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【中国】宇宙強国とものづくり、世界初、月の裏側でサンプル採取し帰還

 宇宙においても米中の競争が激しくなっています。月の裏側 南極に近い「南極エイトケン盆地」に着陸した中国の無人探査機「嫦娥6号」が、試料1935.3gを持ち帰ってきました。世界初の快挙といいます。

 中国は今後、試料の分析を本格化させるそうです。試料の分析で、月の起源や太陽系初期の歴史の解明を進めたい考えで、基礎科学分野でも中国の存在感がさらに高まることになるといいます。

 

 

 中国は「宇宙強国」の建設を掲げているそうです。今後、2026年に「嫦娥7号」、28年に「嫦娥8号」を打ち上げ、30年までに有人月面探査を成功させ、希少資源の水が豊富に存在しているとされる南極付近に研究基地を建設するとの目標を掲げているといいます。

 このほかにも、無人探査機「天問」シリーズを打ち上げ、25年前後に2号で地球近くの小惑星から、30年前後には33号で火星から、それぞれ試料を持ち帰る計画といいます。また、4号は木星探査も予定しているそうです。

 H3の打ち上げに成功し、今年1月には「SLIM」がピンポイント着陸に成功しましたが、中国との力の差が拡大しているようにも感じます。

宇宙技術・装置開発

「アルテミス計画」、米国が主導するプロジェクトに日本も参加しています。このプロジェクトの目的地もまた月の南極といいます。水の存在を示す決定的な証拠をいち早くつかみ、26年までに有人探査を始めたい考えといいます。

スペースウォーズ1 シリーズ:解剖 経済安保:日本経済新聞

月の持続的な開発には人員や機材を送り込むためのロケット、安全に着陸できる宇宙船、地球や月面とデータをやりとりする情報通信、高精度な観測・測位を可能にする人工衛星、月面の生活に必要なエネルギー生成など、様々な先端技術が必要となる。(出所:日本経済新聞

 中国に先んじて宇宙技術の開発が必要になるといいます。また宇宙関連技術は将来、民間分野にも活用されるようになり、国際競争を勝ち抜く基盤となるそうです。さて日本の技術開発のポジションは今どのあたりにあるのでしょうか。

 

 

日本企業は高度経済成長期やバブル期など過去の成功体験に縛られ、未来に対応できていません。日本はものづくりに強みがあるのだという「ものづくり幻想」から、いまだ脱却できていないのです。(出所:東洋経済オンライン)

池上彰が警告「時代に乗り遅れた」日本企業の末路 2040年世界時価総額トップ50に日本は入れるか | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン

 「ものづくり幻想」から脱却せよと池上彰氏はいいます。中国は「世界の工場」と化し、今ではハイテク、クリーンテックなどありとあらゆる製品で世界を飲み込もうとし、価格、品質で太刀打ちできなくなりつつあるように感じます。

「ものづくり」から脱却してしまったよいのでしょうか。宇宙技術の開発も、その後の装置生産が必要ですし、それこそ「ものづくり」です。

「ハードからソフト」、ものづくりからコンテンツと池上さんはいいますが、いまさらとの感が否めません。ITバブル旺盛のころならいざ知れず、AIバブルの今、GAFAMを含め、半導体や端末機器を開発、生産・販売しています。池上さんご指摘のソニーもまた同様です。もちろんコンテンツ関連に力は入れていますが。

 

 

 西側諸国でのものづくりが衰退する反面、中国があらゆる分野で力をつけ、凌駕しています。その中国とウィンウィンの関係で互いの発展を約束できればいいのでしょうが、熾烈な競争し合う間柄になり、日に日に分断の恐れが高まってきています。いち早くサプライチェーンバリューチェーンを再構築して闘いに備えなければならないのではないでしょうか。

 

「参考文書」

月の裏側から試料1935・3g持ち帰る…中国の無人探査機「嫦娥6号」 : 読売新聞

中国の無人探査機「嫦娥6号」が帰還 月の裏側で試料採取 - CNN.co.jp