隣の大国と切磋琢磨し経済で競い合うが互いにとっても最良なことではないかと思ったのも、もう過去のこと、雌雄は決してしまい、経済力では大きく溝を開けられてしまいました。
そうでもあるにもかかわらず、いまだ対抗心や敵がい心のようなもの抱いていないでしょうか。それは政治に限ったことなのかもしれませんが。
しかし、それが「経済安全保障」という形で、企業活動にも影響しているのが現状なのでしょう。
変質するサプライチェーン
我々から見た顧客の経済圏が米国系と中国系で分断するかもしれない。その中でも双方に製品を提供できる状態にしたい。そのためには供給網を複線化するしかない。(出所:日本経済新聞)
米中分断、供給網複線化でリスクに備え 村田製作所の中島規巨社長: 日本経済新聞
スマートフォンなどに使用される電子部品で世界首位の村田製作所の供給網 サプライチェーンはこれまで中国に偏りがあったといいます。その対策として、東南アジアで新工場の建設や工場の拡張、日本においても、設備投資を続けているそうです。
中国で生産をやめて他地域にシフトするわけではない。中国での投資も進めている。
村田のサプライチェーンの複線化路線は、スマートフォン世界最大手のアップルの調達方針にも適合するものなのでしょうか。
「Go West」、インド、そして、アフリカ
米アップルがこれまで中国に集中していた「iPhone」の生産の一部をインドに移しています。これについて、「23年にも人口が中国を抜くとされるインドは市場としても生産地としても有望」と村田製作所の中島社長は指摘します。
「この先、アフリカも台頭してくるかもしれない。それらがどちらの経済圏になるかを踏まえて決めていくことになるのではないか」といいます。
国際分業からバーチャルな垂直統合
そのアップルは、キーデバイスの自製化を加速しているようです。半導体に続き、ディスプレイも切り替えるといいます。
アップル、自社製スクリーンを24年に利用開始-サムスンに痛手 - Bloomberg
記事によれば、まず、来年末までにスマートウオッチ「Apple Watch」の最上位モデルでディスプレーを現行の有機ELからマイクロLEDを用いたディスプレーにアップグレードするタイミングで、自社製に切り替えるそうです。
その後、このディスプレーをスマートフォン「iPhone」など他の製品でも利用する計画といいます。
こうした変更は、部品を自社製に置き換え、製品の設計や機能の制御力を強める幅広い取り組みの一環。同社はパソコン「Mac」でインテル製チップから自社設計チップに移行を進めており、iPhoneでも主要なワイヤレス部品で同様のことを行う計画だ。(出所:ブルームバーグ)
自社製に切り替えれば、あらゆる面でコントロールは容易になり、このリスクの時代にあっては最も適した方式なのかもしれません。ただコストをど返しにする必要があります。しかし、それもまた次の努力で克服は可能とすることもできるのでしょう。
自社製デバイスに切り替えるかといっても、それを自社工場で作ることではないのでしょう。事実アップル製半導体は台湾TMSCで生産されているといいます。
アップルは現在ディスプレイをサムスンやLGの他、ジャパンディスプレイやシャープ、京東方科技集団などから調達しているといいます。こうしたサプライヤーから製造パートナが選べれることになるのでしょうか。気になる選択です。
いずれにせよ、こうしたアップルの取り組みが新たな潮流になるのでしょうか。
「参考文書」
iPhone製造が本格化(インド) | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ
インドからのiPhone輸出が倍増の25億ドル強に-過去最高 - Bloomberg