 機を早期退役させ、中型機の787の導入により、国内線における需給適合対応力を高めることができるという。また、ボーイング 787は、従来型機と比較して燃料消費量、CO2排出量を約 20%削減することができるという。

 

www.bloomberg.co.jp

 

 コロナ渦の影響をまともに受け苦境に陥ったANA。早期の回復はないと見込み、それに合わせ、痛みを伴う構造改革を断行しダウンサイジングする。大企業であるがゆえにできることなのだろうか。しかし、そうした勇気ある決断がアフターコロナの成長につながるのかもしれない。

 航空業界ばかりでなく、コロナの影響を受ける他の業界も参考にしてもよさそうだ。ただ、それは中小企業にとっては厳しい選択になるのかもしれない。

 突如として降りかかったコロナという災禍で需要が蒸発した。それは誰のせいでもない。そんなときに、自らが生き残るためにと顧客を巻き添えにするようなことがあってのいいのだろうか。政策がそうしたことを誘発させているようなことがあれば、残念極まりない。

 

 

 

 一度、撤退すると再起するのが難しいのが今の日本なのかもしれない。この厳しい時期を乗り越えるために、一時的に撤退できる制度があってもいいのではないであろうか。誰もが容易に再チャレンジできるようになれば、また違った展開が生じるのかもしれない。  

 コロナ渦の経験を通してそんな寛容な社会になればいいのかもしれない。

 

 

カーボンニュートラルとEVの未来 気になるテスラ 

 

 米テスラがS&P500に追加されるという。これを受け、テスラの株価が上昇している。TechCrunchによれば、11月20日以降、テスラの時価総額は520億ドル(約5兆4300億円)以上増加し、時価総額は年初から5倍の5150億ドル(約53兆7900億円)にまで上昇しているという。

 

jp.techcrunch.com

 

 

 

ガソリン車と原油時代の終焉なのか

 ここ最近のニュースを見ていると、テスラ、そしてEVにとっては順風満帆のように見える。

英政府は17日、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止すると発表した。カナダのケベック州もガソリン車の新車販売を禁じる。

中国なども規制に乗り出しており、電気自動車(EV)など新エネルギー車の普及が進みそうだ。 (出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 ロイターによると、IEA 国際エネルギー機関が、中国の自動車販売でEVが占める割合を2030年までに40%、インドその他の新興市場では20%になると予想しているという。このIEAの予想は「控えめな」シナリオだという。

 このシナリオをベースにすると、世界の原油需要伸び率が2030年までに70%縮小し、「原油時代」の終焉が後押しされるとの調査結果をシンクタンクのカーボン・トラッカーが発表したという。

 

jp.reuters.com

 

 

 

EV時代の到来なのか

 2050年のカーボンニュートラルが世界の潮流になっている。日本を含め、既に約120ヶ国が宣言し、来年には米国も宣言するという。次世代エネルギーとして、水素に注目が集まり、水素を燃料とするFCVへの期待も高まる。

 一方、テスラのイーロン・マスクは、水素燃料電池を活用するFCVに冷ややかな目を向け、ブルームバーグによれば、今年6月には「燃料電池(Fuel cells)=ばかな売り物(Fool sells)」とツイートしたほどだという。

 イーロン・マスクの狙いは何であろうか。警告なのか、それともいつもの口撃なのか。それなりにFCVに脅威を感じるているのだろうか。

  

www.bloomberg.co.jp

 

今月2日に公表された(中国の)新エネルギー車に関する15カ年計画で、国務院は燃料電池サプライチェーン構築と水素を動力源とするトラックとバスの開発に軸足を置くことを明らかにした。 (出所:ブルームバーグ

 

 中国のFCV市場について、トヨタは乗用車よりも、トラック・バスが中心になるとみる。「これは政府の支援を受けた非常に大きなトレンド」と、トヨタのプロジェクトマネジャー吉藤知里氏が述べたとブルームバーグは紹介する。

 イーロン・マスクの発言は杞憂なのだろうか。

 中国は、2035年を目処に、すべての新車販売を環境対応車にする方向で検討するという。ガソリン車をゼロにし、新エネルギー車(EV、PHV、FCV)を50%にし、HV車が50%とする方針だという。

 中国の政策が、EVを含め世界の自動車市場の趨勢を左右することになるのだろうか。

 

