Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

アップルがEVを作れるかという疑問

 

 アップルのニュースが尽きない。アップルカーを韓国現代グループのKIAが作るのではとのニュースが流れたかと思うと、早速、それを否定する記事がでる。

アップルはコメントを控えた。

現代自動車は今年1月、アップルと自動運転のEVを巡る開発協力で協議中との報道を認めた当初の発表文を修正し、アップルへの言及を削除した。

この発表や協議に関するその他の報道にアップルは不快感を抱いたという。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

 アップルと現代自動車の協議が再開するかどうかや、その時期は不明とブルームバーグはいう。車両を大量生産する能力を有する世界的な自動車メーカーの数は限られ、そのうち何社がアップルとの提携に関心を持つかも不明だとも指摘する。

 

 

秘密主義

「アップルからの打診はない」と、スズキの取締役が話したとロイターが伝える。こうしたことまでがニュースになる。

 SUBARUの取締役も、スズキ同様に「今のところ何も聞いていない」と述べたという。

jp.reuters.com

 ロイターによれば、5日付の日本経済新聞が、サプライヤー幹部の話として、日本メーカーを含む「少なくとも6社くらいで交渉が進んでいる」と報じたという。

 

ものづくり 

 MotorFanがアップルの自動車産業参入の問題点を指摘する。

「生産委託という手はある」。

自動車を作ったことのない企業が「工場を持ちたくない」との理由で生産委託すると、過去の例では事業は長く続かなかった。

ファブレスはコンピューターや家電の世界では当たり前だが、市場での不具合をすぐに生産にフィードバックする体制や「現場での日々の改良」をどう契約の中に盛り込むかは、よほどツーカーの仲にならないと難しい。量産しながら改良するというランニングチェンジは、自動車では当たり前だ。 (出所:Motor-fan)

motor-fan.jp

 電機業界のものづくりの現実を知らない意見でしかない。

 ものづくりの世界ではあまり業界の差はないかもしれない。少なくとも自分がいた電機会社2社はそうだった。ものづくりの基本をトヨタの生産方式にまなび、差があるとすれば、その安全基準だけではなかろか。

 

 

これがアップルの現実か

 36KrJapanが中国側からの視点でアップルの生産についてレポートする。

フォックスコン(富士康科技集団)がアップル向けの製造ラインで使っている製造設備の20〜50%はアップルから提供を受けたものだ」と36KrJapanは指摘する。

 工場の敷地と建屋、従業員は生産委託先EMSに帰属しているが、あたかもそれを自社工場と同じように扱うことでアップルの意匠性と品質を作ることができるといっていいのかもしれない。実際に、アップルから設備貸与を受けた企業から話から感じたことでもある。

アップルは自身のサプライヤーから調達したシステムをあてがうことで、受託製造を行う企業の一挙手一投足を監視している。

中でも最も知られているのは、アップルが多額を投資したERP(企業資源計画)システムだ。システム内でアップルは部品サプライヤーから組み立て工場、販売店までの一連のデータを管理している。

ティム・クックCEOのパソコンからは、各部品の製造数、各製造ラインの稼働状況、各工場の歩留まり率まで、世界中のサプライヤーの当日の運営状況が確認できるのだ。 (出所:36KrJapan)

36kr.jp

 さらに、小型音響部品を製造する「瑞声科技(AAC Technologies)」を例にして説明する。

同社のアップル向け製造ラインでは、制御ソフトウェア、コンピューター、ERPシステムはいずれもアップルが提供したもので、ライン責任者のもとにはアップルから問題を指摘するメールが随時届く。

つまり、工場の建物と工員、一部の設備が瑞声に属する以外は、全てがアップルによってコントロールされているのだ。 (出所:36KrJapan) 

 仮にアップルがEVに進出するのであれば、同じ手法をとるのかもしれない。それが自らの強みを活かすことになるのだから。 

「中国にはサプライチェーンがあるが、イノベーションも開発能力もない」との見地に基づいて分業を図るのは、米中両国の製造業における特殊な現象だと36KrJapanは指摘する。

 アップルは、単に商品設計だけでなく、ものづくりにおける技術開発もすべて支配しているということなのだろう。たとえ生産現場を自ら持たなくとも、人任せにせず、加工技術も含め自ら要素技術も開発しているのだろう。そうでなければ、iPhoneのあの美しい筐体は出来上がらない。

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 「モノを作ることへの執着がなければ製造業にはなれない。アップルが生産委託で自動車事業を成長させるには、並大抵ではない努力と、多少の失敗を笑っていられるだけの資金がいる」とMotor-Fanは指摘する。

  

dsupplying.hatenadiary.com

 

 そのアップルは1時間あたり2万台のiPhoneを売るまぎれない製造業の会社である。大量に安定して同じ品質でつくることは自動車とはまた違った苦労もあるというものだ。謙虚にものづくりをするメーカは安全確実にものづくりを進めるものだ。決してばくち打ちのようなものづくりのまねは絶対にしないはずだ。

 
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