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活気づく半導体、新規事業なのか、異業種からの参入

 ソニー・ホンダモビリティが都内で特別イベントを開催し、「AFEELA Prototype」を公開しました。10月28日から始まる「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」では、日本で初めての一般公開となるといいます。

共創する愛着 ソニーホンダ「アフィーラ」が変える自動運転時代のクルマづくり - Impress Watch

 特別イベントには川西社長が登壇し、「AFEELA共創プログラム:仮称」の構想を発表し、モビリティ開発環境のオープン化について語ったそうです。

 

 

 走るスマホのような「AFEELA」も他のEV同様、様々なECU 電子制御ユニットが搭載され、半導体が多く使われます。 今の半導体のスペックでは、いくつかの半導体を使っていくことになるそうですが、今後の半導体の進化次第ではひとつにまとめられる可能性もあるそうです。3nmプロセスのような最先端半導体は無理としても、最適化が見込める領域については、自分たちで半導体を作ってもいくかもしれないと、川西社長が語っています。

 半導体を自製化することで、ものづくりの肝であるQCD(品質、コスト、デリバリー)が容易にコントロール可能になるということでしょうか。

(写真:ソニー・ホンダモビリティ

異業種が半導体製造へ

半導体立国」の再興を目指す日本政府は、国産化を進めようとしています。そんな中、新規事業としてなのでしょうか、畑違い、異業種から新たに参入する企業もあります。

 SBIホールディングスが、台湾のファウンドリー(受託製造会社)力晶積成電子製造(PSMC)と準備会社を設立、日本で車載向けなどの半導体を製造する新たな拠点を立ち上げていくといいます。工場建設を含めた投資額は8000億円規模となるようで、三重県を含めた5カ所程度に候補地を絞っているといいます。

訂正 SBIと台湾力晶、日本の工場候補5カ所程度に 近く決定=関係者 | ロイター

パワーチップは車載向け半導体の需要を取り込むため、まずは線幅45─55ナノ(ナノは10億分の1)メートルのレガシー半導体を手掛け、中期的には28ナノメートル以下の量産を目指す。(出所:ロイター)

半導体国産化

 このプロジェクトが生まれた背景には、過去の教訓があるといいます。半導体業界は頻繁に設備投資できなければ国際競争に負けてしまう、2012年に経営破綻したエルピーダメモリは、技術はトップクラスでしたが、金融面で弱かったと、SBIHDの北尾会長兼社長と語ります。

SBI北尾氏「エルピーダの教訓生かす」 台湾PSMCと日本に投資:日経ビジネス電子版

米国のグローバルファウンドリーズは、アブダビ首長国の政府系ファンド、ムバダラ・インベストメントが力を入れて育て、世界的なファウンドリーになりました。シリコンサイクル(半導体業界における好不況の波)の影響で厳しい状況に直面しても、ファンドが助けたのです。(出所:日経ビジネス

 SBIHDは「金融を核に金融を超える」との方針を掲げているといいます。それが故の半導体への投資なのでしょうか。

 

 

 三菱商事半導体製造事業への参入を検討しているそうです。富士通が売却に動く上場子会社・新光電気工業への応札も視野に入れているといいます。

EXCLUSIVE-三菱商事が半導体製造への参入検討、新光電気応札も視野=関係筋 | ロイター

 三菱商事は、半導体を最終的に完成させる「後工程」に参入することを検討しているそうです。新光電気は後工程が主力で、インテルAMDアドバンスト・マイクロ・デバイセズ)など世界の半導体大手を主要顧客としているといいます。

 回路の微細化が極限まで進んだ、ウエハー表面に電子回路を形成する前工程に比べ、ウエハーからチップを切り出して封入、検査して完成させる後工程は、まだ進歩の余地が大きく、競争力強化に向けて半導体各社が技術開発に注力しているといいます。

経済安全保障、半導体の反グローバル化

 TSMCの創業者 張忠謀氏が「半導体産業においては、すでにグローバル化から遠ざかり、自由貿易もなくなった」との見方を示したそうです。

TSMC創業者、「今後の挑戦は厳しい」 - NNA ASIA・台湾・IT

 また、TSMCにとって今後数年間の挑戦が過去と比べて厳しいものとなるとの考えを明らかにしたともいいます。

 経済安全保障の名の元、資金力が企業が半導体にチャレンジする機会はあるのかもしれません。世界的な企業に育成していくことが求められることになりそうです。

 

「参考文書」

業界の常識を覆すものづくり。半導体メーカーロームの新生産ライン「フレキシブルライン」|ローム株式会社のストーリー|PR TIMES STORY

ソニー・ホンダモビリティ、AFEELAのECU上で動くOSは親会社と一緒に開発 | 日経クロステック(xTECH)