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【SDGsと水資源】 垂直農業で挑む「水節約」と「ゼロエミッション」

 

 海外記事を読んでは、世界のあちらこちらで、未来を危惧し、行動を起こす人たちがいると気づく。

 東南アジアでは、海洋に流出するプラごみの多さを憂い、問題を提起し、活動する人々を紹介する記事が多いと感じる。地域ごとに、現代の矛盾とでいえそうな、それぞれの問題を抱える。しかし、その背景には、コロナ渦や気候変動による異常気象の影響など、世界共通の課題がありそうだ。

 

www.malaymail.com

 

 

インドの水危機と垂直農業

 インドでは、「水資源」に危機を感じ、垂直農業にチャレンジするベンチャーがあるとTechCrunchが伝える。

 「深刻な干ばつにより、インドの一部地域では河川や貯水池の水が流出し、世界第2位の人口を誇るこの国の5億人以上の人々が2030年までに飲料水を使い果たすと推定されている」。

 衝撃的なことだ。少子化が進み、水が豊富な日本では考えられない。

 

 

 

 インドでその垂直農業に挑むのは、UrbanKisaan(アーバンキサーンス)というスタートアップ。 大量に水を消費しているインドの農業に一石を投じることはできているのだろうか。

「作物を育てるために土壌や有害な化学物質を一切使用せず、従来の農場に比べて水の使用量を95%削減しています。水が流れ続け、何度も何度もリサイクルされるような水耕栽培システムを構築しています。より少ない水を使っているにもかかわらず、UrbanKisaanは30%以上の作物を生産しています」と最高経営責任者であるVihari Kanukollu(ビハリ・カヌコル)氏が説明するとTechCrunchが紹介する。

  

jp.techcrunch.com

 

  かつて、中国黄河では、大量の水が農業用に汲み上げられ、下流域で水が途絶えるという断流問題がおきた。世界では、こうした水資源に関わる問題が絶えないようだ。

 

欧州初のゼロエミッションを目指す都市型垂直農業

 国内では、紀ノ国屋が、都市型垂直農業を展開する独Infarm(インファーム)製の水耕栽培装置を店内に導入、その装置で作られた野菜の販売を始めたという。

 

dsupplying.hatenablog.com

  

 垂直農業とは、高さのある建築物の階層や、傾斜面をつかって農業をすることをいう。Ideas for Goodによれば、平たい畑や温室などで野菜を栽培する代わりに、都会の超高層ビルや、輸送用コンテナ、使われなくなった倉庫などで、高さを利用して垂直的に農作物を生産することをいうそうだ。従来の農業のように広い土地がいらず、都市でも食物を生産できることが特徴的だという。

 

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 Techcrunchによると、Infarm製の垂直農法ユニットは、モジュール式でIoTを搭載しているという。

土壌ベースの農業よりも使用するスペースが99.5%少なく、水の使用量も95%少なく、輸送量も90%少なく、化学農薬もゼロであると主張している。

また、Infarmのネットワーク全体で使用する電力の90%は再生可能エネルギーを使用しており、同社は来年にはゼロエミッションの食品生産を達成する目標を掲げている。 (出所:TechCrunch)

 

 今はまだハーブや葉菜類の栽培になっているが、近い将来、根菜類、キノコ類、花卉(かき)類、さらには世界中のスーパーフードにまで拡大することができるとInfarmはそういうとTechCrunchが紹介する。

 

jp.techcrunch.com

 

 

 

ファミマが植物工場産野菜の普及に動く

 国内では、コンビニの総菜などで、植物工場産の葉菜類が多く使われていると聞く。ファミリーマートが、その植物工場産の野菜の普及に向け、バイテックベジタブルファクトリー(VVF)と協業するという。

 流通ニュースによると、ファミリーマートは2015年4月から植物工場で栽培された野菜を導入し始め、その使用量は、導入当初と比較し約60倍となっているという。

 

植物工場の野菜は、閉鎖された環境で栽培を行うため、天候や災害による影響を受けにくく、一年を通して安定した供給が可能となる。虫がつかないため農薬を使用する必要がなく、安全・安心であることが特徴となっている。また、野菜の洗浄などの手間も少なく済むことから、省力化・省資源化につながる。捨てる部分が少ないことからフードロスも最小限に抑えられ、環境負荷も軽減できる。 (出所:流通ニュース)

 

www.ryutsuu.biz

 

まとめ 垂直農業の可能性

 Infarm製のモジュール式水耕栽培装置があれば、様々な展開が期待できそうな気がする。都会はもちろんのこと、太陽光とのセットであれば、食糧危機にある地域に設置することはできないのだろうか。また、そうした地域で、新たな雇用を生みだすことができたりしないだろうか。

 国内では、今年、異常気象の煽りで、野菜高騰が頻発した。植物工場や都市で垂直農業が広がれば、野菜の価格安定に役立つのかもしれない。

 

 

「参考文書」

ideasforgood.jp