パナソニックが、SaaS型業務アプリケーション群「現場最適化ソリューション」を発表しました。
この「現場最適化ソリューション」は、本事造る(製造)、運ぶ(物流)、売る(流通)のサプライチェーン領域の課題を解決するアプリケーション群だとパナソニックは説明します。
IE(インダストリアルエンジニアリング)とDX(デジタルトランスフォーメーション)の掛け合わせなのでしょうか。
パナソニックによると、製造、物流、流通の現場に存在する多くの課題をネットワークカメラなどのエッジデバイスを通じてタイムリーに可視化し、コンサルタントが分析を行い、業務プロセスの標準・基準値を決めるといいます。標準値に比べて長い作業時間、工数、滞留時間などのムダを割り出し、ギャップを取り除いた上でAIがアシストする新たな計画に基づき最適な業務プロセスを実行することで、現場の業務効率化を可能にするといいます。
おもしろい取り組みだと思いますが、このビジネスにニーズがあるということは、それだけ現場力、現場の改善力が低下しているということなのでしょうか。
日本でDXを導入する際によくあるのが現場の業務プロセスの定義や標準値を策定しないまま、デジタルだけを導入するパターン。
これでは真の経営課題を把握できてない。
そのままデジタル化してもシステム導入の効果が明確にならず、現場の改善も期待できない。 (出所:Impress Watch)
ほんとうなのだろうか。IEやトヨタの生産方式を学ぶことで知り得る知識もないままに、現場の効率化、デジタル化を進めているのでしょうか。
日本の生産性の低さが問題視されるのだから、こうしたニーズはあるのかもしれません。その解決のために、パナソニックがこのビジネスを行なう意義があるのかもしれません。
が、パナソニックにはもっと大きな役割を担って欲しいとも感じます。
地球環境問題に正面から向き合う
GX グリーントランスフォーメーションについて、パナソニックの楠見新社長は、「理想の社会」の実現に向けて社会課題に正面から向き合い、人々の現在と未来の不安の払しょくに貢献していくことといい、その中で、地球環境問題には最優先で取り組むといいます。
パナソニックという会社が目標をもってカーボンニュートラルに取り組むことは当然のこととして、お客様のカーボンニュートラルにどう寄り添っていくのでしょうか。
お客さまとは、企業でもあろうし、また、それは個人だったりするのでしょう。
「パナソニックが、水素を活用して工場で使う電力を全て再生可能エネルギーで賄う世界初となる取り組みを進めている」と、ブルームバーグが報じています。
それによれば、2022年春から開始する予定の草津工場での再エネ化の実証を、23年度までに商用化、将来的には中国や欧州でも販売し、30年に約3000億円の売上高を見込んでいるといいます。
パナソニックが滋賀県草津市にある家庭用燃料電池「エネファーム」を生産する工場に導入する自家発電システムは、水素を使って発電する純水素型燃料電池、太陽光発電、余剰電力を蓄えるリチウムイオン電池を組み合わせる。 (出所:ブルームバーグ)
企業向けだけなのでしょうか。個人向けのソリューションサービスはないのでしょうか。個人としても、こうすればカーボンニュートラルの実現に貢献できるという青写真をパナソニックが提示してくれればとつくづく感じます。
胡散臭いメーカが提案するより、自分たちでそうした製品を持ち、なおかつそのものづくりできるメーカが提案してくれた方がより説得力があるように思えます。
楠見新社長に期待してもいいのでしょうか。