国の規制により「安心・安全」が確保されるかと思えば、一方で、その規制がイノベーションを阻害する要因になったりする。
進まぬ社会実装 萎みかねないイノベーション
昨年12月に開催された規制改革推進会議の第6回投資等ワーキング・グループの会合で、河野太郎行政改革担当大臣が、「つまらぬ規制が沢山」、警察庁に「頭切り換えて」と発言したと自動運転ラボが報じる。
この会合で、議論されたのは、「自動運転の実装に向けた環境整備」。会合に参加した河野大臣はつぎのように発言する。
「日本の経済あるいは日本の製造業の中で、自動車産業は非常にインパクトの大きい産業ですが、この自動車産業が自動運転の時代にリーディング・インダストリーとして生き残れるかどうか、日本経済にとっても非常に大事なことでありますし、そのためには、自動運転というものが、日本でしっかりと開発されるということが何よりも大事だと思います」。
「自動運転の開発で世界の先頭を走らなければ、日本の自動車産業の未来はないと思ってもいいと思いますが、そういう重要性が理解されていない中で、つまらぬ規制が沢山あるというのが現実ではないかと思っております」。 (出所:第6回 投資等ワーキング・グループ議事概要)
他国が自動運転を実現するための制度設計するのに対し、国内の議論は、今ある規制緩和という視点からアプローチされているのかもしれない、と公開となった議事概要を読むと感じる。
河野大臣の厳しい論調もこうしたところに端を発しているのかもしれない。
環境規制はイノベーションを萌芽させるか
一方で、2050年のカーボンニュートラルの実現という目標によって始まる様々な環境規制はイノベーションを促すことになるのかもしれない。
日産自動車が1月27日、2050年までの事業活動を含めクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラル実現のための新たな目標を発表した。
日産によれば、その目標の達成に向け、2030年代早期より、主要市場に投入する新型車をすべて電動車両とすることを目指すという。
政府が、「遅くとも2030年代半ばまでに、乗用車新車販売で電動車100%を実現できるよう、包括的な措置を講じる」という方針を示したことで、自動車メーカ各社の動きを活発化させる。
「規制」が国内であまり進まなかったEVやFCVの普及が加速させ、思わぬイノベーションを起こしたりするのかもしれない。
サステナブルなルノーのコンパクトEV
フランスの自動車メーカー Renault(ルノー)がコンパクトEV「EZ-1」のプロトタイプを発表した。このEVのブランドは「Mobilize」という。このブランドは新しいモビリティ、エネルギー、データサービスのブランドでもあるという。この可愛らしいとともに発表された。
Mobilizeは、ユーザーが必要なときだけEZ-1を使用して、使った分の料金を支払うシェアリングサービスを想定している。この小型車は2人乗りで全長はわずか7.5フィート(約2.3m)、ドアは足元までガラス製だ。また、リサイクル素材を50%使用しており、交換可能なバッテリーで従来のような長時間の充電が不要になっている。 (出所:Business Insider)
とってもコンセプチュアルでサステナブルなEVだ。
こんなEVを街中で普通に見かけるようになれば、イノベーションの萌芽が実感するのかもしれない。もう直ぐ、そこまで来ているのだろうか。
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