Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

ムーンショット目標、それが目指すべき日本のイノベーションか

 

 長く日本発のイノベーションが標榜され続けている。「科学技術立国」に向け、岸田政権が「10兆円大学ファンド」を立ち上げ、世界トップレベルの研究に国がファンドの運用益を配分するそうだ。

 山際経財相も、「新しい資本主義」において、イノベーションは成長戦略の一番太い柱になると、日本経済新聞のインタビューでそう述べている。求められているイノベーションが生まれるのだろうか。

 

 

ムーンショット

 もうひとつイノベーションを目指す政策がある。内閣府が2020年に設定した「ムーンショット目標」。

 従来技術の延長にない、「あり得ない」を現実にする野心的な目標だという。日本の科学界が現在、この「ムーンショット型研究開発」を進めているそうだ。

ムーンショット」とは、「月に向けて打ち上げる」という意味。ジョン・F・ケネディ米大統領の時代に進められたアポロ計画が由来となっているという。

内閣府の野心的「ムーショット型研究」は高齢化社会を救えるか?:日経ビジネス電子版

当時からすると、あり得ない夢物語とされていた月着陸。

そんな、あり得ないかもしれないが、実現すれば大きく世界が変わる研究目標をムーンショット目標と呼んでいる。(出所:日経ビジネス

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(資料:内閣府

ムーンショット目標 - 科学技術政策 - 内閣府

 優れたムーンショットは、「Inspiring」人々を魅了し、「Imaginative」創意にあふれ斬新であり、「Credible」信憑性があるという。

 将来の社会課題を解決するため、「Quality of Life(生活の質)の向上」と「Human Well-being(人々の幸福)の達成」を目指し、「社会」「環境」「経済」の3つの領域から、具体的な9つの目標を決定したという。

 

 

 内閣府の「ムーンショット型研究開発事業」は、欧米や中国が日本と桁違いの投資規模でハイリスク・ハイインパクトな挑戦的研究開発を強力に推進している現状を鑑みて企画されたとニュースイッチは指摘する。

日本で技術革新を起こすなら“竹槍”は捨てリスクマネーに挑む必要がある|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

 しかし「ムーンショットはムーンちょっと」と、関係者がささやく冗談があるという....

「国の研究開発投資は破壊的イノベーションを掲げて予算を確保するものの、リスク管理のために細分化して分散投資する」と、ニュースイッチは国の予算措置を批判し、また、研究者は海外のリスクマネーにアクセスせず、国の科学技術振興を訴える現状を指摘する。

デジタル社会はIBMメインフレームから始まった 

量子計算では、計算をたまに間違える計算機は商品になりえるのか。NISQをネットワークでつないで規模を大きくするとしても、そんな巨大な計算機どうやって維持するんだ。という話を聞くと、未来のある基礎研究だなと思います。

そんな段階の技術でも未来を変えうるテーマには数百億円の投資がなされる大国と競争しています。(出所:ニュースイッチ)

 IBMが1960年代、メインフレームの原型といわれる「システム360」を開発した。この開発が世界をデジタル・コンピューティングの世界に導いたといわれる。

 このメインフレームの前のコンピューターは、部屋を占拠するほどの大型機械で、エネルギー効率は悪く、信頼性は低く、製造コストもたかった。これらの問題は当時発明されたばかりの半導体チップで解決できた。それに着目したのがIBMだった。半導体IBMの発明品ではないが、複数のコンピュータの機能をその小さなチップに収められることに気づいた。

 それまでにコンピュータといえば、同じ会社であっても他の製品と互換性がなく、周辺機器も専用化され、システムごとに異なっていたという。それを見ごとに解決にしたのがIBMのシステム360だったという。

システム360を思いつくこと自体、並大抵のことではない。それを実現するには、人類を月に送る計画に匹敵するくらい努力が必要だ。コストもほぼ同じだ。ワトソンの回想録によれば、システム360の投資額は50億ドルにのぼり(60年当時の50億ドルだ)、マンハッタン計画(原爆開発)を上回っていたという。(引用:巨象も踊る P159)

