欧米など銀行破綻などが相次ぎ「信用不安」の連鎖がまだ払拭しきれていないのでしょうか。
この影響で、スタートアップのエコシステムも打撃を受けることは避けられず、テック企業のバリュエーションの切り下げなどの懸念もあるといいます。
ソフトバンクG株が9カ月ぶり安値、ビジネスモデルへの懸念も - Bloomberg
こうしたことをきっかけにして、これまでのトレンドに変化があるのでしょうか。
長期視点での技術開発
その一方で、これまで委縮していた日本企業に変化が起こり始めているようです。
「事業成長のポートフォリオをつくるとき、従来は3年先ぐらいのタームまでしか考えていませんでしたが、私たちの経営チームは20年くらい先を想定しています」とパナソニックの品田社長はいいます。
パナソニック品田社長×田原氏「経営改革と松下幸之助の精神」:日経ビジネス電子版
その事業が今の世代だけではできなくても、3代くらいに渡ってバトンタッチしていく先を考える。(出所:日経ビジネス)
実際、水素を使用する燃料電池事業では、2040年ごろの事業をどうしていくかを考えるようになっているといいます。
「5年から20年くらいのスパンで経営を見ることが産業界として重要」と品田社長は指摘し、「事業で言えば、30年までの間にはほとんど何も回収できない。実際には30年から40年にようやく回収し始めることになるでしょう」といいます。
エネルギーのサステナビリティー(持続可能性)におけるレジリエンスの実現には、損得の問題ではなく、国民全体や、日本という国がどれだけ発展していけるか、という一段も二段も高いレベルのパーパスがあると思います。(出所:日経ビジネス)
短期思考から脱却し、長期で技術開発し、事業計画を考えるようなってきたのでしょうか。また、家電メーカというかつての括りが陳腐なものとなり、新たな業界へと再編が進んでいくのでしょうか。
未来志向
他方、「未来志向」は危険な賭けとの意見もあるようです。
米国のハイテク企業がこの数カ月で、従業員の大量解雇に踏み切り、社運を賭け進めてきたプロジェクトが頓挫しかねない事態になりつつあるといいます。
記事によれば、アマゾンでは、創業者ジェフ・ベゾスの肝いりだったプロジェクトの「アレクサ」やドローン、無人店舗に関わるチームが解雇の対象になり、グーグルでも、創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが支持していた自律走行トラックなどの事業にメスが入ったといいます。
「儲けを出せる部署にいないかぎり、生き残るのが難しい時代になりました」と記事は指摘します。まさか米国のテック企業もかつての日本企業と同じ道を歩むことになるのでしょうか。
250年企業
パナソニックの創業者松下幸之助氏は「企業は社会の公器」と考え、従業員も会社も社会からのお預かりものであり、自分たちさえもうかったらいいという考え方はなかったそうです。また、事業は250年かけるくらいの気概をもってしっかりやらないと、考えていたことは実現できないとも言っていたそうです。
幸之助氏はそのくらい長い時間軸で社会の変化を見、その時間軸で世の中を良くしたいと考えていたといいます。
10年後の技術部門はどうあるべきかと問われた小川グループCTOは、エネルギーや食料などといった社会問題に真正面から向き合うべきとし、「長年くらしに寄り添ってきた我々だからこそできる価値提供がある」といいます。
パナソニックHD、社内技術を発掘 スタートアップ続々 - 日本経済新聞
顧客や社会に役立つものであれば、信念を持って「成功するまで続ける」。
眠っている「商売の種」をフル活用して、次代を支える商品を生み出す。現状に満足せず新たな「お役立ち」を世に問い続けることこそがパナソニックHDに求められている。(出所:日本経済新聞)
さて、委縮した日本企業が再び光輝き、世界舞台で活躍することはあるのでしょうか。