国内 HVが主流か

 日本経済新聞によれば、英国の調査会社のLMCオートモーティブは、世界の新車市場におけるHVの割合は20年の7%から30年には26%に上昇すると予測する。

 その表れなのだろうか、日産は、新型「ノート」を発表、今後はHVハイブリッド車専用とし、ガソリン車の設定をなくすと表明したという。

 日本経済新聞によれば、星野朝子副社長は「日産はゼロエミッション社会をリードするため、電動化に(経営資源を)集中させる。その象徴がノートだ」と述べたという。

 

www.nikkei.com

 

 一方で、英国は、ハイブリッド車(HV)を排出ゼロの規制をクリアしたもの以外は35年までに販売を禁止するといい、独フォルクスワーゲンVW)など欧州系の自動車大手はEV対応を急ぐ。

 

テスラに死角はないのか

 脱炭素社会を目指す世界とって水素は次世代エネルギーになり得るのかもしれない。しかし、まだコスト問題など解決すべきも多々あるようだ。FCVは、まずは物流を担う大型トラックから普及が始まるという予測が穏当なのだろうか。乗用車について言えば、その後、水素インフラが整ってからの流れなのであろうか。

 

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(写真:トヨタ

 

 今しばらくは、減少が予想されるガソリン車の市場をEVとHVで浸食していくことになりそうだ。それでも、2030年時点でまだガソリン車が半数近く残るとの予想もある。

 EVとテスラの未来は視界良好のように思われるが、意外なところに落とし穴があるのかもしれない。

 ロイターが、「テスラが米誌信頼度で下から2番目に転落」と報じる。それによると、米有力専門誌が発表した自動車ブランド信頼度調査で、テスラは総合ランキングを前回から2ランク落とし、26ブランド中25位となったという。1月に生産を開始したSUVスポーツタイプ多目的車「モデルY」の品質に消費者から厳しい評価が下されたことが影響したという。

モデルYのオーナーからは、車体パネルがうまくはめ込まれておらず、修理が必要とされたことや、塗装の不具合などに苦情が寄せられた。 

コンシューマー・リポートの自動車検査担当シニアディレクター、ジェイク・フィッシャー氏は、モデルYの問題がなければ、テスラの総合ランキングがもう2つか3つ上だったと指摘。

新車の信頼度に疑問が出てくるのはよくあることだが、モデルYの場合、塗装やパネルなどごく初期段階で対処しているはずの基本的な問題が出てきたことに驚きを隠せないし、失望を感じると述べた。 (出所:ロイター)

 

jp.reuters.com

 

 そのテスラが11月24日、「Model Y」のリコールを、米運輸省の全米高速道路交通安全局(NHTSA)に届け出てたという。17日は「Model X」のリコールも届けていたとIT media NEWSが報じる。

 Model Yは、ステアリングのボルトが適切に締められていない可能性があるという。また、Model Xは、ルーフの化粧パネルの接続に不備があり、パネルが外れる可能性があるそうだ。

 

www.itmedia.co.jp

 

 製造上の初歩的なミスともいえそうな内容だ。こうした些細なことと思われることが、信頼を大きく棄損させることもある。

 良くも悪くも、今しばらく、テスラから目が離せないのかもしれない。
 

 

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苦境のパナソニック 「くらしアップデート」できるのか

 

 パナソニック構造改革が終わらない。経営体制が変わるという。2022年4月から持株会社制へと移行し、社名をパナソニックホールディングスに変更するという。各事業を分社、完全子会社化する。ホームアプライアンスなど5つの事業からなる新たなパナソニック株式会社と、現場プロセス事業、デバイス事業、エナジー事業の4つの事業会社が、今後のパナソニックグループの中核を担うという。

 パナソニックの津賀一宏代表取締役社長は、「パナソニックの存在意義は、事業を通じて、人々の暮らし、社会の発展に貢献し続けることである。これは今後も変わらない。今回の再編は、変化の激しい時代において、存在意義を全うするために不可欠なプロセスであると考えている」と語ったという。

 

 

 

「事業領域を絞り込み、高い専門性を持ち、社会やお客様に対して、他社には真似ができない、より深いお役立ちを果たす。これを私は『専鋭化』と呼んでいる。

スピード感のある環境変化への対応、さらなる事業競争力の強化に向けて、グループの基本構造を大きく変革する。

今回の体制変更により、各事業には大胆な権限委譲を行い、自主責任経営を徹底することで、事業の『専鋭化』を加速する。 (出所:c/net Japan)

 

japan.cnet.com

 

