Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

【半導体不足とトヨタの挽回生産】見直されるサプライチェーン、TSMCが日本国内に工場も

 

 トヨタ自動車が「12月から挽回生産を検討、部品調達にめど」とロイターが報じている。 それによれば、部品供給の遅れで、8月時点の計画から約40万台引き下げ、今期の世界生産計画も従来の930万台から900万台へ下方修正したトヨタ自動車が、不足している部品の調達にめどがつきつつあるとして、12月から挽回生産を検討していることが分かったという。

トヨタ、12月から挽回生産を検討 部品調達にめど=関係筋 | ロイター

コロナ感染が深刻なマレーシアで半導体工場などが停止した影響が特に大きく、トヨタは減産を迫られた。しかし、前出とは別の関係者によると、トヨタは同国の経済活動が年末にかけて正常化に向かうとみている。 (出所:ロイター)

 来年3月までに計画比で約9万7000台を上積みしたい考えで、部品メーカーなど取引先に生産能力の拡大が可能かどうか打診しているそうだ。

 

 

 30~40万台の減産を決めたトヨタが10万台弱の挽回生産を行う。その挽回数はボトルネックの部品供給数で決まったものなのか、それとも、すべての取引先がこの先、応じることが可能な数量から算出されたものなのか、どちらなのだろうか。

 自動車メーカの減産の主要因と言われた半導体不足は少しは改善されたのだろうか。

f:id:dsupplying:20210612151817j:plain

 NNAによれば、TSMC台湾積体電路製造の劉董事長が「車載半導体サプライチェーンで、買いだめをする動きがある」と指摘したという。

【台湾】車載半導体に買いだめの動き[IT] TSMC指摘、供給確保へ検証も | NNAアジア経済ニュース

劉氏は買いだめの問題を解決するため、半導体を本当に必要としている顧客と買いだめをしている顧客とを判別するよう従業員に指示したと説明した。緊急の需要ではないと判断された企業からの受注を先送りするという難しい判断を迫られる。「一部の顧客は不満を抱くかもしれないが、われわれは最善を尽くさなければならない」と理解を求めた。 (出所:NNA)

 買いだめなのか、それとも適正在庫なのか、難しい判断なのではなかろうか。調達リードタイムが長大化すれば、バッファ在庫を抱えるのはやむなしのはずである。

 

 

 NNAによれば、台湾経済部(経済産業省)の王美花部長(経産相)が「半導体の供給を維持するために、各国は台湾海峡の安全により一層の関心を持つべきだ」と呼び掛けたという。

王氏は「台湾は世界の半導体サプライチェーンにおいて信頼できるパートナーとしての役割を果たしている」と指摘。中台情勢が半導体サプライチェーンに及ぼす懸念に関し「(台湾が安定して半導体を供給できるよう)台湾の安全をより重視するべきだ」と述べた。台湾に半導体産業が集中していることをリスクとする見方には反論した。 (出所:NNA)

 中台情勢への懸念が高まれば、サプライチェーンの見直しがあるのは当然なのだろう。

 国内に、TSMCが、ソニーグループやデンソーが参加する形で、熊本県内に半導体の新工場建設を計画していることが分かったという。政府に説得されたのだろうか。日本政府は、投資額8000億円の半額を補助する方向で検討しているという。

TSMC・ソニー、熊本に半導体新工場 デンソーも参画: 日本経済新聞

TSMCは、計画にデンソーが加わることでトヨタ自動車グループ向けの需要も確保できる。日本政府の手厚い支援策も踏まえ、日本での工場新設に応じたもようだ。近く決定するとみられる。(出所:JIJI.COM

 明らかに国際情勢が変わり、また、世界的に脱炭素を目指すようになっている。サプライチェーンバリューチェーンを抜本的に見直しときなのかもしれない。