Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

なぜ東芝は行き詰ったのか、改革は経営危機になってから行うものなのか

 

 東芝がどういう形で再建していくのか気になります。

何とか危機は乗り越えたものの、上場維持のためになりふり構わず採用した増資と事業売却といった手段が、後に「迷走」の遠因となる。

今では、東芝原発事業などは事実上の国有化し、残りの事業は売り払うといった「東芝解体論」までもささやかれている状況だ。(出所:Newspicks)

 東芝といえば、世界に先駆けてノートパソコンを世に広めるなど、世界のイノベーションをリードしてきた名門中の名門とNewspicksはいいます。

 

 

 経営の混乱の続く中、島田太郎氏が3月から社長を務めています。

【島田太郎】「東芝」がなくなることは、日本の損失だ

 その島田氏は、「コア(中核)事業と呼ばれていても、事業そのものはあくまでも「結果」、本当に大切にすべきなのは、特定の事業ではなく、「世の中にないものをなんでも作る」というコアのバリュー(価値観)」といいます。

「いろいろなものを生み出せる環境が、東芝のコアバリューの源泉ではないでしょうか」と語っています。

「この事業だけをやる会社です」となるなら、東芝の看板を下ろした方がいい。東芝東芝でなくなることは、日本全体にとっても巨大な損失だと思いますね。(出所:Newspicks)

  世界に先駆けて、ノートパソコンの販売を始め、世の中にないリチウムイオン電池SCiB」を発明したりと、それがこれまでの東芝でした。

 一方、東芝が近年、売却した事業がことごと「好調に推移」したり、または「見事に復活」しているといいます。

東芝に売られた事業が軒並み好調な事情:ぐんぐん成長(1/3 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

「医療機器事業」「白物家電」「パソコン」「テレビ」などがその例に挙げられるといいます。

東芝社内に抱え込まれていた間は、「事業の特性や勘所を理解できない」親会社のトップ経営陣の「口は出すけど金は出さない」態度のせいで成長の芽を摘み取られていたのが、東芝の「くびき」を逃れたことで大きく飛躍できるようになったことが分かる。(出所:ITmedia ビジネスオンライン)

 

 

 これまでに会った東芝のエンジニアは様々な分野に挑戦し、結果を出し続けていることに感心されました。それが東芝の競争力の源泉なのだろうと感じたものです。しかし、その多数いるであろう有能なエンジニアを、これまでの経営陣がうまく活用できていないとも言えそうです。

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 エンジニアによって次々と新たな事業が生み出され、巨大コングロマリットかのようになったのはいいけれど、経営側にそれを運営する能力がないというだけのことだったのかもしれません。途方もない成長を追わず、無理して実現できないことを追わなければ経営危機に陥ることもないのでしょう。

 経営危機になって慌てふためき、急いで構造改革するくらいなら、日頃から事業ポートフォリオを見直して、本体から分離することで伸びる事業があれば、積極的に売却するのも手なのかもしれません。その方が、「世の中にないものをなんでも作る」という東芝のコアバリューが活きるのかもしれません。

 右肩上がりの成長戦略を描くことだけが経営ということではないのでしょう。持続的な成長を達成できるよう、毎年毎年小さな改革を実行していく。そのために、これまでとは違った経営指標での判断も必要になるのではないでしょうか。

 

 

 再編策を外部から募集するなど異例の手続きを進めていた東芝が、複数の投資ファンドからその提案を受け取ったと発表しました。

東芝 複数の投資ファンドから再編策の提案 具体的な協議へ | NHK

 パートナー候補との折衝を今後数カ月かけて起こっていくそうです。今度こそ、東芝の復活を期待したいですね。

 

「参考文書」

東芝、経営再建で複数提案を受領 今後「パートナー候補と折衝」 | ロイター