見えないパナソニックの未来

 言っていることは理解はできるが、どう人々の暮らしに役立ち、社会の発展に貢献するのだろうか。どんな未来を描いているのだろうか。

 c/net Japanによれば、楠見次期社長は次のように語ったという。コア事業は絞ったが、まだ成長戦略を描き切れていないということなのだろうか。

ホールディングスの役割はこれから考えていかなくてはならないが、ポートフォリオマネジメントを通じて、事業ポートフォリオそのものを専鋭化していかなくてはならない。

だが、それ以前にホールディング会社が、各事業会社の競争力を現場視点に立ち返って見極めて、徹底して現場の改善力を向上させるための支援ができるようなケーパビリティを改めて身に着けることが必要である。その結果、事業会社の現場に寄り添って、ともに収益を伴う成長シナリオを作っていくことができる。

今後のコアといえる事業は、そうしたことをやり切った上で、競合他社が簡単には追いつけないような強みを、1つか2つは持ち、その強みによって、社会やお客様への貢献力、スピードが担保される事業にしたい (出所:c/net Japan)

 

 

 

 お客様の暮らしに役立つというよりは、未だ自分たちのことしか考えられていないように聞こえてしまう。これからの脱炭素社会やウィズコロナの世界で、パナソニックは何をしてくれるのだろうか。

 2018年の創業100周年にあわせて打ち出した「くらしアップデート」については、「この言葉で、十分な議論と実践ができているのかという意味では、まだこれからである。

新たな組織では、主として人に向き合う領域で、くらしアップデートのビジネスを作っていくことになるだろう。人が中心となって価値を判断していく領域において、くらしアップデートの深堀りをしていくことになる。ただ、広い意味では、現場の課題を解決することによって、モノの流通が変わり、くらしがアップデートされることもある。

くらしアップデートの認識や方向性には間違いはないと思っている。人の視点で、くらしアップデートをしていくことが、これからの成長につながる」 (出所:c/net Japan) 

 

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  元々ある自身の強みや財産を活かすことはできないのだろうか。パナソニックならもっとできることがあるように思えてならない。

 「くらしアップデート」が良い存在意義ではないであろうか。IoT家電も登場し、様々な方向に進化する。従来とは違うメーカが家電の世界に台頭し、市場シェアを伸ばす。

 また、「マネシタ」と揶揄されてもいいのではなかろうか。そう揶揄されても、当時の「ナショナル」ブランドには絶大の信頼があったし、その販売力で市場を作っていく力もあったはずだ。

 

www.itmedia.co.jp

 

 

 

ソニーも経験した長年続いた構造改革の痛み、そして、その後... 

 ソニーも社長が代わり、「存在意義」を明らかにし、また様々な新しいことに挑戦するソニーに変わったように見える。EVに挑戦し、環境再生型農業を手がけ、トリポーラスという素材まで手を伸ばす。

 

www.sony.co.jp

 

 今のパナソニックを見ると、少し前のソニーを思い出す。

エレキ全体で分社化せず、テレビやオーディオ、半導体、カメラと、個別の事業ごとに分社する方針にしたのかね。

これはソニーの経営トップが責任を放棄できる体制だよね。事業部門ごとの子会社トップに意思決定を委ねて、失敗したら責任を取らせようという体制にしか見えないな。

そのうえ、隙あらば事業ごとに売却しやすいようにしているようにも見えるよね。そういう意図が透ける経営方針を出したもんだから、社員はがっかりしたし、ソニーのOBも残念に思った。 (出所:日経ビジネス

  

business.nikkei.com

 

 持ち株会社制に移行すると、事業の売買がしやすくなるとSankeiBizは指摘する。それによると、楠見雄規次期社長は、強みを持てない事業は「冷徹かつ迅速に判断して、ポートフォリオから外す」と明言したという。

 いつまでも切り捨てを続けていては新たな成長の芽は育たないのではなかろうか。

 政府が脱炭素社会を宣言し、これからのウィズコロナ社会を考えれば、「くらしアップデート」は欠かせないはずだ。

 

 

「関連文書

dsupplying.hatenadiary.com

 

 

改善したGDPの裏側 新たな成長戦略「カーボンニュートラル」で将来リスクを回避できるか

 

 日本製鉄の橋本社長が17日開催された総合資源エネルギー調査会で、政府の方針「2050年のカーボンニュートラル」に理解を示した一方で、ゼロカーボンスチールの実現には莫大な費用がかかり、生産コストが上昇する可能性があると指摘し、「(このコスト増を)経済社会全体で負担することも検討してほしい」と述べたと鉄鋼新聞が伝える。随分と図々しい物言いではないかと感じてしまう。

