Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

国の古くて新しい社会課題、放置されては企業に託される解決

 

「企業は社会課題の解決で価値創出を」と、経済同友会の代表幹事の桜田氏がそう語っています。

 課題が次から次へと沸き起こるからでしょうか。

 コロナ禍が3年間にも及び未だその禍から抜け出る前に、ロシアがウクライナに侵攻し、世界経済へ大きな影響を及ぼしました。また、これをきっかけにして、政治が「安全保障」と声高に唱え始め、次の課題を作り出しています。

「ジオポリティクス(地政学)、あるいはジオエコノミー(地政経済学)、ジオテクノロジー(技術の地政学)と呼ばれるものの重要性が増した」と桜田代表は指摘し、「企業は、技術や生産などがどこでどう行われるのが良いかを分析し直さなければならなくなった」といいます。

 

 

「経営者が経営のことだけを考えていれば良い時代は終わった」、「社会課題を解決していくことに重要な価値がある」ともいいます。

経済同友会・桜田代表幹事 「企業は社会課題の解決で価値創出を」:日経ビジネス電子版

脱炭素社会に向けた取り組みのGX(グリーントランスフォーメーション)や、人権問題、あるいは従業員の満足度や幸福度を高めるEX(従業員体験)なども同じ文脈ですね。企業としてみれば、まず成長と分配ですが、さらに今の時代は「企業の価値」をどう高めていくかが重要になってきたのだと思います。(出所:日経ビジネス

 今さらと感じますが、今からでも遅くないということなのかもしれません。早急に取り組むべきなのでしょう。

 桜田氏は、自身がCEOを務めるSOMPOホールディングスが、介護事業に取り組み、そこで得られる高齢者のデータを生かしたり、ロボットなど新たなテクノロジーの導入を図り、産業の改善にも乗り出していると、その事例を示し、取り組むべき社会課題は数多くあるといいます。

(画像:デジタル庁)

古くて新しい問題

 GX、少子高齢化地政学リスクによる経済安全保障、政府が古くて新しい問題を作っては、企業にその解決をもとめるようになっていないでしょうか。

 硬直した金融政策により結果的には円安が進み、企業物価は高騰し、それが価格転嫁されるようになりました。しかし、日銀の動きは緩慢で、その背景には、低金利で延命されている中小企業や住宅ローン金利への影響などの問題があるといいます。

「日本経済へのカンフル剤と言われた異次元緩和は、今では鎮痛剤を経て麻酔になっている観がある。その結果、今では、日本経済が病気になっていると気が付きにくい。金融政策が問題を見えにくくしている状態になっている」と桜田氏は指摘します。

 失政続き堂々巡りとなって、課題を新たに定義するだけで、一向に前進していないように感じます。

 

 

正解を求めない

「円安はもっとうまく使うべき」と桜田氏はいいます。インバウンドをさらに生かし、日本のGDPの7割を占めるサービス産業を活性化させるべきといいます。

 当座をしのぐという意味ではよいのでしょうが、それで社会課題の解決になるのでしょうか。少子化シュリンクしていく国内市場だけを見ていては、否応なしに限界がありそうです。そこでパイを取り合っていては、成長の余地はありません。

 世の中は必ずしも「正解が生き残る」わけではなく、「生き残ったもの」が正しくなるのだとの意見があります。

データと論理を積み上げて正解を求めるよりも、多様な取り組みを通じて「生き残りに賭ける」ほうがスジが良いということになる。(出所:ダイヤモンドオンライン)

 

 

ペイペイは海外でも使えるようになるのか

 PayPay(ペイペイ)など国内のQRコード決済のサービスを海外でも利用できるようにするため、政府がアジア各国の当局と相互乗り入れに向けた交渉を始めるそうです。

QRコード決済、海外でも まずインドネシアと協議: 日本経済新聞

 記事によれば、まずインドネシアと協議し、シンガポールやタイなどにも拡大していくそうです。日本人旅行者は海外の店舗や屋台などで利用できるようになり、訪日客も現金がなくても日本国内で気軽に買い物などができるようになるそうです。

 ポイント経済圏の競争を醜く感じます。ポイントの乱発で疲弊しないのだろうかと心配になります。国内だけを対象にした経済圏競争ではなく、海外にも広められることはできるのか、それを考えた方が得策なような気がします。

 商品にしろサービスにしろ輸出しなければならないのでしょう。輸出で得た富を国内に還流し、国内を豊かにするとともに不安解消に努めれば、もしかしたら少子化に歯止めをかけることができるかもしれません。

 

「参考文書」

アジアの「介護サービス」を変えるシンガポール企業Homageの挑戦 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

【山口周】が選ぶ「コロナ後の世界をしなやかに生きるために読んでおきたい20冊」 | DIAMOND愛読者クラブ | ダイヤモンド・オンライン