南アフリカで開かれたBRICSの拡大首脳会議に出席した国連のグテーレス事務総長が、国連安全保障理事会や既存の国際金融システムが、昨日の世界を反映したものとして早急な改革を促したそうです。
国連安全保障理事会は「過去のもの」 事務総長、BRICSで改革要請 - 日本経済新聞
既存の国際秩序が「アフリカ諸国の多くが植民地支配を受けていた第2次世界大戦後につくられた」と指摘。特に安保理や、国際通貨基金(IMF)、世界銀行などのブレトンウッズ機関について「改革しなければ(世界の)分裂は避けられない」と警告した。(出所:日本経済新聞)
常任理事国の5カ国が拒否権を行使する国連安保理の機能不全や、IMFなどの融資条件が厳しすぎることへの不満が「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国にあるといいます。事務総長の発言は、西側中心の国際秩序に不満を持つ国々が中国主導のBRICS拡大に乗り、米欧などとの亀裂を深める構図への危機感からではないかといいます。
米国では、世界の中央銀行関係者や経済学者が集う経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開かれ、「世界経済の構造転換」をテーマに中長期的な成長などを議論したといいます。
ジャクソンホール会議開幕 市場動かす日米欧の中銀集結 - 日本経済新聞
米中の覇権争いは避け得ないものになりつつあるようです。ほんとうに、このままの枠組みでいいのでしょうか。
グローバルサウス糾合、BRICS拡大
BRICS首脳会議では、アルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国の加盟を決定し、2024年1月1日に正式に加わることになるといいます。
BRICS、サウジなど6カ国が来年加盟 歴史的拡大と習中国主席 | ロイター
このBRICS拡大は、「グローバルサウス」の糾合を図る中国によって主導されたそうです。議長国の南アフリカのラマポーザ大統領は「BRICSは公平な世界、公正な世界、包摂的で繁栄する世界の構築に向けた取り組みで新たな門出を迎えた」と表明し、「今後さらなる段階が続く」と述べたといいます。
また、中国と対立し、日本と米国、オーストラリアとの協力枠組み「Quad(クアッド)」に加わるインドのモディ首相は、「BRICSの拡大は、20世紀に設立され時代遅れとなった他の国際機関の模範となるはず」と述べ、「BRICSの拡大と現代化は、世界の全ての機関が時代の変化に合わせて形を変えていく必要があるとのメッセージだ」と主張したそうです。
新たな潮流のようなものを感じます。グローバリゼーションが新たな局面に入ったということなのでしょうか。歴史を振り返ってみても、いつまでも同じ国が主導権を握り続けることはないのですから。
米国と中国の間に位置し、その場所を変えることができない現実を鑑みれば、今のままであり続けることがベストではないような気もします。
国民を焚き付けて防衛力を強化することで反発を招き、それがひょんなことからエスカレートして、貿易が影響を受けたり、インバウンドにも影響するようではあまり得策とは思えません。その被害は国民が受けるのに、国は何を優先しているのでしょうか。政治の力の差をまざまざとみせつけられているような気がします。
インドのように現実的に対応していくのが外交における賢さではないでしょうか。