 

dsupplying.hatenadiary.com

 

 

 

カーボンニュートラル 動き出す業界 求められる規制改革

「気候変動イニシアティブ(JCI)」の参加企業のトップが18日、河野太郎規制改革相が訪問、面談したという。

 日本経済新聞によれば、ソニーの吉田憲一郎社長やリコーの山下良則社長らが河野氏を訪ね、耕作放棄地の有効活用や国有林での開発制限の見直し、環境影響評価(アセスメント)の手続きの迅速化などを求め、要望書を提出したという。

 また、JCIの末吉竹二郎代表は「再生エネを日本のエネルギーの主役にするためにいろんな規制を外してほしい。規制改革をうんと前に進めてほしい」と要望したそうだ。

要望書では、再生可能エネルギーについて脱炭素社会の実現に向け国が高い長期的目標を定めたうえで企業や投資家が安心して開発に資金を投入できる環境をつくることや利用を進めるための規制改革を行うことなどを求めています。 (出所:NHK

 

 NHKによれば、これに対し河野大臣は、「再生可能エネルギーの主力電源化は待ったなしだ。日本はこの分野で相当遅れているという認識のもと、できることはしっかりやっていかなければいけない」と述べたという。

 

www.nikkei.com

 

 業界によって、その対応に差があるということなのだろう。今回、河野大臣を訪問したJCIは国にしっかりした対応を求め、一方で、膨大なCO2を排出する鉄鋼は、国の政策に理解は示しつつも、さらなら支援を求める。 

 

 

 

 出遅れ感が否めないカーボンニュートラルの具体策

 すでに欧州をはじめ諸外国が「カーボンニュートラル」に向け歩みを進める中、日本はどうするのかとニッセイ基礎研究所の矢嶋氏はいう。

環境投資の出遅れ感が気がかりだ

イノベーションは、民間が起こすものであるが、新しい社会構造への転換を目指す政府の強い意思が見えないと、民間はなかなか動くことができない・・・・

そのためには、相当な投資と研究開発を実施し、民間行動を抜本から変える必要がある。制度設計の詳細、支援策、規制緩和などの具体策が、どのように示されるのか。政府の強いコミットが求められる。 (出所:ニッセイ基礎研究所

 

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「成長戦略としての「カーボン・ニュートラル」-各国で進むグリーン戦略、日本は巻き返せるか」(ニッセイ基礎研究所)

 

 期待とリスク 7 - 9月期のGDP速報値の裏側

 7 - 9月期のGDP速報値が11月16日に発表された。前期比年率で21.4%増と、大幅な伸びとなったが、GDPギャップは大きなマイナスが残るという。

 大方の見方で、問題とされるのが設備投資の弱さだ。7 - 9月期の設備投資は前期比▲3.4%と2四半期連続で減少したという。日本の競争力や将来の供給力にも関わることなので、その憂慮が大きいようだ。

「そのような状況にあって足元で期待が高まるのが、コロナ危機で停滞した社会を、環境投資で立て直そうという「グリーン・リカバリ」。デジタルと合わせて、2つの成長戦略が実を結ぶかが、日本の復活、将来にとって極めて重要になる」と、ニッセイ基礎研究所は指摘する。

 いずれにせよ、行動し実行するのは企業だ。企業の本気度が問われているのだろう。

 

 

「参考文書」

www3.nhk.or.jp

 

news.yahoo.co.jp

 

 

凋落する鉄鋼 進まぬ脱炭素 そのゴールは何と「2100年」

 

 国が2050年のカーボンニュートラルを宣言した。

 鉄鋼は、国内製造業の中で最も多くの二酸化炭素を排出する産業だ。否応なしにその行動に注目が集まる。

 ロイターによれば、政府は2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロとする目標に向け、「エネルギー分野や鉄鋼・化学などの産業分野でも革新的なイノベーションが推進され、製造工程の大きな転換が必要」との認識を示したという。

 

jp.mobile.reuters.com

 

 

 

