Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

【生産革新】まるで日本企業のようにコスト半減に挑戦するテスラ

 

 パナソニックソニー有機EL事業を統合して2015年に発足したJOLEDが、民事再生手続き開始の申し立てを行ったといいます。負債総額は337億円、石川県と千葉県の工場は閉鎖されることになるといいます。

JOLEDが民事再生手続き開始、製造/販売から撤退:ジャパンディスプレイが一部事業再建を支援 - EE Times Japan

 日本の有機EL技術は、日本が先行しながら、結果としては、サムスンやLGなど韓国企業に敗れるという結果となってしまいました。

 製造コストを抑えることができるといわれた「JOLED」独自の「印刷式」技術でしたが、量産化が遅れたことに加えて、小型ディスプレイのサムソン、大型のLGの牙城を崩せず、パソコンや車載向けなど中型ディスプレイが中心のビジネスにとどまっていたようです。

「JOLED」の技術開発は、液晶パネルメーカーの「ジャパンディスプレイ」に引き継がれるそうです。

 その「ジャパンディスプレイ」は9年連続で最終赤字を続けているといいます。日本のディスプレイ産業の競争力低下が浮き彫りになったといいます。残念なことです。

テスラが目指す生産革新、新たな自動車作り

 米国では、EV 電気自動車のテスラが3月1日に米テキサス州の本社で開いた投資家向け説明会で、新たに建設されるメキシコ工場に新たな生産方式を導入する方針を示したといいます。

 ヘンリー・フォードが約100年に発明したコンベア方式の生産方法を根本から見直し、製造コストを半減させるそうです。

テスラ、次の一手は自動車生産の大変革 「EV製造コストを半分に」:日経ビジネス電子版

 これまでとは全く異なり、車両前部、後部、底部、ドアとフロントフードなど、車を6つの大きなブロックに分け、それぞれを別々に組み立て、これらブロックを最終的に組み合わせることで完成車が出来上るといいます。

 これまでのような長い組み立てラインは不要となり、同時並行に各ブロックを生産することで効率を高めることができるそうです。

 これにより、1台当たりの製造コストは半減し、生産のために必要な工場の床面積は4割程度縮小するといいます。従来よりもコンパクトな工場で、コストを大幅に削減したEVを量産できるようになるそうです。

 記事によれば、まずメキシコの新工場でこの新しい生産方式を確立した上で、中国上海やドイツベルリンの工場にも水平展開していくようだといいます。

今のテスラが言うことなら、たとえ難しいことでもそれを実現しそうな気もします。

 日本企業は何を失くしてしまったのか

 テスラにあって日本企業にないものは何なのでしょうか。

 テスラがEVの量産を始めた当時は「できるわけない」とささやかれたものですが、今ではEVのトップランナーとして不動の地位をつかみ取っています。

 ミッションを掲げ、その目的を達成させるまで諦めず、実現するまでは愚直に努力を続けただけのことなのかもしれません。

ヘンリー・フォードがコンベア方式の生産方法を発明して既に100年が経過している。変えることは容易ではないが、規模を拡大していくためには製造の在り方を考え直す必要があった」と、テスラの幹部が説明会でそう話したそうです。

「ライバル企業はテスラが生産革新に成功する前提で対抗策を考えたほうがいいかもしれない。日本の自動車メーカーが手をこまぬいている時間は一層なくなったといえるだろう」と記事は指摘します。

 もしかしたら日本企業は業績ばかりに目が奪われ、時々の結果が気になり、その過程における努力を評価しなくなってはいないでしょうか。過程、そして努力が成就してよい結果はもたらされます。よい結果を得るには、よい結果になるまで続けるしかないのでしょう。

 

「参考文書」

JOLEDが民事再生法を申請 負債総額337億円 | NHK

 

【今は日本企業にとって好機か】信用不安、大量解雇、行き詰まりをみせるテック企業

 

