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落ち込むGDP、米国の景気減速懸念、円の適正水準はどのレンジか

 

 内閣府が発表したGDP 実質国内総生産の1次速報によると、2022年7 - 9月期の成長率は、4四半期ぶりのマイナスで前期比0.3%減、年率換算で▲1.2%のマイナス成長となったそうです。

実質GDP、7─9月期は4四半期ぶりマイナス 輸入増が影響=内閣府 | ロイター

 内需に底堅さがみられる一方、輸入が増加したことが影響したといいます。輸出は1.9%増で、これに対して輸入は5.2%増となって、輸入の伸びが輸出を上回り、外需寄与度が▲0.7%になったといいます。ただ輸入の増加は、対外サービスにおいて広告費用の大口の支払いがあって一時的とみられているそうです。

 

 

 輸入増に、歴史的な円安による輸入物価の高騰の影響はそれほどに大きくないのでしょうか。

 専門家の中にはインフレ率の上昇と外需の縮小は、今後の引き続き下振れリスクと指摘する声もあります。

 10 - 12月期はインバウンドの増加効果や政府の経済対策で消費もあって景気が支えられそうだといいます。ただそれほどに消費を喚起するほどの期待はないといいます。

 米国では卸売物価指数が発表となり、記録的なインフレが和らぎ、利上げのペースが減速するとの見方からまた円が値を戻し、一時137円になったといいます。

 このレンジの円相場が適正ではないかとの意見があるようです。根拠に「円安は経済にプラス」という「Jカーブ効果」という論理をあげています。

「1ドル=132円」の試算も 日銀が金融緩和を終了したらどうなるか | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

自国通貨安が進めば、短期的には輸入コストが高まり、貿易収支が悪化する。しかし、数年後には徐々に改善が進み、むしろ自国通貨安はメリットに転じる。この効果を「Jカーブ効果」という。(出所:Forbes)

 記事によれば、円安当初は輸入単価が上昇して貿易赤字が増え、その時点では円安はマイナスに見え、今がこの段階といいます。しかし、やがて円安は大きな数量変化をもたし、国内市場では割高な輸入品から割安な国産品へ、海外市場では割安な日本製品が外国製品を駆逐してシェアを高め、日本での生産と雇用、投資の活発化に結び付くといいます。

 

 

 Jカーブ効果には懐疑的な意見もあることを承知したうえで、110~115円程度の円安では恩恵も何もないだろうと記事は主張します。

Jカーブ効果を生むうえで、130円以上の円安に乗せてから数年は必要だと考えるならば、これから円安の恩恵を受けられるフェーズに入る。その前に、あまりにも「円安デメリット」に焦点があたり、過度な金融引き締め政策をとるようなことになれば、昔のバブル崩壊と同じ道をたどる。当時も、「利上げ」によって経済が崩れ、長らく日本経済が浮上できなかった。二度と同じことを繰り返してはいけない。(出所:Forbes)

 日本経済を論じるにはこうした主張があっていいのかもしれませんが、政府・日銀の政策がこうした論理に従ってよいのかには疑問を感じずにはいられません。

人間万事塞翁が馬」、何が正しいのかわかりませんが、ただ経済が再生すれば万事うまくというような論理には無理があるように感じます。国民に我慢を強いて、経済を再生することに何に意味があるのでしょうか。順番を逆にして、人の活動が活発になるようなな目標を設定し、政策をコントロール、その上で経済指標を分析・評価する、その結果を考慮したうえで、再度政策を見直していく、そうあってもよいのではないでしょうか。経済指標から判断し、経済対策を打っても何も変わらなかったことが、これまでではないでしょうか。  

 

 国の成り立ちしてからそうかなのかもしれません。江戸幕府が崩壊し、欧米列強に近づこうと富国強兵に走り、経済は成長したかもしれませんが、忌々しい戦争に向かい、すべてを失いました。戦後は再び欧米に追いつこうと必死にもがき、高度成長を成し遂げ、幾多の苦難を乗り越え、バブルで絶頂期を迎えます。しかし、それが崩壊すると、もう勢いを回復をすることができていません。

 もうそろそろ、経済第一主義から、人を中心した、国に変えていくときになっているように感じます。そうすることで安定的に持続的な成長があるのかもしれません。

 

「参考文書」

GDP年率1.2%減、消費鈍化や輸入増で4期ぶりマイナス-7~9月 - Bloomberg

NY市場 一時1ドル=137円台も荒い値動き“ミサイル攻撃”報道で | NHK | 株価・為替

日本のGDP年率1.2%減 7~9月、4期ぶりマイナス成長: 日本経済新聞