 このIBMの開発物語こそ、ムーンショットといっていいのだろうか。

 ただIBMは特にこれといった発明をしていない。発明されたばかりの半導体をコンピュータに利用し、それを莫大の費用と時間をかけて実用化した。

 それがイノベーションということなのかもしれない。

 

 

 こうした事例からすれば、たゆまない基礎研究があり、そこから発明が生まれ、その上で、それを何か利用するという発想があって、なおかつ、実用化のプロセスがあって、イノベーションに育っていくのだろう。

日本のベンチャー投資は、米国や中国に比べ一桁二桁小さく、投資家に基礎研究を事業に育てる力はない。

ITやSaaS(サービスとしてのソフトウエア)など手離れのいいビジネスに投資が集まっている。(出所:ニュースイッチ)

 さて、日本でイノベーションを育てる力はあるのだろうか。

「今後、40年までに、少しでも「月(ムーン)」に近づくことができるのか、はたまたネーミングだけが残るのか、今後が注目される」と日経ビジネスもいっている。

 

「参考文書」

経財相×日立・三菱商事・DeNA 新しい資本主義で対談: 日本経済新聞

みずほリサーチ&テクノロジーズ : ムーンショットが描く2050年の未来像

ムーンショット型研究開発制度が目指す未来像及びその実現に向けた野心的な目標について(案)

行動変容を促すサステナブルな資本主義、社会変容を促すGXとDX

 

 経団連の十倉会長が12月、「2022年の経済展望とサステイナブルな資本主義の道筋」という講演を行った。

経団連:2022経済展望とサステイナブルな資本主義の道筋 (2021-12-23)

 経済情勢の分析から始まり、経団連が目指す「サステイナブルな資本主義」について説明し、政府が提唱する「新しい資本主義」との関わりについて触れ、政府への要望を示した。 また、経団連が考えるGXグリーントランスフォーメーションについても説明する。

DX、GXは成長戦略になるのか

 経済情勢では、経団連が公表した「事業リスク及び政策要望に関するアンケート調査結果」をもとに、中期リスクとして、「従来型ビジネスモデルの陳腐化」、「必要な人材の不足」、「国内のDX デジタルトランスフォーメーションやGX グリーントランスフォーメーション対応の遅れ」などが上っていると指摘、製造業においては「サプライチェーンを巡る課題」の回答が多くあったという。

 短期では、コロナ対応に注力し、わが国の社会経済活動を正常化させ、DX、GXを柱に、成長戦略を実行し、また、サプライチェーンの問題といった、経済安保への対応を推し進めることで、わが国経済を成長軌道に乗せていくことが求められます。(出所:経団連

 

 

なぜ「サステイナブルな資本主義」なのか

 経団連が掲げる「サステイナブルな資本主義」と、十倉会長自身なりに解釈する資本主義の違いを説明する。

 自由で活発な競争環境、効率的な資源配分、イノベーションの創出等、資本主義/市場経済が、国の社会経済活動の根幹とする一方で、今みる世界的な行き過ぎた資本主義、市場原理主義の潮流によりもたらされた2つの弊害を指摘する。

 一つは、格差の拡大、固定化、再生産、そして、もう一つは、生態系の崩壊や気候変動問題、新型コロナのような新興感染症という。こうした課題を踏まえれば、これまでの資本主義を見直すことが求められ、現実、SDGs、ESG投資など、サステナビリティを重視する考えが、世界中で認識されているという。

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 ことに、気候変動や生態系の崩壊の問題については、「人類の経済活動とともに、地球温暖化などの「外部不経済」が発生し、生態系の崩壊が起きて、世界がSustainabilityの危機に直面している」と指摘する。

 そして、70億人を超えた世界の人口がこのまま増加を続ければ、2100年頃には110億人となり、そこでピークを迎える。それは開発国も豊かになり、子供の出生率が下がるからという。こうした現実を踏まえれば、ただちにカーボンニュートラルに取り込むことは必定と強調する。

最近の流行語で「人新生」(Anthropocene)という言葉もあります。また、ある人は、「地球を生命体に例えれば、人類の異常な拡張こそがウイルスであり、Covid-19は免疫だ」と言います。(出所:経団連

