脱炭素やサスティナビリティ、SDGsに注目が集まり、企業活動における透明性が問われているようだ。WWD Japanは、ファッション産業では特に、商品をトレーサブル(追跡可能)にすることが重視されていると指摘し、サスティナビリティ先進企業のパタゴニアの取り組みを紹介する。
「トレーサビリティー」は、複雑に入り組んだサプライチェーンによって生産される製品が、環境的、社会的な責任を追求した素材・慣行を使用して、実際に製造されていることを証明する最善の方法であると、パタゴニアの篠 環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャーはいう。
トレーサビリティはサプライヤー監査から
WWD Japanによれば、パタゴニアは全ての最終製品工場(一次サプライヤー)に対して社会的・環境的監査を行っているという。そればかりでなく、主要原材料サプライヤー(二次サプライヤー)も監視し、それらの工場に対しても一次サプライヤーに適用しているものと同等の監査/是正工程を採用しているという(仔細はWWDの記事で確認できます)。
透明性、サプライヤー情報を開示することは勇気ある行動なのかもしれない。
電機会社でも、自らの行動規範を開示し、「法令・社会規範の遵守」、「地球環境の保全、持続可能な社会の実現」に向けて、協働していくことを旨とし、Win-Winの関係で取引できるようにしていた。
素材調達から始まるサプライチェーン上のサプライヤーを、パタゴニアと同様にサプライヤー監査を実施、是正活動を継続的に行なう。主たる目的は環境物質の不使用照明などを含めた品質保証にあったが、「トレーサビリティ」は重要な管理手法であった。
しかし、そのサプライヤーリストを積極的に公表することはなかった。テクノロジー企業ということもあるのだろうか、技術の秘匿性が理由になっていたのかもしれない。国内企業の多くがそうしたことを理由にしてはいないだろうか。
ソニー 「wena 3」が仕掛けたオープンイノベーション
ソニーが11月27日、スマートウォッチ「wena 3」の販売を始めた。Alexaを搭載し、Suicaに対応、「Qrio Lock」で解施錠ができるという。「wena 3」 を紛失しても、「MAMORIO」の機能でその所在地を確認できるという。そして、セイコーやシチズンとのコラボモデルもリリースし、「wena 3」モジュールを使い協業するともいう。発売前からこの「wena 3」注目が集まった。
(写真:ソニー)
Business Insiderは、コラボする時計メーカーなどが独自の個性を確保したまま、wenaのフル機能が利用できるようになったことが大きいという。
時計メーカー側もwena 3のモジュールを採用すれば、前述の機能はすべて利用でき、またSuica発行などに必要な管理サーバーやアプリの保守などもソニーが担当するため、自社ですべて開発するよりスピーディーな製品化を実現できる。 (出所:Business Insider)
「wena 3」の成功はサプライチェーンから
c/net Japanは、今回のコラボを「オープンイノベーションの成功事例」といい、この「wena 3」の事業責任者であるソニーの對馬哲平氏にインタビューし、その言葉を紹介する。
その對馬氏は「wena 3」の開発における苦労話としてサプライヤーチェーン作りをあげる。
ソニーにあるアセットは、基本的にはゲーム機を100万台作ったり、テレビを100万台作ったり、カメラを100万台を作るみたいな、そういうことに最適な組織とプロセスになっているんですね。
そこと同じように新規事業を乗せると規模感が合わないんです。
wenaの場合は新規事業ってこともありますし、規模も大きくないので、それに見合った工場やサプライヤーさんと取引していくことが大事なんです。 (出所:c/net Japan)
オープンイノベーションとして注目される新事業も、地道なサプライチェーンがあって成立する。そうした視点に立ってみれば、ソニーはコラボパートナーからみれば、1次サプライヤーになる。そして、對馬氏が苦労して立ち上げたサプライチェーンが2次サプライヤーとなって、時計メーカを支えていく。
しかし、そこにはまだパタゴニアのような「透明性」はないのかもしれない。WWD Japanが紹介したサプライヤーを巻き込んだパタゴニアの「透明性」の取り組みも、ある意味、オープンイノベーションの一例なのかもしれない。そうしたことが認知が進めば、国内企業の「透明性」もさらに向上していくのかもしれない、そう思った。
「関連文書」
「参考文書」