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中国恒大集団騒動、波及拡がる、ソフトバンク株価は値上がり、鎮静化はあるのか

 

 中国が恒大集団の債務危機で揺れているかと思えば、習主席が「今後は、海外で石炭火力発電所を新設しない」と、国連でスピーチしたという。

 石炭火力について話せば、そちらに国際世論はたなびく。恒大のことは言及しなかったのだろうか。

習主席 国連総会一般討論で演説「中国が覇を唱えることはない」 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 そうはいっても、恒大の件で世界は揺れ動いているようだ。

 ロンドンの金属取引所(LME)の非鉄金属相場が全面安となったという。

LME非鉄、リスク回避で全面安 恒大集団の債務懸念 | 鉄鋼・非鉄金属業界の専門紙「日刊産業新聞」

 恒大集団の過剰債務問題が深刻化しつつあると、みてのことのようだ。非鉄金属のファンダメンタルズ(需給要因)に変化はないものの、ドル高の進行で値が下げやすくなっているという。

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 20日期限の利払いは行われなかったとブルームバーグが報じる。事前の通達もあり、想定内ということだったのだろうか。次の利払いは23日だという。

23日に22年3月償還債の8350万ドルの利払い、29日には24年3月償還債の4750万ドルの利払いが控える。

いずれも利払い日から30日以内に支払いを履行できなければ、デフォルトとなる。 (出所:ロイター)

 ロイターによれば、ソフトバンクグループの株価が上昇幅を拡大させたという。恒大集団が23日の利払いを実施すると伝えられたことが好感され、買いを集めたという。

 

 

「この問題が、世界経済に決定的な打撃を与えるとは思わない」と言われるが、投資家は多額の債務不履行(デフォルト)が発生する可能性に戦々恐々としているとロイターは指摘する。

中国恒大デフォルト懸念広がる、影響の大きさなお不透明 | ロイター

恒大の債務問題は、民間の不動産開発業者にとって銀行融資の確保が難しくなり流動性が逼迫する恐れがあるほか、資産の40.7%が不動産部門に関連していると推定される銀行部門に悪影響も見込まれるため、投資家は「潜在的なリスク波及」について懸念を強めていると説明。

ただ、同社の債務危機は中国の金融システムに対するシステミックリスクになり得るものの、「中国版リーマン危機」になる様相ではないとした。 (出所:ロイター)

 

 

アングル:グッチのバッグやダイソン家電 中国恒大の理財商品、派手に販促 | ロイター

 ロイターが、恒大の理財商品の実態を報じる。それによると、中国政府が昨年、不動産開発会社の債務上限をさらに厳格化、恒大集団など借金を抱えた業者は資金繰りのために新たな資金源を探す必要に迫られ、従業員やサプライヤー、顧客にコマーシャルペーパー(CP)や投資信託、理財商品を売って現金を入手する道に走ったという。

 そして、この理財商品を購入した人たちは、さまざまな政府機関に出した嘆願書で、恒大集団が自社プロジェクトに回すべき資金を不適切に利用し、リスクを十分に開示しなかったと訴えているという。

恒大集団の許家印主席が2019年の中国建国70周年式典で堂々と座る姿に惑わされた、とも指摘。嘆願書には「投資家は共産党と政府への愛と信頼から恒大集団を信じ、恒大集団の理財商品を買った」と記されている。 (出所:ロイター)

 こうした民衆の声が大きくなればなるほど当局は態度を硬化させることはないだろうか。「共同富裕」とここ最近の規制強化からすれば、そうではないかと想像してしまう。

 今しばらくは様々な情報に翻弄されることになりそうだ。いずれにせよ、大なり小なり、経済の混乱は避けられないのだろう。