ものごとにはやはりトレンドがあって、はまれば資金も人も集まりますが、そうでないと理解を得るための苦労が続くものです。DX、脱炭素のアンモニア、原子力、半導体、軍需産業、人的資本経営など、例をあげたらきりがありませんが、みな官製トレンドのような気がします。資金や人集めの苦労は多少なりとも軽減されるのでしょうか。
こうした問題の他にも、直ぐに手をつけて解決を図り、社会実装を進めなければならない課題が多くあるはずなのに、それらの動きが遅々としたままのようです。国からの補助金による実証実験は行われますが、その先がどうにも進んでいないように見えます。
食糧自給率の低下、日本の農業の危機
食糧自給率の低下や農業生産基盤の弱体化が深刻な国のリスクとなり、また、その国際化も遅れているといわれます。しかし、農業を守ろうとして補助金を出して助けるとしても育たないという声があります。農業においてもパラダイムシフトが起こるようなイノベーションが必要といいます。いつも聞く話ですが、イノベーションが萌芽することはないようです。
「スタートアップの数が足りない」日本の農業のパラダイムシフト | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
小売とか卸しといったサプライチェーンの仕組を変えていく必要があります。誰が価格を決めるのかなどは、生産者の責任というより社会の仕組をつくる国や事業体の責任だと思うので。(出所:Forbes)
JAを改革するのが手っ取り早そうですが、そこには手がつかず、課題を解決するためにはスタートアップ、点をつないで線にして、それを面にしていく活動をしていかなければいけないといいます。しかし、その数が不足しているという論理になります。
やるべきことが明確になっているのに、肝心要のところでのアクションが起きていないから、一向にイノベーションようにつながっていかないのでしょうか。
脱炭素、地球規模の課題解決
日本が取り組んでいるDXが世界各国でも不可欠になるとし、日本の経験自体が売り物になるとの意見があるようです。
SDGs推進役がもどかしく見てきた日本の現状|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社
研究開発のデジタル変革(DX)は脱炭素や海洋プラスチック問題などの地球規模の課題に挑戦するための基盤になる。素材・製造分野の研究データを環境・エネルギー分野の研究者が解析するといった多面的な分析を支えるデータ基盤が必要だからだ。(出所:ニュースイッチ )
記事は、日本には産学官に蓄積があるといいます。「政策面では研究施策とインフラ整備施策の連携」、「科技政策とベンチャー創出施策の連携」など.......「研究開発面では研究室の実験データと現場の運用データの連携や材料と環境の異分野連携」など.....
事例は積み上がってきているといいますが、成果は見えず、まだ答えのない問題も残っているといいます。
ここでも、やるべきことが明確になっているのに、社会実装が進まないようです。産学官の連携と響きの良い話ですが、その結びつきがアクションを遅くする要因になってはいないでしょうか。
起業家精神に優れた大学として知られる米スタンフォード大学では、政府がやってくれないなら自分でやってみたらいいという感覚があるそうです。
何かうまくいかないことを政府や誰かのせいにするのではなく、自分たちのイニシアティブが政府を巻き込んでいけばよいと。(出所:ダイヤモンドオンライン)
【GWスタンフォード発】日本の起業家が世界で成功するために必要なたった1つのこと | スタンフォード式生き抜く力 | ダイヤモンド・オンライン
記事によれば、スタンフォード大学で長年教鞭を取るある先生は、「スタンフォードは伝統的に分権的であることを大事にしているとし、人は誰にも何も言われずに、自分がやりたいことをやるのが一番幸せだし、それが最大のパフォーマンスを生むに決まっている」と語っているといいます。
同じ環境下にある人が集まっても、同じ様な発想になりがちで、そこからは物事を前に進める原動力が生まれないということなのかもしれません。