通話アプリ大手のLINEが証券業務から撤退しました。全国に9000万人もの巨大な顧客基盤を抱え、一気に顧客を獲得できるとの期待があったといいます。
ネット証券は寡占化が進み、トップのSBI証券が他を大きく引き話しているそうですが、そこに食い込むこともできず、結果も出なかったようです。
LINEでも無理だった...LINE証券「撤退」が改めて示した、「若者の投資」ビジネスが儲からない理由|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
記事はこの業界の特殊性を解説し,、「証券会社は「回転売買」に手を染めてきた」といい、手数料ビジネスで短期売買でしか利益を得にくい構造があるといいます。
ちなみにLINEは証券業務からは撤退するものの、FX(外国為替証拠金取引)については継続する方針だという。FXの場合、投機的な利用者が多く手数料を確保しやすいことに加え、顧客に資金を貸し付けて売買させる信用取引が中心なので、利子収入も期待できる。(出所:NEWSWEEK)
結局のところ、回転売買で強引に手数料を稼ぐFXしか、LINEに残らなかったといいます。
残念なことです。既存の商慣行にすがり、新たなサービス開発も、斬新なビジネスモデルもなかったということでしょうか。
ネット証券で独走SBI証券
この業界の後発だったSBI証券が国内首位に立てた背景には、「最も優れたサービスにユーザーは集中する」との考えがあったそうです。
“Winner takes all”だから顧客中心主義で経営する ~先輩経営者の金言 #1~
ユーザー視点で最も価値のあるサービスを作ることが重要で、「顧客中心主義」を徹底し、他社より優れたサービスを提供し、ユーザーが集まるような合理的な取り組みを実施しなければならないと解説しています。
株式売買時にユーザーが支払う手数料を他社より低く設定する
最も多くの金融商品を揃える
運用商品では最も高い金利を提示する
他社よりもシステムが安定的に運営されている (出所:NEWSPICKS)
LINEが得意であるはずの領域をSBI証券が先んじていたということなのでしょうか。
SBIの強み
SBIグループの創業者は北尾吉孝氏。野村証券に入社し、異例なキャリアをたどり、その後、ソフトバンクに転じ、SBI(SoftBank Investment)として独立します。
SBI北尾吉孝の「成功への道」──天命に向かって努力する | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
「君子は義に喩り小人は利に喩る」という言葉もあります。正しく生きようとすること。そして人間性を磨くことです。そうすれば、他を利することにつながる。そして、いつかそれは自分に戻ってきます。時間はかかり、すぐには報われないかもしれない。(出所:Forbes)
こうした北尾氏の考えがSBI証券の経営に活かされているのでしょうか。
「人間万事塞翁が馬」、失敗が良い結果を後に生んでくれるかもしれないと考えべきと北尾氏はいいます。
「だから結果がダメでも、クヨクヨしない。ただし、そのままにはしない。何がいけなかったのかを考え、次につなげる。そして、天が自分にこんな機会を与えてくれたのだと、前向きにとらえてみる」といい、「これこそが、人生で成功を収めるうえで、最も大事な考え方」と語っています。
この考えが、LINEの経営者も知っていたなら違った結果になったのかもしれません。
仕事においてこの考えを活かすことができるのなら、キャリア形成に役立ちそうな気がします。