Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

EVの未来予想図 中国北京モーターショーとテスラの「バッテリー・デー」 

 

 中国北京市で26日、 世界最大級の自動車展示会 北京モーターショー2020が始まったという。AFPによれば、今年の北京モーターショーは「知恵で未来をけん引」をテーマに、世界初公開車82台、コンセプトカー36台、新エネルギー車160台を含む785台を展示するという。

 AFPが伝えた写真をみると、トヨタは自動運転のEV「イーパレット」を展示し、中国自動車大手、中国第一汽車集団は、来年7月から量産が始まる「紅旗スマート2.0ミニバス」を展示、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)も「スマートコックピットソリューション」を展示しているようだ。

 

www.afpbb.com

 

 その展示規模からすれば、中国の自動車熱がまだまだ高そうだ。

 

 

 

テスラ 電池内製化と260万円のEV構想

 テスラは、北京モーターショーに先立って22日、株主総会を開き、それに続いて「バッテリー・デー」というイベントで、電池事業の今後について説明をした。 

 テスラとイーロン・マスクにはただ驚かされる。というか、ほんとうはそうあるべきなのかもしれない。 3年後、260万円のEVを販売し、そのためにバッテリーを内製するという。

 「値ごろなEVを発売することは、会社設立以来の我々の夢だった

イーロン・マスクが22日の「バッテリー・デー」で語ったと日本経済新聞が伝える。このイベントでは、電池事業の今後について説明もしたようだ。

 

大幅な価格低下を可能にするのが、EVコストの約3割を占めるとされるリチウムイオン電池の内製化だ。

テスラは22日、パナソニックなど外部から供給を受けてきた中核部品の円筒形セルについて、2022年にEV140万台分に相当する年間100ギガ(ギガは10億)ワット時を自社生産する計画を示した。

現在のパナソニックからの購入量の約3倍の規模だ。 (出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 一方、ブルームバーグは「技術や製造の革新に関する説明は印象的だったが、テスラの突発力は既に時価総額に反映されており、期待の高かった今回のイベントでサプライズがなかったことに投資家は失望しているのではないか」という。確かに、このイベントの後、テスラの株価は一時7%下落した。

  

www.bloomberg.co.jp

 

 

 

中国EVメーカトップにとっての、テスラの「バッテリー・デー」

 ブルームバーグによれば、北京国際自動車ショーでは、むしろテスラのこうした計画の実現に期待を寄せる声があったという。

 威馬汽車(WMモーター)最高経営責任者の沈暉氏はテスラの計画は「われわれにとって良いことだ」と述べたという。

テスラが中国に進出してとても喜んでいる。テスラはまさに初期のアップルのようで、市場全体を教育してくれる

中国携帯電話市場では、アップルのシェアを小米やオッポ(OPPO)、華為技術(ファーウェイ)など地元勢が奪っている。沈氏はEV市場においても長期的にはテスラに同じことが起こると予想。「主流」EV市場でのテスラのシェアは5-10年で大きく減るとの見方を示した。 (出所:ブルームバーグ

 

www.bloomberg.co.jp

 

 EV市場がまだ5%未満ということもあるのか、小鵬汽車の顧宏地副会長は、テスラが上海工場の生産能力を今後数年以内に年100万台に拡大する計画は懸念材料ではないと語ったとブルームバーグが伝える。

 イーロン・マスクCEOが「100万台を達成するとすれば、われわれの予想より市場がずっと速いペースで大きく成長したことを意味する」と話す言葉に期待を寄せているのかもしれない。蔚来汽車(NIO)の李斌CEOは「総体的な電池コストの低下はEV普及の手助けになる」と語ったという。

 

 

 

需要が復調 

 EVを含めた新エネルギー車の販売は今年6月まで1年余りにわたって前年同月比で減少を続けてきたという。だが、今年7月は19.3%増と反転し、8月には26%も増えたと、ロイターは需要が復調したという。

LMCオートモティブの予想では、新エネルギー車の乗用車の販売は今年8.9%減少するが、来年は48.4%増えて152万台に達し、全乗用車販売の7%を占めそうだ。 (出所:ロイター)

 

jp.reuters.com

 

  こうしたのことの証左になるのだろうか、北京モーターショーでは、新エネルギー車の展示が160台になっているようだ。

 

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国内のEV化は進展していくのか

 翻って国内、中国と多少温度差があるのだろうか。国内のEV動向はどうなのだろうか。昨年、トヨタが「100年に一度の変革期」といい、「CASE」が本格化的に動きだすようかに思われた。オリンピックが開催されていれば、その場で、「CASE」が実現する世界を見ることができたのかもしれない。

  

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 コロナ渦で、自動車業界の苦境を伝えるニュースが多い。構造改革に目が奪われがちだ。日産は、国内ではEV関連車種を追加し電動化率を60%以上にするという。さらに、2023年度までには年間100万台以上の販売を目指すという。国内のEVは加速するのだろうか、それとも、最優先市場中国から浸透を狙うということになのだろうか。

 自動車業界の未来予想図がそろそろ気になりだす。テスラが引き起こしている追い風に乗ることはできるのだろうか。

 

 

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