Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

【DXの社会実装】生産性の向上ために、養豚DX、農業DX

 

 SaaSスタートアップに注目が集まり、乱立するようになりましたが、DX:デジタルトランスフォーメーションはどこまで進んだのでしょうか。課題の生産性改善はどのなのでしょうか。広く社会に影響を及ぼすようなインパクトにはまだ至っていないのでしょうか。

養豚DX

 養豚場の経営支援を手掛ける「エコポーク」が豚肉の流通事業に参入、豚肉の販売を行う専用ECサイトを立ち上げたといいます。提携生産者の豚肉を、精肉や加工肉、ミールキットとして販売し、月6800円からの定期便も受け付けるそうです。

「DXシステムで育てられた農場の美味しい豚肉」を 一般消費者向けに自社ECサイトで提供開始 | 株式会社Eco-Pork

 日本の養豚農家は2000年以降急減しているといいます。2000年11,700軒あった農家数が2022年になると3,590軒、70%も減少しているそうです。それに加え、飼料が高騰するようになり、それに人手不足も加わり、厳しい状況になっているといいます。また、畜産におけるGHG温室効果ガスの排出や大量の水や飼料の消費も課題となっているといいます。

複数の豚をAIで個体識別し、各豚の体重管理や母豚の妊娠状況、分娩予定日、出荷状況などのデータをリアルタイムに可視化するサービスだ。(出所:Forbes)

「エコポーク」はこれまで養豚DXを進め、国内養豚業の約10%がこのDXシステムを使用するようになったといいます。今回はこれに加え、自社ECサイトで、生産者の認知拡大やブランド化、収益力向上を図るとし、各商品のページには、肉の特徴が書かれているほか、「旨味」「甘み」「香り」「口溶け」「柔らかさ」を5段階で評価したレーダーチャートも表示するようにしたといいます。

 また、ユーグレナ社の微細藻類ユーグレナ等を配合した飼料ユーグレナによって育てられた「ユーグレナエコポーク」も販売するそうです。ユーグレナの飼料を給餌すると飼料の摂取量を抑えることができるといいます。

 多くの課題のある養豚業であったから成立した「DX:デジタルによる変革」なのかもしれませんが、他の産業においても参考になるケースのような気がします。

農業DX

 野菜農家も同じような課題を抱え、担い手の高齢化や減少が進み、安定供給を危惧する見方も少なくないといいます。また十分な収益を得るのが難しく、それが「持続可能な農業」への課題になっているそうです。

「持続可能な農業」へ刷新できるか 産直販売サイトや輸出拡大に活路:時事ドットコム

 農家と消費者を直接つなぐオンライン販売「食べチョク」を運営するビビッドガーデンが急成長しているようです。

 記事によれば、登録消費者数は20年1月の約1万人から、23年2月に約80万人に増加、生産者も約8200軒、商品数は約5万点となったそうです。

 一方、注目が集まった「スマート農業」農業DXの進展はどうなのでしょうか。

AIや5Gで農業の収量倍増、スタートアップの技術も活用 | 日経クロステック(xTECH)

 大手企業や多くのスタートアップが参入しているようですが、まだ実証レベルなのでしょうか。実用化、商用化への課題は明確になっているのでしょうか。

 養豚DXを成功させようとする「エコポーク」の事例は参考にならないでしょうか。疑似的でもあってもいいので製造小売業に近い形態を目指してみてもいいのかもしれません。

 どんなに優れた技術を開発したところで、それが社会実装できなければ意味がありません。生産する農家であれば、生産したものが売れてはじめて生産性が向上するのでしょうし、そのシステムの有用性が証明されるのでしょう。

 

「参考文書」

AIやロボットが農業を変革、異業種が続々参入 | 日経クロステック(xTECH)

「養豚スタートアップ」が豚肉販売 ユーグレナも商品開発 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)