 欧米など銀行破綻などが相次ぎ「信用不安」の連鎖がまだ払拭しきれていないのでしょうか。

 この影響で、スタートアップのエコシステムも打撃を受けることは避けられず、テック企業のバリュエーションの切り下げなどの懸念もあるといいます。

ソフトバンクG株が9カ月ぶり安値、ビジネスモデルへの懸念も - Bloomberg

 こうしたことをきっかけにして、これまでのトレンドに変化があるのでしょうか。

長期視点での技術開発

 その一方で、これまで委縮していた日本企業に変化が起こり始めているようです。

「事業成長のポートフォリオをつくるとき、従来は3年先ぐらいのタームまでしか考えていませんでしたが、私たちの経営チームは20年くらい先を想定しています」とパナソニックの品田社長はいいます。

パナソニック品田社長×田原氏「経営改革と松下幸之助の精神」:日経ビジネス電子版

その事業が今の世代だけではできなくても、3代くらいに渡ってバトンタッチしていく先を考える。(出所:日経ビジネス

 実際、水素を使用する燃料電池事業では、2040年ごろの事業をどうしていくかを考えるようになっているといいます。

「5年から20年くらいのスパンで経営を見ることが産業界として重要」と品田社長は指摘し、「事業で言えば、30年までの間にはほとんど何も回収できない。実際には30年から40年にようやく回収し始めることになるでしょう」といいます。

(写真:パナソニック

エネルギーのサステナビリティー(持続可能性)におけるレジリエンスの実現には、損得の問題ではなく、国民全体や、日本という国がどれだけ発展していけるか、という一段も二段も高いレベルのパーパスがあると思います。(出所:日経ビジネス

  短期思考から脱却し、長期で技術開発し、事業計画を考えるようなってきたのでしょうか。また、家電メーカというかつての括りが陳腐なものとなり、新たな業界へと再編が進んでいくのでしょうか。

未来志向

 他方、「未来志向」は危険な賭けとの意見もあるようです。

 米国のハイテク企業がこの数カ月で、従業員の大量解雇に踏み切り、社運を賭け進めてきたプロジェクトが頓挫しかねない事態になりつつあるといいます。

【大量解雇】テック大手で「夢のある事業」から切られる現実

 記事によれば、アマゾンでは、創業者ジェフ・ベゾスの肝いりだったプロジェクトの「アレクサ」やドローン、無人店舗に関わるチームが解雇の対象になり、グーグルでも、創業者のラリー・ペイジセルゲイ・ブリンが支持していた自律走行トラックなどの事業にメスが入ったといいます。

「儲けを出せる部署にいないかぎり、生き残るのが難しい時代になりました」と記事は指摘します。まさか米国のテック企業もかつての日本企業と同じ道を歩むことになるのでしょうか。

 

 

250年企業

 パナソニックの創業者松下幸之助氏は「企業は社会の公器」と考え、従業員も会社も社会からのお預かりものであり、自分たちさえもうかったらいいという考え方はなかったそうです。また、事業は250年かけるくらいの気概をもってしっかりやらないと、考えていたことは実現できないとも言っていたそうです。

 幸之助氏はそのくらい長い時間軸で社会の変化を見、その時間軸で世の中を良くしたいと考えていたといいます。

 10年後の技術部門はどうあるべきかと問われた小川グループCTOは、エネルギーや食料などといった社会問題に真正面から向き合うべきとし、「長年くらしに寄り添ってきた我々だからこそできる価値提供がある」といいます。

パナソニックHD、社内技術を発掘 スタートアップ続々 - 日本経済新聞

顧客や社会に役立つものであれば、信念を持って「成功するまで続ける」。

眠っている「商売の種」をフル活用して、次代を支える商品を生み出す。現状に満足せず新たな「お役立ち」を世に問い続けることこそがパナソニックHDに求められている。(出所:日本経済新聞

 さて、委縮した日本企業が再び光輝き、世界舞台で活躍することはあるのでしょうか。

 

