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【日本市場への投資】続く厳しい現実、来日したバフェット氏は日本に何を期待しているのか

 

「投資の神様」、米投資会社バークシャー・ハサウェイウォーレン・バフェット氏が来日しました。日本企業に関心を寄せているのでしょうか。それとも円安の今なら投資のチャンスと見ているのでしょうか。

バフェット氏、伊藤忠CEOと面談 日本への投資「資金潤沢にある」:朝日新聞デジタル

 総合商社伊藤忠商事の岡藤CEOと面談したといいます。

「日本市場には非常に魅力があるのではないか」と、岡藤CEOがバフェット氏に問いかけると、バフェット氏は「みんなが投資しないところに投資する」とはぐらかすような言い方をしつつ、「日本市場を見直して投資する」との考えを示し、「資金は潤沢にある」と語ったそうです。

予兆

 そんな中、JDI ジャパンディスプレイが、次世代有機ELパネルの量産化で中国のパネル大手HKC 恵科電子と提携すると発表したといいます。JDIが技術供与してHKCが2025年の量産を目指すそうです。

有機EL、進む中国頼み ジャパンディスプレイ、HKCに虎の子技術供与 - 日本経済新聞

虎の子の技術を差し出して量産を目指す格好で、中国頼みが強まる。(出所:日本経済新聞

 記事によれば、HKCは中国・深圳に本社を持つパネルメーカーで、液晶を中心とするパネル市場で世界3位といいます。有機ELは開発段階にとどまり量産にどう踏み切るか手立てを探していたそうです。なお、HKCには中国政府の関連機関が約2割が出資しているといいます。

重厚長大型の投資をせず、アセットライト(資産圧縮)を目指す」と、JDIのスコット・キャロンCEOは語ったといいます。最新技術を供与し、コスト競争力や販売力に強みを持つHKCで生産することで、JDIはライセンス収入を得るそうです。

「一時代を築いた国内のパネル産業は海外勢に頼らなければ復活の戦略を描けない土俵際に追い込まれている」と記事は指摘します。

 現実的な選択とも思えますし、一方でこれでいいのだろうかとの疑問も残ります。しかし、劣化した量産化技術をキャッチアップするには、こうした手段によって、製造・生産技術の建て直しを図らないといけないのかもしれません。

期待

 新しく誕生した半導体新会社ラピダスは基幹先端技術は米IBMに頼ります。ラピダスの東会長は「日の丸連合では勝てない」と語ったといいます。

 これが現実なのかもしれません。再び海外に学び、また上手に利用できれば、今の弱みをかつてのような強みにできるのかもしれません。それができてはじめて日本の再成長もありそうです。

 もしかしたら、バフェット氏はどん底の日本が復活することに期待、そうなると確信しているのでしょうか。落ちるところまで落ちれば、後は這いあがるしかないのですから。

 

「参考文書」

ジャパンディスプレイが中国HKCと提携、次世代有機ELの量産目指す…共同で工場建設 : 読売新聞

JDIとHKCの提携、「適切な技術管理の検討求める」=西村経産相 | ロイター