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チャイナショック2.0、かつての日本のように米国に締め付けられる中国

ジャパン・アズ・ナンバーワン」、1979年に刊行され、一世を風靡したといいます。米国の社会学者が「黄金期」の日本を分析した本で、副題は「アメリカへの教訓」だったといいます。現在においても、日本経済の黄金期~1980年代の安定成長期、ハイテク景気〜バブル景気を象徴的に表すことばとして「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が用いられています。それほどに当時は日本はまるでナンバーワンになるかのような勢いがあったということなのでしょうか。

 

 

 それほどに勢いがあり、あたかも力を得たかのようになると、羨望の的になり、邪魔だてする者が現れるのが世の常なのでしょうか。1985年にもなると、当時のレーガン米大統領が為替政策の円切り上げを求めたり、その後は対日貿易措置が取られ、自動車や半導体が標的となったといいます。

 その当時と同じような環境に米国が陥っているようだといいます。ただし今回の標的は日本でなく、中国に向けられているといいます。

人民元安に助けられた中国が安価な輸出品を世界に溢(あふ)れさせるのをうろたえながら見ている。米国の貿易赤字は、昨年の大半まで縮小していたが、再び拡大している。(出所:ダイヤモンド・オンライン)

 同じようなことを繰り返すのが米国らしさというところでしょうか。イエレン財務長官が繰り返し中国を訪問しては警告を繰り返しているようです。

安価な中国製品による新産業の破壊、米国は認めず=財務長官 | ロイター

「中国製品の大量流入で米製造業で約200万の雇用が失われた2000年代初頭の「中国ショック」の再来をバイデン大統領は許さない」とイエレン財務長官が4月初旬の訪中時に述べていました。4日間にわたる中国当局者と会談し、EV電気自動車、バッテリー、太陽光産業などへの「大規模な政府支援」に支えられた過剰投資、過剰生産に懸念を表明したそうです。

 

 

 しかし、中国は当時の日本ほど純朴ではないようです。これまでの成長で中国は自信を深め、おいそれとは米国のいいなりになることはなそうです。

中国EVメーカー、外資企業に技術を提供する時代に | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

中国のEV開発力は十分にあり、これまでとは逆に外資企業に技術を提供し市場を拡大することができるという確固たる自信がついた。そして実際には当記事で挙げたようにさまざまな提携形態を通して、中国企業が技術を輸出する側にまわったのである。(出所: 36Kr Japan )

 外資を引き入れてはそこから学びを得て、自国の技術力を高める、あって当然のことなのですが、それが中国ではありとあらゆる産業で、世界中の国が集まって大規模に行われたのですから手が付けられない事態になったのではないのかなと思います。世界の工場とまくしたて、そこから利益をむさぼってきたのですから、何を今さらと中国はいいのもわからないことでもありません。

 記事は日本の商用EVを手がけるスタートアップが、中国企業OEMしている事例を紹介しています。

 もしかしたらかつての米国のように、日本は中国の成功事例をつぶさに分析・研究して、学びを得る必要があるのかもしれません。何しろハイテク分野は全敗に近い状態に追い込まれているのですから。

 

 

 それに加え、激しく対立する米中に不用意に近づき、それに巻き込まれるのは避けた方がよさそうな気もします。百害あって一利なし、それよりはもっとしたたかに漁夫の利をひそかに狙うべきなのではないでしょうか。そのためにも、米中が競い合う「GDPレース」からあえて離脱してみるのがいいのかもしれません。何か違った景色がみえそうな気がします。

 

 

「参考文書」

チャイナ・ショック2.0の背後に「元安とデフレ」~人民元の実質ベースの弱さが、他の輸出国を犠牲にする形で中国の輸出を加速させている(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 米経済はナンバーワン、それが問題だ | WSJ PickUp | ダイヤモンド・オンライン

苦しむ日本へ 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」著者息子からの教訓:朝日新聞デジタル