【深刻化する覇権争い】巻き込まれる日本、変わる生産地図、インドは次の世界の工場か

 

 中国北京で開かれていた全人代が閉幕しました。習主席が3選となり、また側近たちで固めた人事で、米中の覇権争いが決定的なものになっていくのでしょうか。

中国外相が初会見 アメリカを強くけん制 ロシアとの関係重視 | NHK | 中国

 どちらにも事情があって避け得なくなっているのかもしれませんが、なんとか衝突を回避するよう努めてもらいたいものです。

新冷戦なのか

「中国を封じ込めるための『新冷戦』に参加するならば、癒えていない両国の古い傷に新しい痛みが加わることになる。われわれは協力を強化し、世界経済の回復に勢いと活力を注ぎ込むべきだ」と、秦外相が全人代初日の記者会見で、外交方針を明らかにし、日本について注文を付けたといいます。

 他国の事情による不毛な争いに巻き込まれるのは損なことのように思われます。中国の主張にも耳を傾けておく必要があるのではないでしょうか。

 

 

米国の輸出規制

 米国も対抗措置を強化しているようです。中国企業数十社に対する新たな輸出規制を発表したといいます。

 米国の国家安全保障や外交政策上の利益に反する活動に携わっていることを理由に挙げたといいます。

米政府、中国企業への輸出規制拡大-事実上の禁輸リストに数十社追加 - Bloomberg

 こうした措置により、米国企業は政府の事前承認を得ない限り、エンティティーリストに掲載された企業への輸出が禁止されることになるそうです。

中国からインドへ

 こうした動きが見据え、アップルなどの米テクノロジー企業が拠点分散を働き掛けているといいます。中国から他国への生産移管は、観測筋の多くが見込むよりもはるかに速く進む公算が大きいそうです。

アップルのサプライヤー、中国外に生産移管急ぐ-エアポッド製造企業 - Bloomberg

 米中の緊張悪化で被る影響を未然に防ぐ狙いといい、アップル製品を生産する中国企業も含め、生産移管を進め、インド生産を検討しているといいます。

 

 

iPhone」を受託生産する台湾のフォックスコンも同様で、インドの新工場に約7億ドル(約960億円)を投資し、現地生産を強化するといいます。中国からの生産シフトをさらに加速することを示唆しているといいます

iPhone生産フォックスコン、インド工場に7億ドル投資へ-関係者 - Bloomberg

今回の投資はフォックスコンによるインド投資としては過去最大級で、中国が世界最大の家電生産国としての地位を失うリスクを浮き彫りにした。アップルなど米国のブランドは、中国に拠点を置くサプライヤーに対し、インドやベトナムなど代替の生産拠点を探すよう圧力をかけている。(出所:ブルームバーグ

 記事によれば、計画はまだ変更される可能性があるそうです。どれだけの時間をかけるかは不明ですが、この流れが主流になっていくのでしょうか。

 ただアップルがいきなり中国での生産はゼロにすることはないのでしょうし、引き続き大きな市場である中国向けは現地生産という形態をとるのかもしれません。

 その上で、それ以外を中国から他国へ移管するのであれば、次の大きな市場として期待されるインドが注目されるのでしょう。

次の世界の工場

 そのインドが中国に代わって「世界の工場」になることはあるのでしょうか。

 日本企業もこうした流れに乗り、インド市場に参入していくべきなのかもしれません。またそれを実現するサプライチェーン作りを早めに進めておく必要もありそうです。

 

「参考文書」

ゼロコロナの傷跡、中国の優位さ損ねる恐れ-出稼ぎ組が職場に戻らず - Bloomberg

 

【2つの生態系】日本の経済安全保障に死角はないのか、進み始めている脱グローバル

 

