かつてド派手な記者発表会を開いていたパナソニック、旧松下電器産業だった頃のことだ。今まではそうした派手な記者会見は鳴りを潜め、送られてくるプレスリリースは事業撤退に関するものが目につくとNHKはいう。
「パナソニックはどこに向かうか?」、取材を進めると根深い課題が横たわっていることが見えてきたとNHKは指摘する。
政府が2050年のカーボンニュートラルの達成を目標にし、その実現にはライフスタイルの転換が不可避という。そのライフスタイルに深く関わりのあった企業のひとつが、かつてのパナソニックだったのではなかろうか。
大企業病
記事によれば、大企業病に蝕まれ、それを組織改革によって治療してきたのが、これまでのパナソニックということなのだろうか。グローバル競争に挑むことができる体制づくりと、経営の実行力が問われているという言葉で締めくくる。
記事が指摘する「大松下主義」が蔓延り、それが企業文化を形成しているのなら、組織をいじくり回す改革には限界があるのではないであろうか。
アップルが自動車を作る?
米アップルが自動運転車を製造するかもしれないという。関係筋の情報としてロイターが報じる。それによれば、自動運転車の開発を推し進めてきたアップルが、2024年の乗用車製造開始を目指していることが複数の関係筋の話で明らかになったという。自社開発の電池が搭載される見通しだという。
アップルの意図的な情報リークなのだろうか。ロイターが伝える「アップルは電池価格の大幅な低下と車の航続距離の向上につながる新たな電池の開発を戦略の中核に置いている」とか、「関係筋はメーカーと提携する公算が大きいとしている」と聞くと、ありえなそうな話で、まんざらでもないような気になるが、どうなのであろうか。
自分たちの強みである技術が活かせ、コアコンピテンシーから外れず、そして、今自ら積極的に進めるカーボンニュートラルにも貢献でき、ある程度のマーケットが見込めるなら進出もあったりするのだろうか。
言い訳
パナソニックにも、社員を含め誰もがときめく、パナソニックらしいプロジェクトがあってもいいのかもしれない。
メーカーであるなら、やはりモノ、ハードウェアにこだわるべきなのではないだろう。それをどう作り、どう売っているのか。世界のどのメーカーもハードウェアなくして成功した事例などないのではなかろうか。今では顧客をつなぐのがハードウェアになっていはいないだろうか。
パナソニックもアップルと同じ電機メーカなのだからできないはずがないし、まして今社会が求める脱炭素社会の実現に貢献できる多数の技術やプロジェクトを有しているのだから。
結果が出なければ、真剣に取り組んでいないと見られても仕方がないのかもしれない。
焦点を絞る
嫌になるほど分析を行ない、マーケティングして、いくつもの戦略を練り上げる、おそらくそんなことを繰り返していたはずである。それでもパナソニックらしい商品が出てこない。
一方、ライバルであり、同じ電機メーカのソニーはEVのプロトタイプを作って世間を多いに賑わした。今、ソニーはそのEVを作り販売しているわけではない。
EV用バッテリーで協業するテスラは家庭用蓄電池の製造販売を手がけ、かなりの安価で提供しているという。パナソニックにはそうした安価の製品を作ることはできなくなってしまったのだろうか。
企業文化
かつて松下電器産業と言われていた頃、「大企業病の戒め」という社訓があったと聞く。
- 自分はよくやっていると自惚れている
- 上司は部下を叱らない
- タブーが多い
- 決めない・決まらない
- 上を向いて仕事している
- 報告や説明は巧いが自らはやらない
- 現状に甘んじ新しいことに挑戦しない
まさに、NHKが指摘した「大松下主義」のことからもしれない。組織をいじくり回しても、こうした文化は変化しないのだろう。
素晴らしい社訓がある。それをもとにした経営者による原理原則による指導が必要なのかもしれない。そして、もう一度「パナソニック」というブランドを再生すべきだろう。 かつての松下には「ナショナル」という確固としたブランドイメージがあった。初期のパナソニックもそうだったのかもしれない。
NHKの記事を思ってそんなことを思った。現場を見た訳ではないから、正確なことではないかもしれない。ただひとりの顧客として感じたことでもある。
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