 

 

カーボンニュートラルの要諦

 十倉会長は日本のカーボンニュートラル達成には考慮すべき3つのポイントがあるという。1点目には、日本の地理的制約をあげ、2点目として、技術革新の必要性を説く。

 カーボンニュートラルに向けて、現存しない技術の創出が不可欠と指摘、新しい技術を生み、実用化するには20年の年月が必要になるという。

 そして、3点目にトランジションをあげる。2050年カーボンニュートラルが一足飛びに達成されることはなく、そのトランジッション、国をあげてのロードマップの策定が求められるという。

 また、カーボンニュートラルの達成のためには、化石燃料のミニマイズは避けては通れず、いかに使わないようにするかが求められ、6つの方向性があると説く。

一つ目は、再生可能エネルギー原子力等のゼロエミッション電源を確保すること。二つ目は、このゼロエミッション電源を用いて、今まで熱源を利用してきたものをできる限り電化すること。三つ目は、それでも残ってしまう熱源に、カーボンフリーの水素、アンモニアを導入していくという。

ただし、地球上から炭素を無くすことはできません。人の体は、アミノ酸たんぱく質など炭素から構成されています。薬もアミノ酸すなわち炭素から作られています。有機物は須らく炭素から出来ており、地球上から炭素を無くすことは不可能です。

従って、四つ目として、材料で使われる炭素をリサイクルすることが肝要です。カーボンリサイクル、ケミカルリサイクルを推進させる必要があります。(出所:経団連

 

 

 五つ目には、エネルギー多消費型の産業においてプロセスイノベーションを実現すること、六つ目に、エネルギーインフラとして、再エネのグリッド網や、蓄電機能の確保など、次世代電力システムを確立していくことと指摘する。

 カーボンニュートラルの達成は国際社会の一員として、もう避けて通ることはできず、GX、グリーントランスフォーメーションを起こせるかにかかっていると、十倉会長はいいたいのだろう。企業を含め社会が、「サステナブルな資本主義」を標榜し、行動変容を起こせるか、それが問われていそうだ。

 一方、日本の気候変動問題に対する行動変容についての意識は、欧米等と比べて低いという。そうした環境、強いて言えば、そうした労働環境で、GXを進めることは容易でないのかもしれない。

 経団連のトップひとりが危機感をもったところで、トランスフォーメーション「社会変容」など起きない。日本社会を構成する企業が、これまでの慣習を打ち破れるかが問われているのだろう。

 このコロナ禍にあっても、未だに企業の内部留保をふくれ上がり、その守りの姿勢が顕著といわれる。世界がGXに果敢にチャレンジし、その差は広がるばかりだ。日本はこの先、何を糧に世界と伍していくつもりなのだろうか。

 

新たな時代のはじまりか、340兆円超のアップルの時価総額、ソニーのEV事業会社など

 アップルの時価総額が一時し、世界の上場企業で初めて3兆ドル(約346兆円)を超えたという。半導体などサプライチェーンの混乱があるにも関わらず、アップルの時価総額は16ヶ月の間に約1兆ドル上昇したそうだ。

 既存事業の好調さに加え、次のアップルを担うことになるだろう新製品の情報が株価を押し上げたのだろうか。

アップルの時価総額が英国のGDPを突破、2025年のEV発売にも期待 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

アップル製品の需要が供給を約1200万台も上回っており、サプライチェーンの問題は2022年の前半には緩和されると予想している。 ブルームバーグによるとアップルは今年、iPhone 14や新型のAirPodsをリリースし、AR(拡張現実)機能を備えたVR(仮想現実)ヘッドセットを発表する可能性があるという。

ウェブドッシュはまた、2025年までにアップルカーが発売され、さらなる成長を促進すると予測している。(出所:Forbes)

 

 

アップルの新しいハードウェア

 アップルが今年「AR/VRグラス(ヘッドセット)」を発表するとメディア各紙は予測する。詳細はまだ不明のようだが、専門家たちが様々な予測をする。

アップルの「ARヘッドセット」2022年発表説に高まる期待 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

