Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

バイオテクノロジーの世界 ユーグレナが目指す「人と地球の健康」

 

  西武バスが、ミドリムシユーグレナ社のバイオディーゼル燃料を採用、路線バスに使い始めている。

 普通のディーゼルエンジンで使えることがこのバイオ燃料のメリットだが、まだ価格が高価ということもあるのだろうか、通常の軽油と混合して使用しているようだ。毎日新聞によれば、通常のディーゼル燃料で走るより二酸化炭素排出量が10%削減できるという。混合比率が上がれば、もう少し二酸化炭素の排出を削減できるのだろうか。

 

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 西武ライオンズの若獅子寮から出る廃食用油(月約60リットル)をユーグレナの燃料製造に提供し、西武バスは、燃料増産に合わせて使用車両を増やしていくと毎日新聞は伝える。

 

mainichi.jp

 

 

 

バイオテクノロジーミドリムシの可能性 

 今からおよそ5億年以上前に大気中の酸素濃度を上昇させ、生物に急速な進化と多様性をもたらした立役者ミドリムシ。体長約0.05mmと髪の毛の直径よりも小さく、植物と動物両方の性質を持つと、日経BP未来コトハジメは説明する。

 この稀有な生物が持つ力を借り、バイオテクノロジーによって食品からバイオ燃料までを作り出そうとしているのがユーグレナだ。ミドリムシの力を「5F」に応用し事業化する。「5F」とは、Food(食糧)、Fiber(繊維)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)を指す。

 ミドリムシの豊富な栄養素を「食糧」に活かし、ミドリムシにしかない成分パラミロンは「繊維」に活かす。燃料はミドリムシの脂質から作ることができる。燃料製造で出る残渣は、その成分であるタンパク質を活かして飼料・肥料として販売できるという。

 ただ、燃料を石油代替とするためには、1リットルで100円前後という価格を目指さなければならないという。 これに反し「食糧」はマーケティングなどによって価値を高められる可能性があるという。

 

project.nikkeibp.co.jp

 

 

 

ミドリムシユーグレナマーケティング会社

 そう言ったのはユーグレナ社の取締役副社長 永田暁彦氏。Agenga noteのインタービューで答えた内容だ。

ミドリムシ」、この言葉を聞いたことがある人は90%。「ユーグレナ」、という言葉を聞いたことがある人は50%。全世代に向けた認知率調査の結果だ。 (出所:Agenga note)

 

 和名では「ミドリムシ」というが、英名は「ユーグレナ」。そのユーグレナが社名になっている。

 ミドリムシ、「小学校の理科の授業で、顕微鏡をのぞくと動いていた緑色の微生物」と、Agenga noteの記事筆者は説明する。「食べたり、何か別の用途に使ったり出来る、という認識はありませんでした」という。 

 

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  意外にそういう人が多いのかもしれない。 

人間のカラダがユーグレナを摂取すると、どんな効果が得られるのか、という便益に対する理解を上げていくために、ヒト臨床試験などを行い、ファクトづくりを強化し、メディアで情報を受け取った人の納得感を高めるよう、PRと広告で発信するという活動を地道に行っている。 (出所:Agenga note)

 

agenda-note.com

 

 そうした地道な活動に加え、ユーグレナは、バングラディシュでユーグレナ入りクッキーを無償で配布、子どもたちの栄養問題の解決を目指すプログラムを展開する。そのプログラムが始まったのは2014年、SDGsが国連で採択される前のことだ。ユーグレナ製品の売上の一部をこのプログラムの協賛金にあて、ユーグレナクッキーを寄贈する。そして、その数が1000万食に達したという。

 

www.euglena.jp

 

人と地球の健康」がユーグレナ社の目標と聞く。こうした活動で、その目標に一歩近づいているのかもしれない。

 西武バスなどが利用が始まったバイオディーゼル燃料が普及すれば、CO2の排出を抑制し温暖化対策に役立っていく。普及するようであれば、大規模設備につながり価格は下がるかもしれない。飛行機、船舶、トラックなどに今のままで使用できる燃料と聞く。多くの人がこのことを知れば、もう少し普及しないだろうか。

  それまでは、ユーグレナの地道な活動が続くということなのだろう。

 

dsupplying.hatenablog.com