 昨年、中国とユーロ圏で輸出と輸入が過去最高を記録し、米国の対中貿易も輸出と輸入で記録的な水準に達したそうです。

 まだまだ世界経済が統合拡大し、国境を越えた財、サービス、資本の移動が進む「グローバル化」が進んでいるのではないかと思ってしまいます。

コラム:「脱グローバル化」は誇張、逆風下でも好調な世界貿易 | ロイター

グローバル化は、その勢いが弱まったとはいえ、終焉を迎えたという報道はかなり誇張されたものではないだろうか。(出所:ロイター)

 しかし、グローバル化は行き詰まっているとの見方をする専門家が多数いるともいいます。

 

 

脱グローバル

 過去30年間は低インフレ、金融緩和、中国の世界経済への統合、比較的平和な時代背景の下でグローバル化が進んできたといいますが、パンデミック大衆迎合主義的な政治の台頭、欧州での戦争、軍事面や経済面、技術面における中国の強大化により、世界は「外」ではなく「内」向きの傾向が強くなってきていると記事は指摘しています。

 UNCTAD 国連貿易開発会議のエコノミストは、貿易構造の変化は避けられず、「脱グローバル化」あるいは「地域化」に向かい、そのプロセスは産業や国によって「選択的」となり、5年から10年の時間を要すると予想しているそうです。

2つの生態系

 絶対的だった米国の経済力が揺らぎ、一方で中国が圧倒的な勢いでその勢力範囲を拡大しています。米中関係は悪化の一途です。このまま中国と米国の経済、貿易、金融の結びつきが緩んでいけば、今後は「地域化」の流れが強くなるだろうとの見方が強まっているようです。

米国と中国という2つの「生態系」に分かれた世界経済、あるいはさらに多極化した世界では、おそらく全体的にインフレが起こりやすくなり、金利は構造的に上昇し、成長率は低下するだろう。(出所:ロイター)

 米国は、インフレ抑制法や半導体業界支援法などを成立させ、グリーンエネルギー、ハイテク、半導体など対象に「自給自足」の動きを強めています。中国も同様な動きを見せるとともに、さらにその影響力拡大に余念がないようです。

 

 

中国BYD 急成長する世界2位のEVメーカー

 また、ここ最近においては供給網サプライチェーンを近場で完結させる「ニアショアリング」や同盟国・友好国で完結させる「フレンドショアリング」の動きが早まっているようです。

 中国の電池メーカであり、世界2位のEV 電気自動車メーカーでもあるBYD(比亜迪)の新工場建設を巡って、フィリピン、ベトナムインドネシアが誘致合戦を繰り広げているそうです。

【激烈】BYD新工場を巡る、東南アジア誘致合戦の行方

 記事によれば、BYDは、タイに東南アジア初のEV生産工場を建設することがすでに決まっているそうです。さらに、BYDの代表者らが、昨年末にフィリピンを訪問して工場用地の候補地を調査し、第2四半期中に決定を下す可能性があるそうです。

 また、インドネシア側も、EV工場への投資の可能性について「BYDとの協議が続いている」といいます。

インドネシア政府は、BYDがタイなどの近隣国ではなく、自国に工場を建設するよう説得するため、多くの税制優遇措置やインセンティブ、バッテリー原材料の調達を提案しているという。(出所:NEWSPICKS)

 EVシフトで中国が優位に立つ中、東南アジア諸国はEV関連の投資を呼び込もうと競い合っていると記事は指摘しています。

 

 

 ニッケル争奪にみる新たな経済圏

 インドネシアとフィリピンは、世界のニッケル埋蔵量のほぼ半分を占めており、EVメーカーや、ニッケルが主要部材であるEV向け電池メーカーにとって好都合の土地柄をいいます。

 またインドネシアには中国企業が相次いで進出し、ニッケルの確保を進めているといいます。中国企業は現地企業との合弁などでニッケルの製錬所などを次々と建設しているそうです。