アップルのティム・クックCEOは、4年前の筆者の取材に、ARのメリットについて、VR(仮想現実)のように身の回りの世界を遮断してしまうのではなく、現実空間に新たな情報を追加できる点が魅力的だと話していた。

また、別の機会に彼は、ARが人々の日常生活に役立つ可能性を秘めたコアテクノロジーだが、メインストリームになるまでには、まだ発見すべきことがあると述べていた。(出所:Forbes)

 アップルの次の新製品は、AR 拡張現実がベースになるのだろうか。VR仮想現実のヘッドセットのように視界を遮断してしまったら、あまりスマートといえない。

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 詳細仕様がわからないうちに、使用されるデバイスを予測することはナンセンスなのかもいれない。ただARグラスと予測した場合には、その処理には高性能なプロセッサが必要となり、もしかしたら、アップルが自社開発のプロセッサが搭載されることになるのかもしれない。

アップルのARヘッドセットに2つのソニー製の4Kマイクロ有機ELディスプレイが搭載され、ARだけでなくVR(仮想現実)にも対応する可能性がある(出所:Forbes)

 

 

ソフトウェアを如何に差別化するか

 未だ一部専門家はいまだに、Appleの優位性はソフトウェアやオンラインサービスとの連携にあると指摘し、ハードウェアを軽視する。

 IT産業を興き発展をし始めて30年以上の時間が経過する。それまでのハードウェアだけを売るビジネスモデルは衰退し、ソフトウェア、サービスの時代に移り変わっていった。その流れに乗れなかったものもいるのだろう。もう早くも、そのITの時代を牽引してきたGAFAMは変わり始めたのではなかろうか。

 国内ではソニーがいよいよEV 電気自動車の事業会社を起こすという。もちろん、ソフトもサービスもそのビジネスを構成する重要なパーツであることに間違いないし、収益源なのかもしれない。ただハードウェアなくして、そのサービスの差別化がし難くなってきたということではなかろうか。

 

故きを温ねて新しきを知る 伝統工芸から学ぶSDGs

 

 不易流行松尾芭蕉が追い求めた理念のひとつといわれ、いつまでも変化しない本質的なものの中にも、新しさを取り入れていくこと、新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質であることを意味する。

 そういう文脈をもってすれば、伝統工芸にも新味を求めて流行性を取り入れることはいいことなのかもしれない。

伝統工芸とSDGs

カーボンニュートラルな素材や原料のリサイクルは伝統工芸の未来を切り開くのか」、

 新しい波であるSDGs持続可能な開発目標の要素を取り込んで活路を見いだそうとする老舗企業があると日経ビジネスが紹介する。

SDGsは伝統工芸を救う切り札か 新素材やリサイクルに見る未来:日経ビジネス電子版

「ゆうはり」、1922(大正11)年に創業した京焼・清水焼の窯元である陶葊(とうあん)が開発した新しい焼き物で、薄く、涼感のある手触りで、これまでの陶磁器にはない風合いになっているという。この焼き物は、CNFセルロースナノファイバーを従来の素材に加えたという。

 日経ビジネスによれば、「安定度が劇的に向上し、焼いたときの質感も抜群に良くなった」そうだ。歩留まりが画期的に向上したともいう。また、CNFを「木材の繊維をナノサイズまで分解した植物由来のカーボンニュートラルな材料」と説明する。

 

 

 工芸、もともと生活用具としての実用性を備えたもので、人間の日常生活において使用される道具類のうち、その材料や技巧、意匠によって美的効果を備えた物品などのことをいう。工芸品に新味を加えることで、それが日常的に使われるものになれば、それが現代の民芸といっていいのかもしれない。

温故知新、金継ぎ

「金継ぎ」、壊れた陶磁器を漆で繕い、仕上げに金粉などで装飾する。

日本のキンツギ、世界へ。「欠損を愛でる」心が海を越えた理由 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

割れや欠けのある器を捨てたり、欠損部分を隠したりするのではなく、傷を受け入れ、ひび割れや欠けをあえて目立たせる手法である。壊れた器はふたたび使えるようになり、ひびを彩色することで豪華な器に変わりもする。(出所:Forbes)

