Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

バイオテクノロジーにもデジタル、バイオファウンドリが切り拓く脱炭素

 

 最近になって、○○トランスフォーメーションという言葉がしきりに使われるようになってきました。

 それだけ企業の変革が求められているということなのでしょうか。それに加えて、カーボンニュートラル、脱炭素が地球規模の課題といいます。

 エレクトロニクスや電子機器、情報技術の業界団体「JEITA 電子情報技術産業協会」は、「グリーン×デジタル」を進めるといい、業界全体で、サプライチェーン全体のCO2データを見える化するデータ共有基盤の実現を目指していくそうです。

 

 

 ここ最近、バイオテクノロジーの業界にも注目が集まっています。

 ミドリムシユーグレナ社が、ミドリムシからSAF「持続可能な航空燃料」を製造しようと、現在プラント建設を進めるといいます。人工クモの糸のスパイバーは、クモの糸に模した人工タンパク質から強靭な繊維を作るといいます。そればかりでなく、様々な分野にバイオテクノロジーの応用が始まっています。

 化学工業日報によれば、「バイオものづくり」は、従来の化学合成と違い、常温常圧の発酵プロセスで生産でき、省エネ効果が高いといいます。さらに二酸化炭素(CO2)を原料とする水素細菌を使うことで大量の炭素を固定化できる可能性があるため、脱炭素技術として、注目が集まっているといいます。

 この業界でもデジタルは不可避の要素になっているようです。

 神戸大学が中心になって立ち上げたバッカス・バイオイノベーションは、人工的に生物システムをデザインする「合成生物学」を応用して石油代替品や医薬品を製造するバイオものづくりの大規模化に挑戦、「バイオファウンドリ」を目指しているといいます。

 「バイオファウンドリ」とは、目的物質を効率良く作る微生物を開発し、微生物等による有用物質生産に関する受託サービスや自社プロダクトの開発等を行なうといいます。

バイオテクノロジー、デジタル技術(IT・AI)、自動化ロボティクスを統合することで開発サイクル(DBTL)を高速に回転させ、合理的かつ効率的に遺伝子改変微生物の開発が行われます。

たとえば通常の酵母菌は糖を原料にアルコールを生産しますが、酵母菌の遺伝子に人為的に手を加えることで、アルコールではなく、医薬品・香料・化学製品の原料をはじめ様々な有用物質を生産させることなどが既に実用化されています。(出所:ロート製薬

(出所:ロート製薬

「デジタル×バイオ」、バイオの世界でもデジタルを活用し、開発スピードを圧倒的に改善しようとしているようです。

 

 

 「バイオファウンドリ」を目指すバッカス・バイオイノベーションに、ロート製薬の他、島津製作所や総合商社の双日などが出資しているといいます。

「デジタル×バイオ」時代における新たな事業モデル構築を目指すバッカス・バイオイノベーションへ出資~循環型社会の実現に向けて~|ロート製薬株式会社のプレスリリース

 日本にはこれまで統合型バイオファウンドリーが存在しなかったそうです。ロート製薬は、バッカス・バイオイノベーションに出資することで、共同研究に取り組み、最新のバイオ技術・知財を取り入れて、既存ビジネスの領域深化と新規ビジネスへの展開を推進するといいます。

(画像:ロート製薬

 バイオテクノロジーにデジタルを加えることで、バイオエコノミーにさらに弾みがつくことになっていくのでしょうか。

 

「参考文書」

【ディープテックを追え】半導体業界の再現狙う。バイオファウンドリとは?|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

バッカス・バイオイノベーション丹治幹雄社長に聞く(クローズアップ) - 化学工業日報