Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

再び「選択と集中」なのか 企業現場の今

 

 かつて、日本の電機は世界を席巻していた。もうだいぶ前の話しだ。その時代、先端を走っていたソニーも長らくエレクトロニクス部門を建て直しできずにいた。東芝ウェスティングハウスとの問題で揺れに揺れた。そうした例に漏れずに多くの電機メーカが凋落し、時代は変化を続けた。AIやIoTの時代になり、5Gを筆頭に社会実装がこれか始まる。

 

 年末年始にかけてパナソニックの苦境を伝える報道が増えた。液晶パネル、半導体事業の売却と続いたことの影響だろう、いよいよパナソニックの終焉かと感じさせた。

 一方、ソニーはCESでEVを発表し、復活を強く印象付けた。社長が変わり、ソニー自身のパーパス、存在意義を明らかにした。先代社長のビジョン、ミッション、バリューを進化させた。

 それに比べると、パナソニックの改革は力強さが欠けているのだろうか。CES出展内容もインパクトの弱さが否定できなかったようだ。

 日経XTECHがパナソニック津賀社長のインタビューを報じた。テスラに見限られたように見えた車載電池にも引き続き注力していくと語り、黒字化のめどが見えているという。「暮らしアップデート」、「住宅建材に関連したビジネス」についても語り、トヨタ静岡県裾野市の建設する「Woven City」での協力を強調した。

 

暮らしという広い領域をカバーするためのインフラ的な事業をB to B事業としてしっかりと構築していくことが必要になる。こうした事業基盤を持ちながら、我々が主体となる、家を中心としつつ、家電や住宅設備などをコネクテッドホームウエア的なものに代えて、サービスを主体にものを見ていくという考え方が「暮らしアップデート」の中心に位置する。(出所:日経XTECH)

 

 「今ある事業をやみくもにつぶして新しいことをやるというのは日本ではさすがに難しい」と語る津賀社長の言葉が印象的だ。

 

 白熱灯とその付帯設備から始まった松下電器がやがて家電を始め、全国に隈なく特約店網を築いて大きく成長した。

 現在のパナソニックの強み、コアは何であろうか。

 「暮らしアップデート」を中心に据えることは理解できる。かつての販売の強さを取り戻すことはできないのだろうか。もう、そのノウハウは消え失せてしまったのだろうか。その力を取り戻ることができば、再び強大なエコシステムを形成することができるのではないか。

 トヨタの「Woven City」には数多くの企業が参加する。新生パナソニックのエコシステム形成の実験場でもある。

 

 

tech.nikkeibp.co.jp

 

 

 東芝も社長が変わり、新たな成長戦略で復活を目指すことになる。Forbesが車谷社長の声を紹介する。

 

「うちの技術者に聞くと、ものづくりのほうがソフトウェアに比べて圧倒的に難しいと言います。だから、勝機があると言っているんです」(出所:Forbes)

 

データ活用から新たなビジネスが生まれるとするならば、と車谷は考える。東芝には元々、製造業=フィジカルがある。そこをベースにサイバーへと融合を果たせば、より多くのユーザーデータを取得できる。データの量が次の時代の勝者の条件となる。彼が描く「勝ちパターン」はネット企業のそれとはベクトルは同じでも、上り詰める方法は逆だ。(出所:Forbes)

 

 その東芝が、IoTサービスの共同開発の連合を結成するという。参加企業は約100社。今年度中に一般社団法人を設立して、産学で連携する。米でアップル、アマゾン、グーグルがスマートホームの通信規格を統一すると動き出したが、その日本版ということであろうか。

  

「これから東芝は電機メーカーではなく、まったく違う会社に変化します。」とForbesが車谷社長の言葉を紹介していた。

  

forbesjapan.com

 

 やはりAI、IoTの社会実装はアメリカや中国に比べると遅れてしまったのだろうか。電機メーカが構造改革に手間取る間に遅れを取ってしまったといことなのか。

 

forbesjapan.com

 

 IT黎明期に立ち上がった企業たちはどうなんであろうか。AIやIoTの社会実装にどれだけ貢献しているのだろうか。気がつけば、労働生産性の低さが指摘されて久しい。働き方改革も一向に進まず、オフィスの灯かりは消えるが、カフェでPC作業をする人も増えていると聞く。

  

  EUでは、サーキュラー・エコノミー・パッケージが採択され、流通に変革が起きそうだ。再生可能エネルギーの比率が高まり、電力インフラのあり方にも変化があるだろう。モビリティ以外にも変革の波が起こり、AIやIoTが必要となりそう領域がまだまだあるだろう。

 

 

 再び「選択と集中」といわれ始めているようだ。コングロマリット化が潮流だといい、商社の内部化を事例にする。かつての電機メーカと同じ轍を踏んではならない。焦点を絞り切れずに、突き進む拡大路線が事故を招くこともある。どれだけコアという幹を太くする戦略が「選択と集中」というものだ。

 

 地球規模で社会課題が認識され、SDGSという国際目標が明確になっている。30年前の理論をそのまま今の時代に適用し考えることの危険性もある。株主第一主義で利益と成長のみが重視された時代から、ESG投資へと変化し経済の仕組みが変わりつつある。

 

 時代変遷とともにトップ企業は変わってきた。大量消費×IT社会はGAFAを大きく伸し上げた。SDGs×AI時代が始まる。大手やIT企業がいつまでもトップであることがなくなるのかもしれない。

  

「参考文書」

president.jp

business.nikkei.com

diamond.jp