「物を買いなさい、壊れたら捨てて、また新しく買えばいいというのが資本主義だ」とForbesは指摘し、しかし、これはごく最近の考え方で、物を捨てる習慣よりも修繕する習慣のほうがはるかに長い歴史があるという。

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温故知新、故きを温ねて新しきを知る、古いものの中から現代に応用できるものを知ると解釈してよいのではなかろうか。

 Forbesが指摘する過去150年間の資本主義体制に反してリサイクルへの関心が高まりを見せる最近の風潮も、温故知新といっていいのかもしれない。

 古くから伝わる工芸品や民芸品のなかにも、SDGsのヒントがたくさん隠されていると解釈したほうが良さそうな気もする。

 

 

 美濃焼の産地で生産者たちが進める「グリーンライフ21・プロジェクト」を日経ビジネスが紹介している。

 それによれば、不要になった陶磁器(食器)を回収、それらを粉砕したものを新たな土と混ぜ、焼き物に使う原料としてリサイクルし、Re-食器を製造しているという。

 そして、低価格化や輸入品などの影響を受け続けてきた陶磁器業界だが、SDGsを追い風に注目を集めるRe-食器は一つの光明になる可能性も秘めていると指摘する。

 脈々と引き継がれてきた日本文化の中に、実はSDGsに通じるものがある。たとえば木製のおもちゃもそうではなかろうか。かつては大量に輸出さえていたとも聞く。今流にいえば、カーボンニュートラルなおもちゃだったということではなかろうか。

 伝統工芸や民芸に学ぶ温故知新。伝統をただ墨守するのではなく、そこにある永遠の真理の今日的意味を探る、現代の火にかけて新しい味わいを問い直すといってもいいのだろう。そこからSDGsの意味を知ることができるのかもしれない。

 

コロナ禍からコロナとの共生 芽吹くか新しい資本主義

コロナ禍からようやく抜け出せかと思えば、オミクロン株が登場し、少々暗い気分にもなる。様々なモノが値上げになり、輸入インフレといわれ、こちらのニュースもあまりうれしくない。政府は賃上げを重視するが、この状況下でどこまで浸透していくのだろうか。 そうはいえども、大手企業の中では賃上げとのニュースもちらほら見かけるようになった。新しい資本主義が芽吹くのだろうか。

 大和証券グループが前年度比で3%超の賃上げを行うという。賃上げは4年ぶりだそうだ。神奈川新聞によれば、賃上げを促す減税が動機のひとつになったという。また、足下の物価高に対応し、「業績も計画通りで、対応してあげるべき」と、中田社長が共同通信のインタビューに答えたそうだ。

 ありがたいことかもしれないが、少し違和感を覚える。業績が悪化せずに成長しているなら、その利益を従業員に還元しないのだろうか。成長は従業員の努力によってもたらされたのではなかろうか。信賞必罰はあってもいいのだろうが、全体としての努力としての還元はあるべきではなかろうか。  

 

 最悪期は脱したものの、まだ厳しい状況にあるANAが、23年度入社になる総合職の採用を再開する。ただ客室乗務員は3年連続での見送りになりそうだという。JALも採用を拡大させ、客室乗務員やパイロットも採用する方針という。

 コロナ禍から脱する兆しが見えてきたのだろうか。 コロナ禍の影響で在宅時間が増えたことで、住環境も見直されているという。これまでの利便性から郊外の広い住宅を求める動きが目立つようになったという。また、より環境に配慮された住宅も好まれるようにもなっているという。太陽光パネルを搭載し、断熱材を取り入れ、省エネで快適な暮らしできるからだろうか。

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コロナとの共生を求め、ここまで進んできて、明るい兆しもみてきたかと思うと、再び欧米でコロナが勢いを増し拡大している。回復に向かった経済もまた停滞期に突入してしまうのだろうか。  

 

 コロナとの共生とするなら、その闘いに終わりはないのかもしれない。欧米以外の世界の国々を見れば、アフリカではワクチンの接種率が伸びず、接種が進む先進国への怨嗟も漏れ聞こえる。

