中国北京で開かれていた全人代が閉幕しました。習主席が3選となり、また側近たちで固めた人事で、米中の覇権争いが決定的なものになっていくのでしょうか。
中国外相が初会見 アメリカを強くけん制 ロシアとの関係重視 | NHK | 中国
どちらにも事情があって避け得なくなっているのかもしれませんが、なんとか衝突を回避するよう努めてもらいたいものです。
新冷戦なのか
「中国を封じ込めるための『新冷戦』に参加するならば、癒えていない両国の古い傷に新しい痛みが加わることになる。われわれは協力を強化し、世界経済の回復に勢いと活力を注ぎ込むべきだ」と、秦外相が全人代初日の記者会見で、外交方針を明らかにし、日本について注文を付けたといいます。
他国の事情による不毛な争いに巻き込まれるのは損なことのように思われます。中国の主張にも耳を傾けておく必要があるのではないでしょうか。
米国の輸出規制
米国も対抗措置を強化しているようです。中国企業数十社に対する新たな輸出規制を発表したといいます。
米国の国家安全保障や外交政策上の利益に反する活動に携わっていることを理由に挙げたといいます。
米政府、中国企業への輸出規制拡大-事実上の禁輸リストに数十社追加 - Bloomberg
こうした措置により、米国企業は政府の事前承認を得ない限り、エンティティーリストに掲載された企業への輸出が禁止されることになるそうです。
中国からインドへ
こうした動きが見据え、アップルなどの米テクノロジー企業が拠点分散を働き掛けているといいます。中国から他国への生産移管は、観測筋の多くが見込むよりもはるかに速く進む公算が大きいそうです。
アップルのサプライヤー、中国外に生産移管急ぐ-エアポッド製造企業 - Bloomberg
米中の緊張悪化で被る影響を未然に防ぐ狙いといい、アップル製品を生産する中国企業も含め、生産移管を進め、インド生産を検討しているといいます。
「iPhone」を受託生産する台湾のフォックスコンも同様で、インドの新工場に約7億ドル(約960億円)を投資し、現地生産を強化するといいます。中国からの生産シフトをさらに加速することを示唆しているといいます
iPhone生産フォックスコン、インド工場に7億ドル投資へ-関係者 - Bloomberg
今回の投資はフォックスコンによるインド投資としては過去最大級で、中国が世界最大の家電生産国としての地位を失うリスクを浮き彫りにした。アップルなど米国のブランドは、中国に拠点を置くサプライヤーに対し、インドやベトナムなど代替の生産拠点を探すよう圧力をかけている。(出所:ブルームバーグ)
記事によれば、計画はまだ変更される可能性があるそうです。どれだけの時間をかけるかは不明ですが、この流れが主流になっていくのでしょうか。
ただアップルがいきなり中国での生産はゼロにすることはないのでしょうし、引き続き大きな市場である中国向けは現地生産という形態をとるのかもしれません。
その上で、それ以外を中国から他国へ移管するのであれば、次の大きな市場として期待されるインドが注目されるのでしょう。
次の世界の工場
そのインドが中国に代わって「世界の工場」になることはあるのでしょうか。
日本企業もこうした流れに乗り、インド市場に参入していくべきなのかもしれません。またそれを実現するサプライチェーン作りを早めに進めておく必要もありそうです。
「参考文書」
ゼロコロナの傷跡、中国の優位さ損ねる恐れ-出稼ぎ組が職場に戻らず - Bloomberg