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【経済安全保障】半導体産業復活に多額の税金を投入、そんな日本を世界はどう見ているのか

 

 経済環境が激変しているのでしょうか。GAFAなどのテクノロジー企業の時価総額が軒並み下落しているといいます。世界で企業業績の悪化傾向が強まり、7~9月期純利益は3%減になったといいます。

中間決算ピーク 円安で最高益見通し コスト上昇で苦戦業種も - 産経ニュース

 一方で、日本では、東証旧1部上場の1048社の最終利益の合計が18兆円を超えて、中間期として過去最高となる見通しといいます。歴史的な円安が追い風になった一方で、原価の上昇を招き、製造業では苦戦する業種もあるといいます。金融やITは急減速し、エネルギー・航空は好調だったそうです。

 

 

 そんな中、官民あげて、世界でまだ実用化されていない2ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の次世代半導体を国内で量産する体制を作るといいます。

 半導体技術の研究開発拠点「LSTC」を立ち上げ、半導体製造やIT企業などの出資によって設立される製造会社「Rapidus」が生産を請け負うといいます。2030年までに市場規模100兆円を目指すそうです。

国内8社が半導体製造会社「Rapidus」設立 経産省キモ入り 「10年の遅れ」取り戻す - ITmedia NEWS

 新たな半導体製造会社「Rapidus」には、NTT、NEC、キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンクトヨタ自動車デンソーがそれぞれ10億円、三菱UFJ銀行が3億円を出資したといいます。経済安全保障上、最重要な半導体を国内企業が手を組み生産体制を整えて巻き返すを図るそうです。

 記事によれば、経済産業省は、日本の半導体生産の現状を「世界からは10年遅れ」、「先端ロジック分野では後進国」と評価し、「Rapidus」の設立によって台湾TSMCなどが25年の量産化を目指している2nmプロセス以下の量産技術を挽回したい考えといいます。

次世代半導体の設計・製造基盤確立に向けて(経済産業省)

 経済産業省の意図は理解できないことはありませんが、思い描くように2ナノの市場が成長し、100兆円規模に成長するのでしょうか。まして競合たちがいち早く市場に製品を投入していく中で、何を武器に彼らと闘い、シェアを奪っていくのでしょうか。

 

 

半導体産業の復活に期待したいのが本音です。安易に進めることなく、同時並行に用途開発し、マーケットを形成していくことも求められるのではないでしょうか。

 経済安全保障という名の下、プロジェクトを立ち上げる意義はあるのでしょう。しかし、多額の税金を使うだけに、より現実的で、柔軟な対応が求められるはずです。

 そのためにも、国家ビジョンを明確にしていくことも肝要なことに思われます。

 技術立国、環境立国、省エネ王国に、観光立国..... どれもこれも中途半端になっていないでしょうか。

 どの国にもその国を表す言葉があります。農業大国とか、福祉国家、金融のハブ等々色々あって、世界の工場中国などは最たる例のでしょう。

 さて今の日本は何と表現したらよいのでしょうか。また世界はどんな目で日本を見ているのでしょうか。

 

「参考文書」

世界企業の7~9月、2四半期連続減益 金融・ITが急減速: 日本経済新聞

アマゾン、時価総額が1兆ドル下落 - CNET Japan