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気になるアップルのEV サバイバルゲームが始まるのか

 

 アップルがEV電気自動車を作るという。その後、「アップルカー」という報道が増える。

 『アップルが電気自動車(EV)の生産で、韓国の現代自動車傘下の起亜自動車と提携する交渉が合意に近づいている』と共同通信が報じる。

 それによれば、アップルがソフトウエアを開発し、起亜に生産を委託。自動運転技術も搭載するという。

南部ジョージア州にある起亜の組立工場で、2024年にも生産を開始する。

最初の「アップルカー」は運転手のいない自律走行型  (出所:共同通信) 

this.kiji.is

 

気になるバリューチェーン

 EVが登場し、自動車産業への参入障壁が低くなったといわれる。テスラをはじめ、世界で多くのベンチャーがEVに挑戦している。ソニーもしかり。アップルが挑戦しない理由はないのだろう。

 しかし、名をはせたグローバル企業の参入はさすがに重みが違っていくる。デザインや機能、生産方式、サプライチェーンからサービス、販売方法など、すべてのことが気にかかる。想像を越える新しい何かが待っているのだろうか。

 

 

 ロイターもこの件を報じ、共同通信同様、韓国KIA(起亜)との提携の可能性を示唆する。それによれば、KIAを傘下に収める「現代」が、iPhoneにおける鴻海のような関係、たんなる委託生産業者に陥ることに懸念を抱いているようだという。 

www.reuters.com

アップルは自分たちが独自に設計した主要部品を、フレームからボディー、ドライブトレーンに至るまでさまざまなサプライヤーに受託し、現代か起亜には最終組み立てだけを頼ることを好みそうだ。 (出所:ロイター) 

  この提携の行方が気になる。

 

熾烈さを増すEV用バッテリー

 バッテリー回りはどうなるのだろうか。

 日本経済新聞によれば、テスラは22年にEV140万台分に当たる100ギガ(ギガは10億)ワット時分の電池を自社生産する構想を持つという。

「他の自動車メーカーに供給し、EV基幹部品のプラットフォーマーを目指している」(みずほ銀行法人推進部の湯進主任研究員)とされ、1月末の決算説明会でイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「準備は順調だ」と話した。 (出所:日本経済新聞

www.nikkei.com

 アップルが、まさかテスラからバッテリーを調達することはなかろう。バッテリーもやはり独自技術にこだわり、どこかと提携したりすることはあるのだろうか。

 

 

 国内最大手のバッテリーメーカ パナソニックはテスラにバッテリーセルを供給する。 

 日本経済新聞によれば、パナソニックの車載電池の世界市場の占有率は20年で18%と3位だという。18年まで首位だったが、今では中国CATLと韓国LG化学がパナソニックを追い抜き、首位を争っている。

中韓メーカーは生産規模拡大を通じ、レアメタルなどの材料調達を含めたコストを下げる戦略だ。

パナソニックは安全性の高さなど品質を売りに規模拡大競争と距離を置く考えだが、1日に生産撤退を発表した太陽電池を連想させる。 

(中略)世界最高水準の発電効率を看板に世界シェア上位だった。ただその後に中国メーカーが生産能力を高め価格競争を巻き起こす。パナソニックは「回収が難しいと判断した」ため投資を控えた。(出所:日本経済新聞

 サービスやソフトウエアなどと組み合わせ、中韓勢との価格競争に巻き込まれないビジネスモデルの構築が求められると日本経済新聞はいうが、それでは太陽電池の二の舞いで、生き残るのが厳しいのではないか。そんな「魔法の杖」があれば、もう他の誰かが使い、市場を席捲しているのではなかろうか。結局、テスラも価格低減を狙って数量を追う。明快な論理だ。

 アップルがパナソニックと組むという選択肢は論外なのだろうか。

 

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サバイバルゲーム

 帝人が、LS-EV(Low Speed Electric Vehicle=低速EV)の開発パートナーである豪Applied EV社と共同で、自動運転への対応が可能な多目的プラットフォーム「BlancRobot」(ブランク・ロボット)を開発したと発表した。

 この「BlancRobot」のトップカバーには、帝人グループの熱硬化性樹脂GF-SMCが使用されているという。このGF-SMCはガラス繊維に含浸させシート状にした成形材料だという。

 帝人は、2022 年後半のEVとしての実用化を目指し、運送、工業、医療、一般交通など幅広い用途での活用を想定してるという。

「未来のクルマ社会に向けてソリューションを提案 豪AEV社と次世代モビリティ向けパーツを共同開発」

 

 

 カーボンニュートラルが世界のメガトレンドになり、EVに注目が集まる。成長が期待できる分野には多くのプレイヤーが現れるが、そこにはオールドエコノミーの巨人たちが存在し、彼らもまたEVを強化する。

生き残りをかけたサバイバルゲームが始まる。

自分たちの強み、要素技術をもったメーカが生き残るのだろうか。

 アップル、何もソフトウエアばかりが強みではない。あの美しいiPhoneの筐体は外部の生産拠点に設置されたアップル自社の保有設備が加工されているのだから。

 

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