Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

長期化する上海ロックダウン、長引くリスク、また目詰まりするサプライチェーン

 

 ゼロコロナ政策を行っている中国がオミクロン株の対処に苦慮し、その影響が広範に広がっているという。ロックダウンが続く上海や吉林省では、外出が禁止されている住民に食料が行き渡らず、医療体制も不十分で、市民らは当局に怒りをぶつけているという。

中国の習主席、「ゼロコロナ」緩和せず-上海では住民の不満あらわ - Bloomberg

局地的なロックダウン(封鎖措置)を行う動きがt中国全土に広まり始め、ウォールストリートジャーナルは「上海の状況がより広範囲に及ぶ対応の前兆」とし、世界第2位の経済大国にとって足かせとなる可能性もあるという。

 

 

 その上海で、EV電気自動車を生産しているテスラも甚大な影響を受けているという。1日当たり約2100台を組み立てるテスラの上海工場では、3月28日に操業停止となって以降、約3万9900台の生産が失われた計算になると、ブルームバーグは指摘する。

テスラのEV生産4万台近く落ち込みか、上海都市封鎖開始から約3週 - Bloomberg

 こうした状況はテスラのみならず、多くの企業の広がり、また、地域や業界を問わないという。

一部の工場経営者は、従業員を外界と遮断する「クローズド・ループ」式の運営方法を駆使して何とか乗り切ろうとしているものの、操業継続は日に日に困難になってきたとの泣き言も聞かれる。感染力の強いオミクロン株の拡大を抑えるため、各地域で講じられた規制措置の厳しさゆえに、原材料の調達や製品出荷がままならないからだ。(出所:ロイター)

アングル:中国ゼロコロナ発の生産物流停滞、世界の供給網に波及 | ロイター

 中国当局は、港湾と空港の終日稼働や、クローズド・ループ式操業の推奨を通じて、感染防止の規制がもたらす負の影響を和らげようとしているというが、コンテナ取扱量世界最大の上海港に入るのを待つ貨物船の数は、4月初めから2倍以上に増え、1年前に比べると3倍近くに上るとロイターは報じている。

 グローバルサプライチェーンにとっては苦難が続く。

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 米アップルもその影響を避け得ないのだろうか。ロイターによれば、アップルのサプライヤーであるペガトロン(和碩聯合科技)も上海と昆山の操業を止めているという。

 こうしたこともあってのことだろうか。アップルは、インドで「iPhone13」の生産を始めたという。中国のサプライチェーンへの依存を減らすそうだ。

アップル、インドでiPhone13の生産開始 | ロイター

 アップルはこの他にも、インドで「iPad」の組み立ても計画しているという。

 リスクを避け、サプライチェーンの見直しは加速していくことになるのだろうか。

 

 

 もうひとつのリスク、長期化するウクライナ危機の影響の範囲も広がっている。

 化学工業日報によれば、自動車部品や半導体、医療など幅広い用途で利用される産業ガスのヘリウム不足が深刻化しているという。

ヘリウム不足が深刻化、大陽日酸は供給半減要請 - 化学工業日報

 国内2番手で推定シェア約25%の大陽日酸は、4月から供給量を半分以下に削減する依頼を顧客に進めている。(出所:化学工業日報)

 一方、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井社長は、休業しているロシア国内の店舗について、ウクライナ情勢を見極めながら継続に向け判断していく考えを示したという。

ファーストリテイリング 今後のロシア事業継続 情勢見極め判断 | NHK | ウクライナ情勢

 ウクライナ情勢の緊迫化が長期化すれば、柳井氏の判断にも影響することになるのだろうか。