 感染が収まらなければ、新たな変異株の脅威は消えない。

「ゼロコロナ」政策を進めていたシンガポールも、デルタ株の登場で、「コロナと共に生きる」方針に転換したという。接種率が8割近くに進んだが、それでも感染は拡大し、再び規制が強化されているそうだ。繰り返される規制強化で、人々の習慣に変化も現れているという。

「地球規模の課題に、世界が一致して解決策を探る必要がある」と説くのは、台湾のオードーリータン氏。台湾のコロナ抑制に貢献し、上からの強制だと反発や疲弊を招くとして、自発的な行動を促し、簡単な防疫策を提示し、その実践を求めた。結局、原点に立ち返って、防疫が何よりもの対策ということなのだろう。

 正月休暇をむかえ、人の動きが活発化してきているようだ。ある程度の感染拡大は避け得ないのだろう。まだまだ問題も多いが、少し良化してきた社会の雰囲気に水を差すことにならないことを願わずにはいられない。

 

バイオマス発電、ウッドショック、需要があっても人手不足の林業、CO2の排出権取引で活性できないのだろうか

 

 関西電力が相生火力発電所3基のうち2号機を23年1月から、燃料をバイオマスに切り替えるという。そのバイオマス燃料を輸送する内向船に電気推進船を採用すると発表した。

 このバイオマス燃料はどこからやってくるのだろうか。

 バイオマス発電は木材などを燃料とし、燃やせば当然二酸化炭素が排出される。ただ、木の生育過程で二酸化炭素を吸収しているので、バイオマス発電は再生可能エネルギーに位置付けられる。

 しかし、森林破壊につながったり、遠い海外から燃料となる木材を運んでくる必要があることから批判があるという。

 

 

バイオ燃料、環境負荷という難題 新興国で森林破壊: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、米国の環境団体マイティ・アースは「天然林が破壊されている上、燃料を輸入に頼るならば木質バイオマス発電は持続可能な発電ではない」と批判しれいるという。これに対し、一般社団法人バイオマス発電事業者協会は「北米からの輸入でも、液化天然ガスLNG)を燃料とする火力発電より温暖化ガス排出量を半減できる」と反論しているそうだ。

 輸入型のバイオマス発電と地元材を利用した地産地消型で比較すれば、その輸送におけるカーボンフットプリントに差が生じる。燃料となる木材を輸入に頼るバイオマス発電は可能限り避けるべきではなかろうか。

長引くウッドショック

 近頃は木材の話題が絶えない。「ウッドショック」、輸入製材不足で価格が高騰した。この影響で国産材の需要が高まり、国産丸太の争奪戦が生じ、価格が高騰、その価格が高止まりしている。それに輪をかけるように今度は、東南アジア マレーシアやインドネシアからの合板輸入が減少し、合板価格が高騰し、国産丸太の取り合いが過熱しているそうだ。

今度は「合板」高騰…ウッドショック長期化、尽きぬ不安要素|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

「国内で供給量を増やすことが難しい丸太は急激な需要増に対応できず、価格が吊り上がった」とニュースイッチは指摘する。「すぎ中丸太」の価格は前年同月比で3割も高騰しているという。

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 この合板ショックとでもいえる状況で、品物自体も不足し、一部では工期の遅れなどの声も上がっているという。まだその収束時期が見通せず、もうしばらくこの状態が続くとみられているようだ。

 

 

林業の人手不足

  ウッドショックで国産材の需要が高まっているが、その林業は人手不足で厳しい状況が続いているという。

 全国1位の民間所有のスギ人工林約237,000ヘクタールを有する秋田県では、約103,000ヘクタールが伐採適期の樹齢50~60年を迎えたという。一方、県内の林業従事者は2020年度で1368人と前年度より8人増えたが、03年度と比べ約500人減っているという。

林業に特化、職業紹介所開設 「ウッドショック」下の人手不足に対応 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS

 河北新報によれば、林業には伐採、製材、植林があるという。伐採適期に入っても人材が足りず、伐採もままならず、再造林にも人手が必要だ回らない状態になっているという。

 アンバランスさを感じずにはいられない。国土の7割近くが森林におおわれ、その資源が豊かであるはずなのに有効活用できていない。対策が求めらていないだろうか。たとえば、二酸化炭素排出権取引に活用することはできないのだろうか。

