新型コロナ陽性者との接触を知らせるスマホ用アプリ「COCOA(ココア)」の不具合が4カ月以上も放置されていたという。前政権肝入りだったはずの施策にしてはずいぶんお粗末な話だ。
それに反して、新型コロナウイルス探知犬が鋭い嗅覚を使って「コロナ臭」を嗅ぎ分けるという。ロイターによれば、人間の唾液の検体から94%の確率で感染者を識別できるという。
国内のデジタル技術よりも犬の嗅覚の方が鋭いのかと知ると、「COCOA」の顛末にはがっかりする。
犬がコロナ感染者を見つける
米国では、NBAの試合に探知犬が導入されたとYahooニュースが伝える。news.yahoo.co.jp
それによれば、新型コロナウイルス探知犬は、すでにアラブ首長国連邦、フィンランド、チリなどの空港で導入され、探知率はPCR検査とほぼ同レベルとの調査結果もあるという。
アップルウォッチがコロナを検出する?
「Apple WatchでPCR検査より1週間早く新型コロナの陽性診断予測可能、マウントサイナイ医科大学発表」との記事をTechcrunchが出す。
それによると、Apple Watchをはじめとしたウェアラブルハードウェアにより、現行のPCR検査よりも最大1週間早く新型コロナウイルス(COVID-19)の陽性診断を効果的に予測できることが、「Journal of Medical Internet Research」に査読済み論文として発表されたという。
この研究の実際の医療現場への影響について、この研究の著者らは結果を予測し、リスクのある他の人々から個人を分離するのに役立つと述べている。最も重要なことは、これにより遠隔で行う手段が提供されることで、介護者は身体検査やPCR検査を行うことなく新型コロナウイルスの発症を予測または検出できるようになり、発症が疑われるリスクの高い状況下において予防措置を講じるのに役立ち、感染力が強くなる前に伝播を予防できる可能性がある。 (出所:Techcrunch)
この研究は現在も進行中だという。躓くアプリ開発がある一方で、さらに様々な研究がなされ、コロナの検出や追跡が別な手法で可能となっていく。
「COCOA」の顛末
「歴史に残る失態。痛恨の極みだ」と、話すのは当時IT担当の副大臣として陣頭指揮を執った自民党の平将明氏。
接触確認アプリの開発に当たって、致命的な不具合を防げなかったことについて、政府内に専門の知識や技術を備えた人材が不足している現状に課題があると話しているとNHKが伝える。
「厚労省は、コロナ対応で多忙を極めている上、IT関係にはあまり強くない役所だ。業者任せにならないようにするには発注者側にもかなりIT技術がわかる人が必要だが、定員や予算の縛りがあり、十分ではなかった。政府は今まさにデジタル庁をつくるべく進めているが、その問題意識の1つが顕在化してしまった」 (出所:NHK)
さらに、NHKは「アプリ開発には改修がつきものだが、委託された業者側がアプリの保守管理体制を確立できたのは、去年6月のアプリの運用開始から1か月半後だった」と指摘する。その理由について、業者側は「ほかのアプリ開発の仕事もあるなかで、人繰りの調整が必要だった」と取材に答えたという。
随分お粗末なメーカ選定と言わざるを得ないのだろう。
厚労省から開発を委託されたのは「パーソル&プロセステクノロジー(東京都江東区)」。同社は日本マイクロソフトとFIXER(東京都港区)に再委託したという。Med IT Techによれば、この開発予算が9460万円であることが明らかにされているという。この費用は実際に支払われているのだろうか。
さらに、Med IT Techは「模擬テストだけで、実機によるテストをしていなかった」と話した田村厚生相の疑問を投げかけ、「開発チーム」が存在するのか疑いたくなるという。
昨年6月23日のITmediaNewsは、開発経緯を説明する。
厚労省が開発を主導すると決まったのは5月8日。25日には、安倍晋三首相が全国の緊急事態宣言を解除する記者会見の中で、同アプリを「6月中旬に公開する」と明言した。
廣瀬さんはTwitterで、「5日前にAPIの仕様が変わろうと、実装が変わろうと、何があっても3週間で完璧なものを作り上げろと言われ、(それで不具合が出たら)へっぽこエンジニアの烙印を押されるわけだ……」とこぼす。 (出所:ITmediaNews)
記事を読むとアベノマスクを彷彿させる。こんなことの繰り返しでは、コロナ対策どころか、日本の経済が歪な構造になり、今ある苦境に陥ることも容易に想像できてしまう。もしかしたら氷山の一角なのかもしれないと思いたくなる。国が発注するデジタルやIT関連、さらにDX関連について疑いの目を向けたくなる。
利にばかり走る企業が蔓延るのはこういところにも原因があるあるのかもしれない
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