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円安で利益が消失、デザイン家電のバルミューダの嘆き、次なる一手はあるのか

 

 トースターやコーヒーメーカー、ケトルなどデザイン性と機能性を兼ね備えた家電を相次いでヒットさせ、スマートフォンの販売も始めたバルミューダが、円安に苦しんでいるといいます。

 2022年1~9月期決算は、売上高が過去最高だったのに対して、純利益は前年同比83・6%減の4300万円だったといいます。

家電バルミューダ好調だが… 円安で「売っても売っても利益出ない」:朝日新聞デジタル

「売っても売っても、この原価ではなかなか利益が出ない」と寺尾社長が嘆いているといいます。

 販売は国内が7割を占め、生産は中国や台湾など海外で、作った製品を輸入しなければならず、歴史的な円安で原価が膨らんだといいます。

 

 

 朝日新聞によれば、バルミューダの寺尾社長は、製品の値上げについて、今のところ明確な計画はないが、状況次第で、真剣に検討せざるをえないと述べ、「できればやりたくありません」と語ったといいます。

 国内生産についてが視野に入る円安レベルになっていると指摘、また、今後は、円安がプラスに働く海外での販売を広げていく方針といいます。

 記録的な円安に一服感もあるようですが、まだこの円安水準は続くことになるのでしょうか。これを機に、成長期待が望めない国内市場から、海外販売を強化する動きが加速するのでしょうか。

 日本製鉄は、成長市場であるインドへの投資を加速する方針を明らかにしたそうです。

日鉄、印への投資加速 ハジラ製鉄所の高炉新設を近く決定=副社長 | ロイター

 インドについて「鉄鋼でいうと、唯一大きく成長するマーケットとみなされている。足元でも、拡張競争みたいになっている」とし、投資を加速したいと、日鉄の森副社長が述べたそうです。

 

 

 エアコンのダイキンも「インドは今、需要の爆発が起きている」として、この市場において成長を加速させるそうです。

次の「一大市場」に懸けるダイキン、2025年にインドの生産台数を2倍の270万台に | 日経クロステック(xTECH)

インドの人口は14億人を超えており、2023年には中国を抜いて世界最大となる見込み。購買力も高まっている。一方で、空調機の普及率は5%前後と低く、今後の伸びが大きく期待できる。(出所:日経クロステック)

 この経済成長を取り込むため、ダイキンは現地の工場を拡張し、生産能力を現在の2倍に増やす計画といいます。また、ここ拠点として、中東やアフリカへの輸出も視野に入れているようです。気候などの市場の共通性を考慮し、量産効果を生かしてコスト競争力を高めて巨大市場を取り込む考えといいます。

ここで勝ち続けるために、ダイキン工業はインドだけではなく、アフリカおよび中東を巻き込んだ「一大市場」を想定する。人口はインドが先述の通り14億人以上、アフリカも約14億人、中東が約4億人であるため、30億人を超える規模の商圏となる。(出所:日経クロステック)

 

 

 円安によって利益が圧迫され、その対策を考えれば、海外進出を意識せざるを得ません。また「経済安全保障」を念頭にしサプライチェーンの再構築を考えれば、「フレンドショアリング」を考えるべきなのかもしれません。

 成長の翳りも見え始めた中国という選択肢はもうないのでしょう。そうであるなら、フロンティアとしてインド以西に注目が集まることは自然な流れのような気もします。

 バルミューダはこの先、どんな選択をするのでしょうか。それがこの後に続く企業の良き先例になって欲しいと願うばかりです。