株価を順調に伸ばしてきたアップルが受難の時を迎えているのでしょうか。一時3兆ドルを超えた時価総額がこのところはさえないようです。
先々の業績不安で急落した株価が、新製品発表会をひかえ期待の高まりから値を戻しつつありしたが、中国政府によるiPhoneの使用禁止報道で再び急落しました。
そこにフランスの規制当局が、「iPhone(アイフォーン)12」について欧州の基準値を超える電磁波が放出されているとし、フランスでの販売中止や是正措置をアップルに命じました。ドイツとベルギーの当局も調査を進めることになり、EU 欧州連合全域に広がる可能性も出ているといいます。
電磁波漏洩
この問題を受け、アップルは、消費者からの問い合わせに対し自ら進んでいかなる情報も提供しないようテクニカルサポートスタッフにガイダンスを示したといいます。
アップル、テクサポートスタッフに口閉ざすよう要請-電磁波問題で - Bloomberg
スマホの安全性を巡る顧客からの質問には、スタッフは全てのアップルの製品は安全性を確保するために厳格なテストを通過していると回答するよう求められている。(出所:ブルームバーグ)
一方、フランス政府の経済デジタル相はアップルに対し、2週間以内にソフトウエアを更新し問題を解決するよう伝えているそうです。致命的なハードウェアの欠陥による電磁波漏洩ではなく、人体への影響はなそうな感じますが、今後のアップルの対応が気になります。
iPhone 15
アップルは12日、予想通り新機種「iPhone 15」シリーズを発表しました。それでも株価は回復していません。新しいiPhoneをしのぐほどに米中対立が深刻で、アップルに不利な方向に風が吹いているようだといいます。まだアップルの株価が回復基調に戻ったとは言い難い状況のようです。
それでもiPhone 15は、中国でも高速チップと改善されたゲーム機能が支持されているといいます。
しかし一方で、中国・ファーウェイ(華為技術)の新機種「Mate60」を選好する声も出ているそうです。
新型iPhone15、中国で高い関心 ファーウェイ選好の声も | ロイター
ソーシャルメディアユーザーの間では米国ブランドを選ぶことに懸念の声も。国営メディアが今月、ファーウェイの新型スマホ「Mate60プロ」を取り上げ、中国が米国の制裁に打ち勝ったとして称賛した後ではなおさらだ。(出所:ロイター)
IDCによれば、中国高級携帯電話市場におけるアップルのシェアはファーウェイとの競争激化により徐々に低下していくだろうと言われているようです。
ファーウェイ
米国のレモンド商務長官が、ファーウェイが先進的な半導体を搭載したスマートフォンを大量生産できるという証拠はないと述べたそうです。
ファーウェイ新型スマホ、大量生産可能な証拠ない=米商務長官 | ロイター
このスマホのプロセッサは、中国 SMIC(中芯国際集成電路製造)の新しい7ナノメートルのチップが使用されているといわれ、これを米政府が規制対象としたオランダの半導体製造装置メーカーASMLの高度な極端紫外線リソグラフィ装置を使わず製造したとみられているそうです。これは賞賛すべきことと中国国内での意見がある一方で、どの程度の歩留まりで生産できるのかという疑念もあるようです。歩留まりが低下すれば、当然ながらスマホをそんなに大量に生産できなくなります。
中国企業が政府からの多大な資金援助なしに存続できるようになって初めて、半導体戦争における永続的な勝利に近づいたと言えるだろう。(出所:ロイター)
アップルは、とんだ争いに巻き込まれてしまっているようです。今後、どんな結果がもたらされることになるのでしょうか。
アップルが今後の中国ビジネスをどう読み、どう対応していくのか気になります。要らぬ争いに巻き込まれながらも、それなりに販売を続けていくことになるのでしょうか。
「参考文書」
コラム:ファーウェイ新型スマホ支えるSMIC、実力は未知数 | ロイター
フランスがiPhone 12の販売禁止 懸念される電磁波の体への影響とは? | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
iPhone 12の電磁波問題、ドイツやベルギーも調査へ 欧州全域で販売禁止も | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
電波を理由にフランスがiPhone 12を販売停止。アップルは反論 | ギズモード・ジャパン
アップルの時価総額下落は「閉ざされた」世界経済への警告 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
アップル7─9月も減収見通し、直近実績は予想超え 時間外で株価下落 | ロイター
iPhone 15シリーズは「Pro Max」が好調、中国の禁止令の影響は軽微 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)