「空から、世界を進化させる」と謳う日本のスタートアップ「テラドローン」が、世界時価総額2位のサウジアラビアのアラムコ社のベンチャーキャピタル「Wa‘ed」より、18.5億円の資金調達したそうです。
この資金を投じ現地に子会社を設立し、サウジアラビアの石油貯蔵施設のドローン点検を開始するといいます。
テラドローン、アジア初となる世界時価総額2位アラムコのVC Wa’edより18.5億円の資金調達(累計調達126.6億円)|テラドローン株式会社のプレスリリース
サウジアラビアは、脱石油依存型経済を目指しているそうです。ドローンを次の経済成長の柱のひとつに据え、そのためのパートナー企業の選定を行っていたといいます。
「テラドローン」は、世界50社の中から選抜され、約1年半に及ぶデューデリジェンス(企業調査)を経ての採用だったそうです。
世界で通用するために
今回のドローン企業選定のプロジェクトは、2021年10月に始まり、選ばれた50社がプレゼンを行い、それを通過した3社がDDに進むという流れだったといいます。
サウジ国営石油が18億円出資 テラドローンCEOとの間に生まれた共感 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
しかし、プレゼンの席に座って早々、Wa‘edの投資担当者から浴びせられたのは「最近の日本企業はダメだ。昔は世界で闘える大企業があったが、いまは落ちぶれている」といったダメ出しの言葉だった。(出所:Forbes)
記事によると、CEOの徳重氏はその言葉にカッとなり、「こっちはソニーやホンダのような企業をもう1回つくってやろうという気概で事業に臨んできたんだ」と言い返したそうです。この姿勢が先方の担当者に気に入られ、その場に副社長を呼んでもらえ、話しが急展開したといいます。
新産業をリード出来る存在になる事で、日本発のベンチャー企業が世界で通用することをもう一度証明します。(出所:テラドローン)
徳重氏の熱意が相手に伝わり、人を動かしたのでしょうか。その後4カ月間、膨大な事業計画書の質疑応答が繰り返されたそうです。その計画が絵にかいた餅ではなく、確実に実行できるものと理解があったのでしょうか。
ここ最近、日本でもスタートアップの海外展開がみられるといいます。数々の困難を乗り越えてきたテラドローンの実績は、その好例として参考になるのだろうと記事は指摘します。
スタートアップ育成5か年計画
政府は昨年11月、「スタートアップ育成5か年計画」を発表し、5年間でスタートアップへの投資額を現在の8000億円から10倍超の10兆円にし、スタートアップ10万社、ユニコーン100社を創出するという数値目標を掲げたといいます。
小林史明衆院議員、スタートアップ育成計画の真意を語る:日経ビジネス電子版
ただ単にお金をかけ、野心的な目標を掲げれば、その計画が達成できるということはないのでしょう。「テラドローン」のように本気になって実現できる計画を作成しているのでしょうか。
規制改革によって新たなサービスが生まれていきます。既に「アナログなルールを乗り越えられるテクノロジーを持ってきてください」と公募をかけています。(中略)技術を募集して、採用した企業の技術を国の「技術カタログ」に掲載します。すると全国の自治体や公共団体がそのカタログを参考にして実証実験などの手間をかけることなく採用できるようになります。こうした新しい事業の応援と、規制改革を同時に行います。(出所:日経ビジネス)
こういう計画で、日本からユニコーンが100社も誕生することになるのでしょうか。既に絵にかいた餅になりつつあるように思えます。
計画の良し悪しで、目標の実現確度が左右されるといいます。緻密に計画されれば、計画段階で目標の80%が達成できたことと同じという意見もあります。
国の目標もそういうものであって欲しいものです。