中国企業との結び付きを強めるインドネシアのニッケル産業。加工されたニッケルの多くは中国へと輸出され、電池の部材などとして加工されます。中国が世界をリードするEVの心臓部は、その巨大経済圏の中で生産が完結できる仕組みが作られつつありました。(出所:NHK

 競合の日本の大手非鉄金属メーカーは中国企業同様、現地企業と新たな製錬所の建設に向けた交渉を行っていたそうですが、交渉は破談し、2022年に新たに権利を獲得したのは中国企業だったといいます。

「心配なのは、自給自足が進むと、貿易相手国との妥協点を探るインセンティブが薄れることだ」と、専門家の声をロイターは紹介しています。

 日本企業ばかりでなく、日本の基幹産業である自動車の行く末も心配になります。

 

「参考文書」

中国「強国」戦略の脅威 “ターゲットは日本の得意製品” | NHK | ビジネス特集 | 経済安全保障

 

【先端技術の国別ランキング】圧倒的な中国、凋落止まらない日本のテクノロジー

 

 オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が、重要な新興技術の国別競争力ランキングを公表し、44分野中37分野で中国が欧米諸国を「圧倒的にリード」していると指摘したそうです。

中国、重要な技術分野で欧米を「圧倒的にリード」=調査 | ロイター

 米国は高性能計算や量子コンピューター、先端半導体関連技術や人工知能(AI)の自然言語処理に加え、小型衛星、ワクチンなど7項目の研究で世界をリードしているが、他の多くの分野では2位となっているといいます。

 他方、中国は、防衛や宇宙、ロボティクス、エネルギーなど37項目で1位を占めているそうです。

 政府プログラム下で「影響が大きい分野での研究で圧倒的なリード」を確立していると指摘し、欧米諸国は安全なサプライチェーン(供給網)の確保に向け協力し、戦略的技術の迅速な発展を目指すべきと提言しているといいます。

 

 

凋落した日本のテクノロジー

 このランキングは、2018~22年に発表された影響力のある論文を分析した結果といいます。

 日本は44項目中、5位以内に入ったのは原子力や量子センサーなどの4項目だけだったといいます。

技術競争力ランキング、中国が米国を圧倒 「4軍」の日本、どう戦う:朝日新聞デジタル

「1軍」は想像以上に圧倒的だった中国と差をあけられてしまった米国。「2軍」で英国とインドががんばっていて、「3軍」は韓国、ドイツ、オーストラリア、イタリア。日本が属しているのは、そのあとの「4軍」です。(出所:朝日新聞

 ショッキングな内容です。

ノーベル賞をとる日本人はいるが、それは「数十年前の貯金が残っているだけ」、それでも多くの日本人が「日本はナンバーワンではなくても、まだ多くの分野において先端的な研究をしているはず」と心のどこかでそう思っているのではないか」と、東大先端科学技術研究センターの井形特任講師が述べています。

 そうなのかもしれません。現実は相当に厳しそうです。

 

 

それでも狙われる日本の技術

 中国には、外国企業に依存して「弱み」となっている品目をまとめた資料があるそうです。

 現在は公表されていないといいますが、その資料を分析すると中国がターゲットにしている分野が見えてくるといいます。

中国「強国」戦略の脅威 “ターゲットは日本の得意製品” | NHK | ビジネス特集 | 経済安全保障

 記事によれば、その資料から分かることとして、日本の強い分野と中国が強化したい分野はほとんどが重なり合うといいます。

 それは、産業用ロボットや内視鏡複合機など、また、部品や組み立て工程では半導体関連装置や自動車部品、燃料電池など。素材においては、炭素繊維半導体の材料など、川上から川下まで幅広い分野に及ぶといいます。

 また、中国はこうした製品や技術を対象に、国産品の割合を100%や75%にすることを求めているそうです。それは外国製品を排除するか、それとも中国で生産をするかという選択を迫るものだといいます。

 

 