資源最大手のBHPと中国宝武鋼鉄が目指す脱炭素

 豪英資源大手のBHPグループが、中国最大の鉄鋼メーカー中国宝武鋼鉄集団の「脱炭素化イニシアチブ」に資金を提供する契約に署名したと発表した。

 日本経済新聞によれば、BHPが今後5年間で3500万ドル(約36億円)を投じるという。

両社は宝武の製鉄所でCO2を回収して地中に貯留したり、別の製品の原料として再利用したりする「CCUS」(回収・利用・貯留)技術の研究・開発を行う。

石炭の代わりに水素で鉄鉱石を還元し、CO2の排出量を実質ゼロにする技術の開発でも協力する。 (出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 BHPは、2050年までに「CO2のネットゼロ」になるという目標を公表、2030年までに自社事業からのCO2排出量を30%削減するという具体的な目標を設定している。これには、「スコープ3」での30%削減も含まれているという。つまり、客先工程でのCO2削減にも取り組む必要が生じる。自分たちが生産、供給する鉄鉱石と石炭を利用する鉄鋼産業の温室効果ガスの排出削減に協力することが、自分たちの目標達成につながるというわけだ。

 こうしたことが、今回の契約の背景にあったのだろうか。

 そして、そのパートナーに、日本の鉄鋼ではなく、世界最大の鉄鋼メーカ 中国の宝武鋼鉄集団を選んだ。しかも、5年間という時間枠を区切って技術開発を進めるという。覚悟の表れなのかもしれない。

 

www.smh.com.au

 

 脱炭素に向けたスマートな協力関係といえそうだ。なぜ、BHPは中国メーカを選んだのだろうか。世界最大ということだけが理由だったのだろうか。協力は1社だけの思いでは成立しない。相手があり、相互の理解があってはじめて成立するものだ。

 日本の鉄鋼産業ももっと資源会社と良き協力関係を作っていくべきではないであろうか。

 

 逆風なのか、それとも好機なのか

「2100年」を見据えた壮大な技術開発の一里塚を、いま私たちは目の当たりにしているのかもしれない」とニュースイッチはいう。

 世界各地で開発が始まった「水素還元」と呼ばれる技術が、地球温暖化対策の切り札として有望視されているという。

製鉄の上流工程にあたる「高炉」では鉄鉱石中の酸素を取り除くため、石炭を蒸し焼きにしたコークスが使われるが、その反応過程でCO2が発生する。このコークスの役割の一部を水素に置きかえれば発生するのはCO2ではなく水になる。 (出所:ニュースイッチ)

 

 

 

 日本製鉄の他、JFEスチールなど民間4社と国が進める官民プロジェクト「COURSE(コース)50」の試験高炉が、日本製鉄の千葉県君津市の製鉄所にあるという。中核技術である「水素還元」を活用し、CO2を分離・回収する技術を組み合わせることでCO2排出量30%削減を目指しているという。

 

newswitch.jp

 

 ここでの知見を活用し、鉄鋼業界は「2100年までにCO2排出ゼロ」の達成を目指すそうだ。「水素でつくる鉄」「ゼロカーボン・スチール」がそのゴールになる。しかし、まだ課題もあるとニュースイッチは解説する。

最大の課題は水素の調達である。

水素還元技術が実用化されれば、コークス炉由来水素だけでは当然、生産量を賄えない。水素は自動車や民生など幅広い産業分野で利用されることからも「社会共通基盤のエネルギーキャリアとして開発、整備されていることが前提となる」(日本鉄鋼連盟)。

とりわけ基礎素材である鉄鋼製造に利用される水素は、安定した供給体制、経済合理性が欠かせない。 (出所:ニュースイッチ) 

 

 随分と悠長なことを言ってはいないだろうか。

 国費税金を使った技術開発で、さらに税制面での優遇も検討されそうだというのに、あれこれと言い訳をして、無理難題を押しつけ、意図的に遅らせようとしたりしてはいないだろうかと勘ぐってしまう。

 

 

 

 

 「鉄は国家なり」と豪語した国内鉄鋼も高度成長期のような勢いはなく凋落が続く。

 日本経済新聞によれば、中国の鉄鋼は、国有企業の再編と設備投資で巨大化し、世界の粗鋼生産に占める比率が2019年には53%まで拡大したという。一方、2020年の国内粗鋼生産量は前年比17%減の8217万トンとなり、2009年の8753万トンを下回り51年ぶりの低水準に落ち込む見通しと日経ビジネスが伝える。

 そうした中、日本製鉄は粗鋼生産能力を7000万トンから1億トンまで引き上げる目標を掲げるという。「東南アジアでのM&Aも選択肢の一つ」とし、一貫製鉄所の買収に意欲をみせていると日本経済新聞が伝える。苦境にあるから、M&Aで挽回を図ろうというのだろうか。

 何か違和感を感じる。税金を使って脱炭素化技術を開発するが、そのゴールは今から80年後の2100年だという。それで世界から遅れることはないのだろうか。

 何か優先順位が違っていないだろうか。規模を追いかけることより、今やらなければならないことがあるように思う。自社の論理が世界の論理ではない。もっと真摯に市場に向き合うべきだろう。

