三菱自動車が中国での生産から撤退する方針を固めたそうです。EV電気自動車の普及に加え、地元中国メーカがシェアを伸ばしていることが理由のようです。
三菱自動車、中国生産撤退へ EV出遅れで販売不振 - 日本経済新聞
苦戦する日欧米の自動車メーカで、戦略の見直しが広がる可能性があるそうです。
今年7月、中国の自動車販売台数の50%余りをBYD(比亜迪)や吉利汽車など中国メーカが占め、トヨタや米フォード、ドイツのVW フォルクスワーゲンなど日米欧のメーカーがシェアを奪われたといいます。外国ブランド車の人気は陰り、中国消費者の間で国産車を好む傾向が強まっているといいます。
トヨタもテスラも挽回不可能か-中国自動車市場で地元勢シェア50%超 - Bloomberg
製造コストを抑え、手頃な価格の中国製EVの躍進が続き、西側の自動車メーカーは世界シェアの約2割を失うとの予想もあるといいます。
こうした中、韓国の現代自動車は生産設備を売りに出し、フォードは人員を削減、ステランティスは昨年、中国で唯一の「ジープ」工場を閉鎖したそうです。
独メルセデス・ベンツグループは激しい価格競争に巻き込まれ、メルセデスの中国での売上高が上期に9.2%減少したといいます。中国経済の減速が重しとなっているといいます。
中国の高成長もはや当てにできない、慎重さ必要-独メルセデスCEO - Bloomberg
2年前までは、中国市場について強気な見方を示していたメルセデス・ベンツグループのCEOは、中国の高度成長を当てにすることはできないとの認識を示し、「少し慎重なスタンスをとり、事態の推移を見守る必要がある。短期的に経済が急成長を遂げるとは予想していない」と述べたそうです。
「中国経済のダイナミズムは戻らない」、中国経済の「厳しい未来」を予測する専門家が多いようです。中国経済の危機は景気循環的というよりも構造的なもので、成長鈍化が続き、当初見込みよりもさらに鈍化する可能性があるとの声もあるようです。
アングル:中国経済に「厳しい未来」、構造的危機で世界に悪影響も | ロイター
巨大な市場に加え、高い成長率で人々を吸引してきた中国が曲がり角を迎えているのでしょうか。経済成長が止まっても、それでも巨大市場であることには変わりはないのでしょう。自動車産業ばかりでなく、他の業界における今後の中国戦略に変化はあるのでしょうか。
インフレに苦しむ欧米とは異なり、この先中国はデフレに陥る可能性があるといいます。そのなれば日本が経験したような価格下落に苦しむのようになるのでしょうか。しかし、それは逆に他の国にとっては朗報になる可能性もあるような気がします。この点も考慮して、戦略を練り直す必要はありそうです。