「国際的なサプライチェーン=供給網の中国への依存度を高めることで外国による供給網の遮断に対し強力な反撃と抑止力を形成する」(出所:NHK

 中国はサプライチェーンを「武器化」しようとしていると記事は指摘しています。 その背景にあるのは米中対立で、対立が激化した時に有利に作用させるためといいます。

「経済安全保障」の確立が求められています。慎重な検討と大胆な行動が求められます。日本は再興するのでしょうか。まずはこの厳しい現実を受けとめなければならないのでしょう。

 

「参考文書」

中国が先端技術の「主戦場」に 豪シンクタンク、国別ランキング発表:朝日新聞デジタル

中国、日本の半導体輸出規制に「大きな懸念」=商務省 | ロイター

 

【リスキリングを機会にする】自身の専門性を磨き、企業の独自技術にしてみる

 

 一世風靡したマーケットインという思想の価値が剥落し、またプロダクトアウト思考への回帰が起きるのでしょうか。

「プロダクトアウト」は本当に悪なのか? 人々を虜にする商品のつくりかた | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 かつて「プロダクトアウト」を主流にして商品開発が進められているときは、「マーケットイン」は斬新で、大きな価値があったといいますが、みなが右倣えで同じマーケティング手法で商品開発を始めると、同じような商品ばかりとなり、それが今日の価格競争を生み出すことになったのではないかといいます。

 

 

独自技術

「マーケットイン」は、消費者の要望・ニーズを理解して商品を開発し、消費者が求めているものを求めているだけ市場に出すことをいい、「プロダクトアウト」は、企業側の技術や思想、販売計画に基づいて製品やサービスを市場に出すことととされ、日本が国際的な競争力を失ってしまったのはこのせいという意見も少なくなかったと記事は指摘します。

 そして、これからは、競合が真似をすることが困難な企業独自の技術が強みとなり、商品やブランドにおける参入障壁になるのではないかといいます。現実、最近のヒット商品を観察すれば、企業の独自技術に支えられているのではないかといいます。

 ただ「独自技術」であっても、技術の優位性がなくなれば、コモディティ化してしまうともいいます。

 それを防ぐのが、「独自技術」とその背後にある「歴史」と「ストーリー」、「ナラティブ」であろうといいます。

ストーリーが競争戦略の中心になる時代において、ストーリーの源泉となるような要素を削り取って、分かりやすく消費者が求めているものをつくるのは、大きなブランドをつくるうえでは逆に障壁になり得るだろう。(出所:Forbes)

 

 

技術シーズ

 通信大手のNTTが、藻類の持つ形質に関わる遺伝子を選定するための手法を確立、ゲノム編集技術を適用することで画期的なCO2吸収量の増加が期待できる遺伝子の特定に成功したそうです。

藻類の二酸化炭素吸収量を画期的に向上させる遺伝子を特定 | ニュースリリース | NTT

 NNTによると、藻類だけではなく生物は、進化の過程において、生命維持または代謝に必要な遺伝子群を引き継いでおり、CO2吸収に関わる遺伝子は、植物やその他の光合成生物にも適用できる可能性があるため、今後は、様々な生物における遺伝子と形質変化の関係を数値データ化し、機械学習によって発見されるパターンやルールから形質変化を予測するモデルも構築していくそうです。

 また、この成果は、パートナーでもあるリージョナルフィッシュなどと構想する藻類や魚介類を生産・販売する「グリーン&フード事業」において順次活用し、人類の環境負荷低減と食料不足の解決に貢献するとしています。

 こうした社員の専門性に裏打ちされた技術シーズがやがて企業の独自技術となり、時にイノベーションを萌芽させ、事業となって成長していくのかもしれません。そして、そこからストーリーが生まれ、人々の感動を呼び起こす歴史が作られていくのでしょう。

 

 

 

リスキリングを機会にする

 近頃では「リスキリング」学び直しという言葉をよく耳にするようになりました。自分自身の好みで、気になるテーマを選んで、それを探究し、学習研究するのもいいのかもしれません。