 

 

「関連文書」

r.nikkei.com

 

business.nikkei.com

 


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EVシフトは一気に進むか バイデン新計画の影響

 

 トランプ大統領が敗北宣言をしない。まだ勝てるという見込みがあるのだろうか。それとも諦めないということが美学なのだろうか。起業家であれば、その精神は必要であろうが、一国の主となれば、それは異なるものになったりするのではないか。

 バイデン氏の発言ではないが、「恥ずべきことだ。彼のレガシー(政治的遺産)のためにならない」ということなのだろう。

 

www.afpbb.com

 

 スムーズに政権移行が進めば、トランプ時代も、次の大きな社会変化に必要だった4年間としてみなされることもあるかもしれない。ポジティブな変化を促すためには、極度な停滞やネガティブなことが必要だったりする。

 

 

 

加速するのか米EVシフト

 バイデン氏が勝利宣言し、発表した施策内容には驚愕する。パリ協定に復帰するというだけでも、大きな変化なのだろうが、クリーンエネルギーを振興するために、4年で2兆ドル(約210兆円)の資金を投入するという。その巨額さにただ驚くしかない。社会の雰囲気を一変させるには、このくらいの投資が必要ということなのだろうか。

 そればかりでなく、これに加え、EVシフトを促進させるためなのであろうか、充電施設を50万カ所も設け、インフラ整備を急ぐという。気候変動に対峙しようとの本気具合が伝わる内容だ。

 2035年までにガソリン新車販売を禁じることを表明したカリフォルニア州にならい、バイデン氏も、ガソリン車への規制を強める可能性があるとResponseが伝える。

EVに注力する日産自動車は「シェア(占有率)拡大にプラスに働く好機だ」(幹部)と期待。

一方、環境車の定義を巡って日本勢が得意のハイブリッド車が対象外となる可能性もあり、別の大手は「逆風の恐れもある」(幹部)。 (出所:Response)

 

 日本車にも大きな影響がありそうな変化が起ころうとしているようだ。

 

s.response.jp

 

 

 

EVマーケットシェア 追い上げる欧州勢 国内自動車メーカは下落

 EV 電気自動車とPHV プラグインハイブリッドの2020年第3四半期(1−9月)までの世界での販売で、日産とトヨタがベスト10から陥落したとM&A Onlineが伝える。

 それによると、前年同期との比較で、日産は7位から14位に、トヨタは10位から16位にランクを落としたとそうだ。一方、欧州勢が販売を急激に伸ばしているという。

2位の独フォルクスワーゲンVW、前年同期6位)、4位の独BMW(同5位)、5位の仏ルノー(同13位)、6位の独メルセデス・ベンツ(同25位)、7位のスウェーデンボルボ(同16位)、8位の独アウディ(同21位)など。

EUの厳しい環境規制に備えた欧州車メーカーの急速な台頭で、昨年同期のベスト10メーカーの半分が入れ替わる激変となった。 (出所:M&A Online)

 

maonline.jp

 

 トップは米テスラ、独走のようである。販売台数は31万6820台と、2位VWの3倍近くになるという。また、M&A Onlineは、韓国・現代自動車の伸長を指摘する。現代自動車単独では、昨年の9位のまま変わらないが、同社傘下の「起亜」を加えた現代グループの販売台数はVWを抜いて2位になるという。

 

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(写真:テスラ)

 

トヨタ vs テスラ

 トヨタの豊田社長が6日の決算会見で、EV市場トップで、株式時価総額トヨタを抜き世界最大の自動車メーカーに成長した米テスラについて言及したようだ。

 ブルームバーグによれば、豊田社長が、テスラについて、「学べる点が多々ある」と述べたという。

 EVや自動車のソフトウエアのアップデートでも収益を上げるビジネスモデルのことを指してのことのようだ。その一方で、さまざまな電動化メニューを持っているトヨタ自動車の方が、「テスラの一歩先を行っている」とも発言したという。

 しかし、テスラの時価総額トヨタの2倍近くまでになり、その差が拡大しているようにも見える。

 

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(写真:トヨタ

 

 また、会見では、富士山麓裾野市で建設予定の実験都市「Woven City(ウーブン・シティ)」にも言及、語呂合わせで来年2021年の2月23日から着工すると述べたという。

  

www.bloomberg.co.jp

 

