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【脱炭素化最前線】バッテリー交換式EVがあってもいいのではないだろうか

 

 2003年に始まったテスラが、こんなに早く時価総額トヨタを一時的にせよ抜くなんてことは、ほんの少し前までは想像することもしなかったことである。テスラのたゆまぬ努力もあってのことであろうが、外部環境の変化も後押ししたのだろう。

  今では、石油メジャーのBPも「脱石油」を宣言し、石油事業を縮小する代わりに、EV用充電設備の設置を進めているという。 

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 かつてベタープレイスという会社があった。バッテリーを交換式にして、EVの弱点と言われた充電時間の問題や充電設備の問題を解消しようとした。10年以上の前のことだ。この会社は現在のテスラを見ることなく、2013年に解散してしまった。 

 

 

コンビニの配送トラックをバッテリー交換式EVトラックに

 その着想にヒントを得たのだろうか、環境省が、バッテリー交換式にしたEVトラックをコンビニの配送車両として利用、また、コンビニの配送拠点をバッテリー交換もできるエネルギーステーション化する実証事業を始めているという。

 

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(資料出所:環境省「配送拠点等エネルギーステーション化による地域貢献型脱炭素物流等構築事業」

 

 時事通信によれば、バッテリーの充電には地域の再生可能エネルギーを活用することで物流からの温室効果ガス排出を削減して地球温暖化対策を進める狙いもあるという。また、コンビニなどの配送センターにバッテリーを常備するため、災害時は、食料をはじめとした支援物資を避難所に送り出す役割も担ってもらうという。 

配送センターが大手電力会社のネットワークから独立した電気の供給源を持てば、停電時も食料を温度管理しながら、EVトラックで被災者に届けられる。このため、環境省は支援物資の受け入れと避難所への送り出しの拠点として機能するとみている。さらに、バッテリーを避難所へ運搬し、電源として使うことも視野に入れている。 (出所:JIJI.COM)

www.jiji.com

 

 ここ最近増える激甚災害を思えば、良い取り組みに思える。災害対策は、ひとつの対策に頼ることなく、重層的な対策が求められるだろうし、それが日常の中でも活用され、温暖化対策にも役立つのであれば進めるべきことなのだろう。いざ実用化となれば、バッテリーの標準化などの課題もあるのであろうが、こうした事業であれば国が主導してもよいのではなかろうか。 

 

 

 2009年、環境省はベタープレイス社とバッテリー交換ステーションの実証試験を行ない、バッテリー交換式の有用性を確認していた。

 

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(資料出所:環境省「ベタープレイスの取り組みと環境省実証試験のご報告」

 

 ベタープレイスが登場するのが、もう少し遅かったらEVの普及にもう少し違う展開があったのかもしれない。

 

www.nikkei.com

 

電動バイクはバッテリー交換式に

 電動バイクはこのバッテリー交換式が採用され始めているようだ。ホンダは「BENLY e:」を発売、日本郵便が導入しているという。食事の宅配事業者などでも取り入れる動きが出ているがあると時事通信はいう。 

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 大阪では、このEVバイクを利用した実証事業「e(ええ)やんOSAKA」が始まるという。川崎重工業、スズキ、本田技研工業ヤマハ発動機の二輪4社が設立した「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」と連携して実験を推進するという。 

eやんOSAKAでは、大阪府と包括連携協定を締結する大阪大学の学生や教職員に二輪EVを有料で貸与。これに併せて大阪大学(吹田キャンパス、豊中キャンパス)および周辺地域の連携コンビニエンスストア・ローソンにバッテリー交換場所を多数設置する。

残量の少ないバッテリーを満充電のものに交換できるようにすることで、バッテリー交換式二輪EVがラストマイル・シェアリング(自宅などの出発地から近くの目的地またはバス停や駅までの移動を支えるシェアリング型の移動サービス)を社会インフラとして定着させるための課題抽出を行う。 (出所:日経BP 新・公民連携最前線)

project.nikkeibp.co.jp

 

バッテリーシェアリングサービスの有効性

  バッテリー交換式EVが普及することはないのだろうか。現在のバッテリー内蔵式との併用もあってもよさそうだ。ベタープレイスのようなベンチャーが登場してもいいのかもしれない。バッテリーは自動車だけのものでなく、様々なシーンも利用できるはずだ。バッテリーシェアリングサービスが始まって欲しいものだ。

 

 

 Lnewsによると、小泉 進次郎環境大臣は9月11日、日本橋郵便局を訪れ、日本郵便が郵便配送に活用しているEVバイクの導入現場を視察、「コロナ禍でECやフードデリバリーなどラストワンマイル配送の需要が急激に伸びていることもあり、ニューノーマルにおける取り組みの一つとして、配送車両のEV化によるCO2の削減が非常に重要だと考えている」と語ったという。

「日本が脱炭素化の方向に力強くシフトしている様子を見ることが出来てうれしく思う。日本郵便やホンダのような先進的な取り組みを実施している企業とも連携しながら、環境省としてラストワンマイル配送車両のEV化を力強く進めていく。ラストワンマイル配送にはさまざまな分野があるので、二輪車だけでなく、四輪車のEV化も環境省で後押ししていきたい」とコメントしたという。

www.lnews.jp

 

 気候変動対策、脱炭素化が新たなビジネスチャンスを生み、新たな経済成長の機会になるのかもしれない。

 

「関連文書」

dsupplying.hatenadiary.com

  

newswitch.jp

 

newswitch.jp

 

「参考文書」

www.honda.co.jp