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【テスラ変調か】幹部が退職し、株価は下落。それでもマスク氏のビジョンは拡がる

 

 米国では、テスラをはじめとする話題の会社の株価が高値から大きく下落しているという。期待以上に高値にふれれば調整があってもおかしくはないのだろう。

 一時のポジティブなニュースばかりでなく、ネガティブなニュースも散見されるようになってきた。テスラに何か異変が起きているということはないだろうか。

 テスラの経営幹部のひとりだったジェローム・ギレン氏が6月初めに退社したという。ロイターによれば、そのギレン氏が大量のテスラ株を売却しているという。

マスクCEOと共にテスラの経営を支えた幹部4人の1人だったギレン氏は、2010年にテスラの「モデル3」のプログラム担当として入社、今年3月から大型トラック部門の責任者を務めていたが、今月6日に退社した。  (出所:ロイター)

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 ギレン氏が去ったことで、テスラの電動トラック「セミ」や電気自動車(EV)向け新型リチウムイオン電池「4680」の今後の計画について、市場の一部では懸念する声が出ているとロイターはいう。

 

 そのイーロン・マスク氏が手がけるもう一つの会社、トンネル掘削会社The Boring Company (TBC)でも少しばかり変調があるようだ。

 engadget日本版によると、掘り進めるトンネルの幅をこれまでのように、約3.65mだけではなくその倍近い約6.4mのトンネルもあるという。貨物コンテナを余裕を持って運べる専用輸送路を作り、バッテリー式貨物運搬車を走らせる構想ではないかと指摘する。

japanese.engadget.com

 TBCの当初の構想には貨物輸送も含まれているから、不思議ではないというが、TBCが進める「Loop」という新交通システムが当初言われたほどの将来性はないとの雰囲気が支配的になりつつあるという。

 ラスベガスで作ったトンネル・システムが当初の計画通り進んでいないことを考慮すれば、こうした憶測があることも当然なのだろう。

渋滞回避用トンネルでなく、貨物輸送用としてであれば、物流の円滑化と、そのぶんの主要道路の交通渋滞の軽減に貢献できると予想され、TBCもより多くの顧客を得られるかもしれません。 (出所:Engadget日本版)

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(写真:テスラ)

 マスク氏は、テスラのCEOを辞することは考えていないのだろうか。アマゾンのベゾス氏のように一線から身を引いてもいいのではなかろうか。経営がある程度、軌道にのれば、その道のプロに任せてみる策もあってもよさそうな気がする。テスラ生え抜き社員でもいいだろうし、自動車業界に詳しいプロの経営者でもよさそうだ。その方が、意外に自動運転も実現の方向へ加速するかもしれない。ギレン氏退職のニュースを読んで、そんなことを感じる。

 

 

 「イーロン・マスクは、フィジカルな世界での新価値創造に挑んでいる。ハードルは高いが、一旦実現してしまえば、圧倒的な競争力を持つことになる」とNewsweekが指摘する。

 記事は彼のビジョンを図解で説明し、「物作り的に成し遂げなければならないことが多い」という。しかし、それはGAFAとは全く異なる世界を目指しているとも言えそうだ。

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イーロン・マスクのゼロベースでいきなり全体最適を考えるようなエコシステムは、オセロのようにたちまちビジネスルールをひっくり返すような破壊的イノベーションの可能性を持っている。 (出所:Newsweek

 ひとつの事業に縛られることなく、挑戦があってもいいのではなかろうか。デジタル一辺倒の世界に変化があってもよさそうだ。

 記事筆者は、イーロン・マスクの生態系に組み込まれることも日本企業の戦略の選択肢としてはあるのではないかという。悪くはないのかもしれない。