自動運転などの先端技術を導入・検証する同都市には約360人が住む。高齢者と子育て世代、発明家がウーブン・シティの住人になるとし、「一緒に住まわせることで、そこでのいろんな社会課題に向けた発明を非常にタイムリーに起こさせていきたい」と語った。

発明家には「一定の期間を設け、その間に成果が出なければ次の方に変わっていただく」仕組みを考えているという (出所:ブルームバーグ

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 

 

 一方、テスラはEVだけではなく、世界各地にメガソーラーを建設し、家庭用蓄電池やソーラーパネル、業務用蓄電池等の関連製品も販売し、エネルギーテック、エネルギーソリューションカンパニーへと進化を続けている。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 10年後あたりではどんな社会になっているのだろうか。EVが主流になっているのだろうか。それともFCV燃料電池車が巻き返しているのだろうか。

 少しばかりこの先のトヨタの戦略が気になり出す。まずはトラックでFCV化を進め、その後、乗用車との流れになったりするのだろうか。 

 トヨタ、テスラで描くビジョンは異なるのかもしれない。しかし、行きつく未来はひとつだけである。両社が切磋琢磨していくことで、より良い未来に近づいていく。10年後はどんなクルマ社会になっているのだろうか。

 

世界初の認可 ホンダ自動運転レベル3を販売へ

 ホンダが自動運転「レベル3」に対応したレジェンドを発売するという。日本経済新聞によれば、レジェンドに高速道路での走行時に視線を前方から離しても運転が可能となる自動運転のレベル3の機能を搭載、国土交通省からの認可を得たという。

 レベル3の車の実用化を国が承認したのは世界で初めてで、自動運転車の普及に弾みがつきそうだという。

 

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 コロナの前までは「CASE」に注目が集まり、100年に一度の変革期と言われた。このコロナ渦で、すっかり世界が様変わりし、その優先順位にも変化が出てきているのだろうか、EVシフトが一気に進みそうな勢いだ。このままでいいのだろうか。国のカーボンニュートラル政策にも影響はしないのだろうか。クルマの国際競争力の劣化になってはならないはずだ。優先順位の見直しが必要かを慎重に、そして、スピーディーに検討してもらいたい。

 

 

東芝も仮想発電所VPPに参入 なぜ海外のデジタル技術を活用するのか

 

 東芝も仮想発電所VPPに参入するという。先行するドイツ大手のネクストクラフトベルケと共同で新会社を11月に設立すると日本経済新聞が伝える。

 VPP(バーチャル・パワー・プラント)とは、小規模な発電所をIoTで制御し、一つの仮想発電所のように機能させることをいう。電力は、需要と供給が一致しないと停電を起こす可能性がある。VPPでは、電力の供給者と需要家の間に立って、全体の需給バランスをコントロールする「アグリゲーター」が重要な機能となる。

 

VPP構築にも海外の技術が必要になったのか

 いいのか、悪いのかというよりも、いささかショックであったりもする。日本を代表する大企業でさえ、今必要な技術が手元にないのかと思ってしまう。まして、技術の基盤がIoTだというのに。

 

 

  

新会社は発電量を予測したり、電力売買の助言をしたりする。

東芝は新会社と協力し、再エネ施設や蓄電池をIT通信網でつなぎ再エネを買い集める。日本全国にある風力や太陽光発電の設備を持つ事業者に参加をつのる。 (出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 競争力低下が言われて久しい。その現実をまざまざと見せられているような気もする。それとも、メディアの伝え方の問題なのか。

 国の政策変更があって急ぎ必要な技術を海外から導入するということなのだろうか。社内はもとより国内にも該当技術はなかったのだろうか。

 政府が2050年のカーボンニュートラルを宣言し脱炭素化に一気に舵を切る。

 予兆はあったはずだ。長く石炭政策を国際的に批判されてきた。欧州が脱炭素への動きを見せ、米国でも、連邦政府は別として州政府のいくつかは温暖化対策に熱心だった。国連主導でパリ協定が結ばれ、世界が気候変動対策を進めることで合意されているのだからなおさらのことであろう。

 

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 たとえそれまでの政府が近視眼的で目先のことだけで国際公約ができなかったとしても、先々を見通そうとすれば、石炭火力の次に来る世界を模索、技術を準備していくべきではなかったのだろうか。

 東芝ならなおさらだろう。原発事業の失敗が東芝の屋台骨を揺るがすことになった。脱原発は不可避になり、それに替わる事業を育てる必要があったはずだ。それが水素だったのかもしれない。その水素を活かそうとすれば、VPPのことも視野に入っていたと思うが、VPPに独自技術を使うこともない、外部技術で代用との判断でもあったのであろうか。

