米中対立が激しさを増すばかりです。米国は保護主義色を強め、「デカップリング」、経済の切り離しに発展、国内回帰を進めているよう。
そんな中、半導体受託生産大手のTSMC 台湾積体電路製造が中国に掌握されるようなことになれば、米経済にとって「間違いなく壊滅的な」ものになると、レモンド米商務長官が米下院公聴会で述べたそうです。
中国のTSMC掌握、米経済に「間違いなく壊滅的」=商務長官 | ロイター
中国による台湾侵攻、起こるかどうかわからない事態を想定しての議論のようです。米国は現在、最先端半導体の92%をTSMCに頼っているそうです。
米国防総省も中国の様々な脅威を感じているようです。防衛産業基盤評価では、米国経済の「着実な産業空洞化」により、軍事関連で使用される重要な鉱物や部品の国内生産を強化することに国防総省が関与せざるを得なくなっていると指摘したそうです。
「中国テック企業の台頭」が米国防総省の懸念となる理由 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
あまりに多くの企業が製造拠点を国外に移したため、軍需サプライチェーンの大部分において、生産に不可欠なものの国内供給源は1つしか残っていない。(出所:Forbes)
そればかりでなく、米国防総省は、軍事的ライバル国より一世代先行し続けることを可能にするイノベーションを求めているが、米国の製造業がそうした優位性を提供できる可能性は低いとみているようです。
日本も同様なのかもしれません。そんな中、ロケットから防衛装備品、火力発電のタービンまで手がける三菱重工がひとり気を吐いているのでしょうか。
ベンチャーしのぐ短期決戦、三菱重工が進める「ピボット開発」 | 日経クロステック(xTECH)
三菱重工は事業部ごとにあった研究部を集約して「総合研究所」を2015年に創設したそうです。約700の技術と500以上もの製品を抱えているといいます。700分野の専門家を有し、何千人も人員を抱えているといいます。効率的な研究・開発体制が求められ立ち上がった研究所といいます。
国の力強い支援で優遇されていそうですが。もしそうであるのなら、常に結果が求められるべきなのでしょうが、必ずしもそれが伴っていないようです。
日本よりはるか先を行く国が存在し、先行する分野が数少なくなるばかりに見えます。
米国防総省はAIソフトウェアのような最先端のイノベーションにも危機感を抱いているようです。
中国が台頭してくる一方で、これまでイノベーションを支えてきた巨大テクノロジー企業に規制をかけようとする動きが強まり、これが国の安全保障に破壊的な影響をもたらす可能性があるとみているといいます。
こうした現実を突きつけられると、日本のありさまがあまりにも貧粗ではないでしょうか。ハードウエアもだめ、ソフトウェアもだめ、日本の安全保障はますます厳しくなり、湯水のようにおカネが消費されていきそうです。
エヌビディア
GPU画像処理半導体などを手がける米半導体大手のエヌビディアが、AI人工知能向け半導体を含むいくつかのカテゴリーにおいて、中国通信機器大手のファーウェイ 華為技術を最大の競合企業として認定したそうです。
米エヌビディア、中国ファーウェイを最大の競合企業と認定 | ロイター
エヌビディアによると、ファーウェイは画像処理半導体(GPU)、中央演算処理装置(CPU)、ネットワーキング半導体などAI向け半導体の供給で競合している。ファーウェイはAIコンピューティングを向上させるために独自のハードウエアとソフトウエアを設計しているクラウドサービス企業とした。(出所:ロイター)
かつて技術立国といわれたことが懐かしく思い出されます。あの頃の創造性はどこに行ったのでしょうか。政府も企業も大切なものを失っていないでしょうか。
何か違う道を探してみてもいいのかもしれません。もう同じ土俵で戦うことすらできないのですから。
「参考文書」
インテルとクアルコム、ファーウェイ向け半導体輸出ライセンス取り消し | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)