 どうせやるなら研究はできるだけ楽しむほうがよく、そして、その研究が社会の役にたつのであれば、これほど有意義なことはないのでしょう。また、それが「ナラティブ」の原点になるのかもしれません。

 最近ではAI人工知能が急発達しています。また、モノもODM、OEMなどを利用すれば、何でもつくれるようになっています。自身のなかに「シーズ」を育てみるのもよいのではないでしょうか。

 

 

【成長しない国、日本】このままの社会を子どもたちに手渡してよいのだろうか

 

 電気機器の貿易収支が、22年下半期(7~12月)に赤字になったそうです。赤字額は812億円、半期ベースの赤字は1988年以降で初めてのことといいます。

 電機産業は、自動車と並ぶ輸出産業の「花形」といわれ、年間8兆円近い貿易黒字を稼ぎ出していたといいます。

電気機器、初の貿易赤字転落 22年下期、輸出の花形様変わり | 共同通信

「90年代からはずいぶん様変わりした」、日本製品の国際競争力が低下したほか、生産の海外シフトが進み、日本からの輸出が減ったことが、電気機器の貿易赤字の理由といいます。

一方、輸入拡大の大きな要因となったのが携帯電話事業だ。米アップルのiPhoneをはじめ海外製のスマホに国内市場を奪われた。(出所:共同通信

 時代の流れ、悲しいかなこれが現実なのでしょう。

 

 

そんなに悪くない業績

 一方で、企業業績は2022年4〜12月期決算で2年ぶりの減益となったといいますが、利益水準は過去最高に近い水準にあるそうです。

[社説]企業は不透明な環境でも投資を絶やすな - 日本経済新聞

 世界景気の下振れの影響もあるといいます。欧米のインフレや利上げの影響が見通しづらく、企業が先行きに慎重になっているそうです。

「日本企業の稼ぐ力が着実に高まっているのは間違いない」と記事は指摘し、将来の成長を切り開く「攻めの投資」人材投資や設備等等を絶やすべきではないといいます。

金融を除く上場企業の手元資金は約100兆円と、欧米企業に比べ財務も健全だ。将来のリスクが高まっているときこそ、成長を生み出す経営手腕が試される。(出所:日本経済新聞

 良くもなく悪くもない、利益が積み上がれば経営的には安泰ということがこれまでだったということでしょうか。そんなぬるま湯にあっては、イノベーションからは程遠く、成長のエンジンにいつまでも火がつくことはないのでしょう。

日本はこのままでいいのでしょうか。

将来

 いつの間にか硬直して変化することができなくているのが今日の日本なのでしょうか。

もしあなたがやっていることが未来を創造するものでないなら、やめなさい。(出所:NEWSPICKS)

「改善より創造を」

「やめる」、それが今日の日本に求められていることと記事は指摘し、「過去は過去とし、未来の創造を手助けしようではありませんか」と問いかけています。

 

 

「子供たちがどのように世界の仕組みについてのマインドセットを身につけるか」、

 これを研究テーマにするスタンフォード大学の心理学教授キャロル・ドゥエックは、「成功とは正しいマインドセットの産物であり、また子供たちが自分の可能性と居場所をどのように認識しているかが、知性や才能、教育よりも成功のより重要な指標になる」と述べているそうです。

 将来を担う子どもたちの目には、今の日本はどう映っているのでしょうか。

 デフレに苛まれ、失われた30年、40年が常態化し、イノベーションを生み出させない、こんな状態で子どもたちが正しいマインドセットを身につけることができるのでしょうか。

 活気溢れる日本が求められているのでしょう。そうし中から、未来の創造が生まれてくるのかもしれません。そうした活気が子どもたちに良い影響を与えいくのではないでしょうか。

 

「参考文書」

CO2の有効活用で“地球環境再生時代”に入った2050年:日経ビジネス電子版