グローバルサウスの盟主にのし上がりつつあるインドに熱視線が集まります。米中が対立し、中国のポジションが少々揺らぎ始めているのでしょうか。それにとって変わるように、インドが次の主役としての地位を虎視眈々と狙っているようにも見えます。
締め付け
インド政府が中国企業への締め付けを強めているように見えます。
中国BYD、インド投資計画中止へ EV生産巡り=関係筋 | ロイター
世界的に大躍進する中国のEV 電気自動車大手のBYD(比亜迪)が進めていたといわれるインドでの投資計画が棚上げになったようだといいます。
記事によれば、インド政府からの厳しい審査に直面したことが背景といいます。
BYDとメガは4月、インドでEVを合弁生産する提案書を同国政府に提出。ただ、最初の審査段階で、外務省と財務省を含む3省の高官がBYDからの投資に安全保障上の懸念を示し、反対の立場を示唆したという。(出所:ロイター)
ただこれだけにとどまらないようです。インド当局が、中国スマートフォン大手の小米科技(シャオミ)のインド法人の資産555億ルピー(約940億円)を差し押さえたといいます。シャオミが外国為替管理法に違反して不正な海外送金をした疑いがあるそうです。
中国スマホ制覇の時代終焉か。インド当局、シャオミの凍結資産約940億円を没収に | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア
記事によると、シャオミは2014年にインド市場に参入し、17年には韓国のサムスン電子を抜いてシェア1位に躍進、シェア20%を確保したといいます。また、シェア3〜5位も中国メーカーが占め、vivo、OPPO、realmeの順になっているそうです
インド政府は、シャオミなど中国のスマホメーカーに対し、インド事業ではインド国籍を保有する役員を任命し、インド資本の株式パートナーを求め、中国スマホメーカーは今後、新たな課題に直面することになりそうだと記事は指摘しています。
米企業、インド進出再び
一方、米企業のインド進出が活気づいているのでしょうか。米アルファベット傘下のグーグルは、インドでのスマートフォン「Pixel(ピクセル)」の製造に向けインドで組み立てるパートナーを探しているといいます。
アップルに倣え、グーグルもインドでスマホ製造目指す-関係者 - Bloomberg
記事によると、グーグルが協議している提携候補の企業は、インド国内の製造業を後押しするためモディ政権が打ち出した、生産連動型の金融優遇措置の対象になっているそうです。先行するアップルと同じ手法を利用しているといいます。
モディ政権は世界的なテクノロジー企業にインドを中国に代わる製造拠点として売り込んでいるといいます。
そのモディ首相は米国を6月に訪問、バイデン大統領とともにホワイトハウスで、アマゾンやグーグルの経営幹部と面談、その後、アマゾンは投資計画を発表したそうです。2030年までにインドに150億ドル(約2兆1600億円)を投資するといいます。
日本企業
スズキ、ダイキンなどを始め、すでに多くの企業がインドに進出していますが、もっと活発になってもいいのではないでしょうか。
インドでビジネスをすることは簡単ではありません。確かに課題だらけです。が、足りないものがたくさんある分、市場が広がる、伸びる可能性を秘めています。(出所:NEWSPICKS)
この先、グローバル・サウスが成長し、GDPトップ10に多くの国がランクインするようになるといわれます。一方、日本は2075年に、トップ10から陥落すると予測されているそうです。そうならないように積極的に進出すべきではないかとの意見が強くなっているようです。
そんな中、花王が中国での紙おむつの生産を終了させ、国内回帰すると発表しました。
花王、中国での紙おむつ生産終了 構造改革費用600億円 - 日本経済新聞
昨今の情勢からすれば中国撤退との判断は適切なのかもしれませんが、それだけで終わらせてよいのでしょうか。グローバルサウスへの進出をどう考えているのか、気になります。
「参考文書」
インド、あくまで「我が道」 西側の準同盟国にはならず - 日本経済新聞
アマゾン、インドに2.1兆円追加投資-グーグルは技術センター開設へ - Bloomberg