「社会のデジタル化は始まったばかりだ。新技術が半導体需要をさらにけん引する」と、半導体製造装置大手の東京エレクトロンの河合社長が経済専門チャンネル「日経CNBC」に出演し、そう述べたといいます。
その東京エレクトロンは2027年3月期までの5カ年の中期経営計画を発表、研究開発投資に総額1兆円以上を投じる方針を明らかにしたといいます。
足元では半導体不足といわれ、様々な産業に影響を及ぼしています。これに加え、さらなる需要増が見込めるということなのでしょうか。
自動車部品で世界2位のデンソーが将来的に自社の半導体部門を分社化する可能性があると、経営役員でCTOの加藤良文氏がブルームバーグのインタビューで述べています。
デンソー、半導体部門の分社化も視野-外部販売に商機とCTO - Bloomberg
車の電動化や自動運転技術の普及に伴い車載半導体の需要は大きく増加が見込まれており、経済産業省の試算によると2030年の市場規模は約8兆7000億円と19年比で倍増する。(出所:ブルームバーグ)
ブルームバーグによると、デンソーは現在、電子制御ユニット(ECU)やインバーターなど自社の自動車部品用に半導体を生産しているそうですが、将来的には外部販売にも商機があるとみているそうです。その際、半導体部門を分社化した方がいいのかどうかスタディーしてみる価値はあると述べたといいます。
米アップルは、年次開発者会議「WWDC」で、世界の自動車メーカ14社と車連携機能「カープレー」を強化すると発表したといいます。
Apple、車14社と連携強化 車載画面がiPhone風に: 日本経済新聞
「カープレー」は「iOS」に搭載されていて、iPhoneと車をケーブルなどで接続すれば、アプリのアイコンが並んだホーム画面を車載ディスプレーに表示でき、アプリを操作できるといいます。
日本経済新聞によれば、この「カープレー」14年から始まったそうで、サービス開始から既に8年が経過し、クルマには当時よりも多くのディスプレーが配置され、機能強化の必要性が高まっているそうです。
このため、23年後半に発表する次世代のカープレーでは、運転席周りのすべての画面に、形状や大きさを問わずiOSのコンテンツを表示できるようにするといいます。
iPhoneと車両の連携も深め、速度計とタコメーターの間に地図アプリを表示したり、アプリと同じ感覚でエアコンを操作したりできるようになる。(出所:日本経済新聞)
クルマのメカニカルな要素がますます薄れていくようです。構成部品の内訳が変化し、半導体など電子部品の使用割合が増えていくばかりなのかもしれません。需要増に供給が追いつかなければ、不足が生じて入手までの時間ばかりが長引くことになるのかもしれません。
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新車の納車までの時間が長引いているといいます。もしそれが不足している電子部品によって生じているなら、デンソーのように、必要な電子デバイスを内製化することは避け得ないことなのかもしれません。
アップルの半導体「M2」登場
アップルはWWDCで、Appleシリコンの次世代チップ「M2」を発表しました。
Apple、画期的なパフォーマンスと能力を備えたM2を発表 - Apple (日本)
アップルによれば、M2は、半導体の5ナノメートルテクノロジーを使用して構築され、M1より25パーセント多い200億個のトランジスタで構成されているといいます。
M2はMシリーズチップの第2世代の始まりであり、M1の驚異的な機能を凌駕します。電力効率の高いパフォーマンスへの飽くなき追求により、M2はより高速なCPU、GPU、Neural Engineを実現しました。(出所:アップル)
こうしたことは、アップルだからこそ成し得る技なのでしょうか。それとも追従する企業が増えていくことになるのでしょうか。
「参考文書」
東京エレクトロン河合社長「技術革新で大きな成長余地」: 日本経済新聞
半導体装置大手・東京エレクトロンが明かした研究開発投資1兆円超計画の中身|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社