 

 

 

 結果的に、国も企業も今までは世界の潮流に抗ってきたように見えてしまう。そうなってしまえば、真に信頼を得ることは難しい。技術面を含め国際的なリーダーシップを発揮することができなくなった理由もそういうところにあるのではなかろうか。

 

 挽回する

 J-Power 電源開発が、2030年までに老朽化し効率の悪い石炭火力発電所を順次閉鎖すると発表したという。朝日新聞英語版によると、Jパワーの渡辺社長は、決定はされていないとしつつ、閉鎖する発電所は、1968年から1969年に建設された兵庫県高砂市高砂火力発電所、1981年に立ち上った長崎県西海市の松島火力発電所、1983年に建設された広島県の竹原火力発電所になる可能性が高いという。

 

www.asahi.com

 
 J-Powerは、4月に、2050年までにゼロ炭素排出量を達成するという目標を発表し、カーボンリサイクル、再生可能エネルギー原子力、水素発電の拡大していくという。

「やりがいはあるが、それを実現するために技術を磨き上げる」と社長の渡辺氏は語ったという。

技術開発として国際的に遅れていることはないだろうか。もっと早い時期から開発を本格化できなかったのだろうか。いち早く技術を確立し社会実装して、技術競争力を高めて欲しいものだ。

 変わった日本を世界に示す好例になっていくかもしれない。

 

 

 

名門アパレルの消滅から学ぶべきこと

 5月に経営破綻し、民事再生手続き後から再建を目指していたアパレルの名門レナウンがいよいよ消滅になるようだ。日本経済新聞によれば、東京地裁が10月30日付で同社の民事再生手続きの廃止を決定、4週間後をメドに破産手続きを始めるという。

 

www.nikkei.com

 

 コロナの影響による売上減、資金繰り悪化がトリガーになったようだが、それだけが理由ではあるまい。

 

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 日経XTRENDが、「アパレル業界のデジタルシフトが遅れた“2つの理由”」という記事を出し、日本のアパレル業界の動きの鈍重さを指摘する。

「世の中のデジタルシフトが急激に進んでいるのに....」

大手企業ほど“リアルありき”という固定概念が強く、経営陣のデジタルへの理解が薄いため、判断と実行が進まない。その後、世の中のデジタル化は加速したが、業界の変化のスピードはそう変わっていなかった。 (出所:日経XTREND)

 

 コロナで状況は一変する。緊急事態宣言でリアル店舗を閉めざるを得なくなった。みなが一斉にデジタルシフトの必要性に気づいたと日経XTRENDはいう。

 必要性を薄々感じていながら、「まだ急がなくても」と決断を後回しにしてきた企業の姿がそこにあったと指摘する。

 

xtrend.nikkei.com

 

 

 

デジタルシフトと成長戦略

 何もアパレル業界に限った話ではないように聞こえる。どの業界も、デジタル化にしろ、何にしろ今必要なことを後回しにしてきたのではないであろうか。逆にして考えれば、企業はなぜそうなってしまったのだろうかとの疑問もわいてくる。 

 

デジタルシフトはそれ自体に意味があるのではなく、何がデジタルの価値で、何がリアルの価値であるかを問い、そのうえで新しい価値を築いていくことに意義がある。

リアルでないと価値が生まれない領域はリアルが担っていくが、そうでない領域はデジタルが担っていく。そうなると、リアルだからできることは何か、自社だからできることは何かを洗い出し、明快に伝えることが重要になる。 (出所:日経XTREND)

 

 これまでの政府はデジタル化やDXデジタルトランスフォーメーションを声高に叫び、それを成長戦略としてきた。しかし、コロナ渦で、デジタル化がまったく社会実装されていない実態があぶり出された。そう思えば、日経XTRENDの指摘はそのとおりということなのだろう。

 今までの成長戦略とは一体何であったのであろうか。政府が事細かにテーマを決めて官製イノベーションを求めても無理ということなのかもしれない。ましてそれがデジタルという手段であればなおさらのことだったのだろう。現実社会が求めるものと政府が求めるものとの間でちぐはぐさがあったりしたのだろう。

 新しい政権になり、成長戦略がカーボンニュートラル政策になったようだ。イノベーションはリアルな世界でしか起きない。カーボンニュートラル政策でリアルな世界はどう変わっていくのだろうか。どんな中身の成長戦略になるのだろうか。同じ轍を踏んでほしくない。