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躓くEV新興のリヴィアン、重く圧し掛かる半導体不足、ヤマトのEVシフトは順調に進むのか

 

 自動車産業の生産遅延はもはや慢性化し、新常態と言っても過言でもなさそうだ。ロイターによると、ホンダは、部品調達や物流の遅延で5月の国内工場稼働率が約8割になる見通しだと発表したという。

 米国では、第二のテスラと目されていた「リヴィアン」が半導体不足などに苦しみ、2022年1~3月期のEV生産台数が2553台にとどまっているという。

米新興EVリヴィアン、しぼむ「第2のテスラ」への期待: 日本経済新聞

リヴィアンは供給面の制約を理由に、前回の決算を発表した3月に22年の年間生産計画を2万5000台に半減している。

今回は生産効率が改善していることなどを理由に年間生産計画を維持したが、半導体をはじめとするサプライチェーン(供給網)の制約は続いている。4分の1が経過した3月末時点の生産計画の進捗率は10%にとどまった。(出所:日本経済新聞

  そればかりではない。25年に米南部ジョージア州に新工場を立ち上げ、増産を計画しているというが、金利上昇が今後の成長戦略の妨げにはならないかと危惧があるという。

 状況が悪化している中で、船出しなければならないのは後発メーカの産みの苦しみなのかもしれない。

 

 

 EV市場を牽引するテスラもかつてはたびたび資金難に陥ったが、「モデル3」の量産化を何とか軌道に乗せて、何とかそれを乗り切った。コロナ渦の初期、みながコンサバになった時期にも、生産計画を引き下げなかったことが功を奏し、半導体などの調達で優位な立場を築くことに成功したと日本経済新聞は指摘する。

 日本国内では、ヤマトホールディングスが、2050年の温室効果ガス排出実質ゼロに向け、2030年の削減目標と計画案を公表した。それによれば、EV車両を20,000台導入するなどして、GHG排出量を2020年度比で48%削減するという。

ヤマトHD、脱炭素へEV2万台 810拠点に太陽光設備も: 日本経済新聞

配送車のEV化に加えて、30年までに事業所や物流センターの建屋など810カ所に太陽光発電設備を導入する。EVを使った配送などで使う電力全体の7割を再生可能エネルギーでまかなう。保冷輸送などに使うドライアイスの使用もゼロにする。(出所:日本経済新聞

 ヤマトは昨年21年11月、日野自動車のEVトラック2台を配達に使用する実証実験を始めた。実証に使用される「日野デュトロ Z EV」は、超低床構造で、これまでの車両と同様にウォークスルー構造で、運転席から荷室への移動がしやすく、作業性向上に役立つとされる。

(写真:ヤマトホールディングス

 ヤマトのEV化計画は順調に進むのだろうか。トラックなどを手がける商用車メーカも乗用車同様に半導体不足に苦しみ販売台数を落としているという。「半導体をはじめとする部品不足で、生産を増やせない状況は各社に共通している」と日本経済新聞は指摘する。これにエンジンの不正問題が日野自動車には重く圧し掛かっている。

 ヤマトのEV化計画は、実証実験から言えば、日野自動車がEV化の有力候補に見えるが、そのまま進むことはあるのだろうか。それとも老舗同士が協力し合って、脱炭素の時流に乗って、EVシフトを完遂してしまうのだろうか。

 

「参考文書」

ホンダの国内工場、5月稼働率は約8割 部品調達や物流遅延 | ロイター

2050年温室効果ガス排出実質ゼロに向け2030年の削減目標を具体化 | ヤマトホールディングス株式会社

ヤマト運輸と日野、超低床・ウォークスルーの小型BEVトラックの実証実験を開始 | ヤマトホールディングス株式会社

大型トラック国内販売、4月2割減 日野自は4割減: 日本経済新聞