Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

【食の安全保障】肥料高騰なのに、なぜ格安汚泥肥料の利用が進まないのか

 

米国の製造業景況感指数が50.9と前月から1.9ポイント低下したといいます。2カ月ぶりの低下となり、境目である50に迫ってきているといいます。このデータが公表されると、株高にふれたといいます。

 一方で、景気後退懸念は高まり、企業の業績悪化による株安の長期化の警戒もあるといいます。

 FRBの思惑通りにインフレ退治が進めば、物価高に多少なりとも好影響することを期待したいですが、一方で景気減速による悪影響は避けたいとの気持ちも芽生えます。複雑です。

 

 

 他方、天然ガスなどの価格は高止まりのままで、食料の価格に影響する化学肥料もまた同様に高止まりしているといいます。食糧価格の高騰ばかりでなく、食糧危機の懸念が現実しかないともいいます。

食料危機、2023年に深刻に 天然ガス高騰で作れぬ副作用: 日本経済新聞

 肥料の供給制約と価格高騰で途上国を中心に今秋以降、「作れないリスク」が高まるといいます。その影響で来年にかけて食料不安が深刻になる恐れがあると記事は指摘しています。

 農業分野はウクライナ紛争に伴う肥料の供給制約、温室栽培や農業機械の燃料高騰に加え、頻発する異常気象や土壌の劣化などの問題にも直面している。脱炭素社会の実現に向けて、温暖化ガスを排出する化学肥料の効率的な利用や農業生産方法の見直しも迫られている。持続可能な農業生産と食料安全保障をいかに両立するかが問われている。(出所:日本経済新聞

 そんな中、下水処理で生じた汚泥を再利用した佐賀市の安価な肥料が注目を集めているといいます。10kg20円で売られ、一般的に売られている化学肥料の10分の1以下の価格になっているそうです。8月の販売量が前年同月の約3倍に増加したといいます。

佐賀:下水汚泥が肥料に変身:地域ニュース : 読売新聞オンライン

 読売新聞によると、佐賀市は09年から、年間2000万トンの下水を処理する市下水浄化センターで、汚泥の堆肥化を進めているそうです。

下水から汚泥を抽出して脱水処理後、センター内の堆肥化施設に運び、混ぜながら90℃で高温発酵。雑菌や雑草の種を死滅させる。下水臭さなどはなくなり、年間約8000トンの汚泥が肥料1400トンに生まれ変わっている。(出所:読売新聞)

 汚泥焼却処分設備の老朽化に伴い、運営コストや環境への配慮から全量肥料化を決断、約7億2000万円で堆肥化施設を新設したといいます。この施設で作られた肥料は毎年完売しているそうです。

 

 

 国も後押しし、汚泥肥料の普及拡大を目指しているそうです。2015年には下水道法改正で汚泥を肥料などとして再利用することを自治体の努力義務としたそうですが、1年間に発生する計230万トンの汚泥のうち、肥料に活用されているのは1割程度といいます。

 こうしたことが日本が抱える問題ということなのでしょうか。ビジネスとしての魅力は薄いのかもしれませんが、実行すれば、廃棄物を少なくする循環型社会実現に大きく貢献できそうです。手間がかかるのかもしれませんが、それを惜しまなかったのなら、ビジネスとしても大きく育つ素地はあるのではないでしょうか。

 

「参考文書」

9月米製造業景況感が悪化 受注低迷、採用停止の動きも: 日本経済新聞

米国株式市場=大幅上昇、S&P主要11業種全てプラス圏 | ロイター

米国株の見通し、一段と下げ 企業の業績悪化に懸念: 日本経済新聞

野菜の価格高騰 “うんち”が救う!? | NHK | WEB特集 | 物価高騰