 

増えそうな海外での日系企業による太陽光発電所建設、それなのに、なぜ太陽電池メーカは事業撤退するのか

 

 日揮ホールディングスが、フィリピンの財閥系企業グループであるアボイティスグループから100MW級のメガソーラー発電所建設プロジェクトを受注したという。

日揮、フィリピンでメガソーラー受注 80億円で: 日本経済新聞

 また、タイでは、リョービがダイキャスト工場に太陽光屋根置き発電システムを導入するという。この太陽光パネルは、関西電力の現地子会社が受注したそうだ。

 東南アジアではこうしたことがこの先日常化していくのだろうか。

 日揮によれば、フィリピンでは、電気事業者に対して、一定割合を再生可能エネルギー起源の電源から調達することを義務付ける制度が導入されており、太陽光発電を含む再生可能エネルギー施設・設備の建設計画が相次いでいるという。

 東南アジアは脱炭素に向け再生可能エネルギーへの投資が拡大しており、その需要を取り込む動きと日本経済新聞は指摘する。

 

 

インドでも

 世界第3位のCO2排出国のインドが、再生可能エネルギーを大幅に増やすことで気候変動に対応しようとしているとウォールストリートジャーナルが伝える。しかも、そのために、国内に太陽光発電産業を創出し、ライバルでもある中国にこれ以上依存せずに済むようにしたいと考えているという。

インド、ソーラー産業育成に本腰 中国に対抗 - WSJ

「中国による太陽光発電サプライチェーン(供給網)の支配を打破するインドの全面的な取り組みの一環だ」。

「中国から太陽光パネルを輸入し続ければ、エネルギー依存は解消されない。国外から調達する石油が、やはり国外から調達する太陽光パネルに取って代わるだけだからだ」。(出所:ウォールストリートジャーナル)

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国内では

 地域に役立つ再生エネ設備の導入を目的に、政府が、2022年度予算案で自治体向けの新たな交付金を創設するという。予算規模は200億円になるそうだ。

脱炭素新交付金200億円計上へ 再生エネ導入へ、22年度創設 | 共同通信

 共同通信によれば、30年度までの脱炭素化を目指す「先行地域」を重点的に支援し、太陽光や風力など地域特性に応じた再生可能エネルギー導入を後押しするという。

 大きな市場が生まれれば、そこに参入する者が増えて当たり前だ。しかし、日本の太陽電池メーカは相次いで撤退していく。なぜなのだろうか。諦めが先行してしまうのだろうか。競合に負けない生産規模があれば、戦うことはできないのだろうか。

 新たな技術で新たな製品が生まれても、このままでは同じことが繰り返されてしまうのではなかろうか。

 

 

中国製から日本製へ KINTONEの電動キックボード

 株式会社Earth Ship(アースシップ )の子会社のKINTONE (キントーン )が販売している電動キックボード「KINTONE Model One(モデルワン)」が2021年7月から、日本生産になったという。

日本製だからこその圧倒的なクオリティ。史上初の純国産電動キックボード「Kintone Model One」 - Engadget 日本版

 KINTONEによれば、出荷台数の増加に伴い、中国にて生産台数を増加させる予定だったが、新型コロナの影響で渡航が難しくなり、このままでは不安定な生産体制になると考え、日本での生産へ舵をきることにしたという。実態はわからないが、正しき選択だったのだろうか。

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(写真:Earth Ship)

 太陽電池も同じことがいえないだろうか。コロナ禍、地政学リスクの高まりなどなど、様々な要素を考慮すれば、サプライチェーンを見直し、再構築が求められているように思えてならない。この動きが広がることはあるのだろうか。

 

「参考文書」

フィリピンで100MW級のメガソーラー発電所建設プロジェクトを受注 | 2021年ニュースリリース | 日揮ホールディングス株式会社

リョービグループ(タイ)のダイカスト製造工場に屋根置き太陽光発電システムを導入
CO2年間総排出量の約18%削減、再生可能エネルギー活用を推進  (リョービ)