EVで出遅れ感のあるトヨタが巻き返しに出るということであろうか。米国で電動自動車3車種を投入すると発表したという。
テスラが快進撃を続け、アップル・カーとの話まで登場するEVの世界。よくよく冷静になってみてみれば、期待先行でまだその市場規模は内燃機関車に比べれば遥かに小さいのが今今の状況でなかろうか。
今回のトヨタの発表は時宜が得たということなのだろうか。
ロイターによれば、バイデン政権が排ガス削減に向けた取り組みを強化する中、トヨタが電動化を推し進める姿勢を打ち出したという。
同社が米国で販売する車両は2025年までに4割がEVかハイブリッド車(HV)になり、2030年までにこの比率は7割に達するとの見通しも示した。 (出所:ロイター)
結局、EVにしろ、自動運転しろ、モビリティの未来はトヨタがリードしていくことになるのだろうか。
自動運転
トヨタが、自動運転車開発スタートアップ企業のオーロラと連携し、ウーバー・テクノロジーズなどの配車サービス企業向けに自動運転ミニバンの開発・製造を手掛けると発表したとロイターが伝える。この協業にはトヨタグループのデンソーも参加するという。この発表があったということは、それだけ自動運転の実用化に近づいてきているということなのだろうか。
トヨタのミニバン「シエナ」にオーロラの自動運転システムを搭載し、年末までに試験車両をローンチする。その後、配車サービス向け車両として投入する計画。
さらにオーロラは新たな提携の下、デンソーと自動運転車向け部品の量産を模索するほか、トヨタとは融資や保険、メンテナンスなどを含むモビリティーサービスの開発に取り組む。 (出所:ロイター)
オーロラがウーバー傘下の自動運転部門「ウーバー・アドバンスト・テクノロジーズ・グループ(ATG)」を買収し、トヨタがそのオーロラと手を組み、開発した車両をウーバーが利用する。
結局、テクノロジーの具現化、実用化にはトヨタの力が必要ということなのだろうか。
OTA ソフトウェア更新
米テスラが走行機能をソフトウエアを介して自動更新する技術「OTA(オーバー・ジ・エア)」を2012年から採用しているといわれる。
その技術をトヨタ自動車と日産自動車が2021年の新型車で投入すると日本経済新聞が伝える。それによると、トヨタは21年に高速道路でシステムが操作を担う高度な運転支援技術を搭載した「レクサスLS」を発売、これに合わせてOTAを本格採用するという。
ソフト更新で、車線変更・追い越しのタイミングやスピードなど自動走行を巡る機能を向上させるほか、ソフト自身にバグ(不具合)が生じたときにも素早く修正できる。将来的に自動運転レベルのバージョンアップなどもソフト更新で対応できる可能性がある。 (出所:日本経済新聞)
日本経済新聞によれば、テスラは19年春以降に出荷した全ての新車に完全自動運転に対応可能なコンピューターを搭載しているという。
オプション料金を払うと更新できる仕組みで、自動運転の料金は現在1万ドル(約105万円)だ。出荷時の性能に基づき対価を得る従来型のビジネスモデルは大きく変わる。 (出所:日本経済新聞)
さらに、日本経済新聞は、「モーターの出力レベルで走行機能を電子制御するEVが普及すれば、車の差別化要素はさらにソフトに移る。ハードのもの作りを基盤とした自動車生産のあり方も一変する可能性がある」という。的を得た指摘かどうかはわからないが、アップルまでがEVに参入するという。
ソフトウェアがハードウェアを差別化する重要な要素になったことはアップルの事例から間違いないのだろう。今はさらに進んで、そのソフトウェアを活かすために魅力的なハードウェアが必要になっていないだろうか。今ではGAFAはどこもハードウェアを作るようになった。アップルがEVを作るのも、そんな理由があるのではなかろうか。
「参考文書」