Into The FUTURE

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ますます深刻化する人手不足、AI、ロボットは問題解決に役立っているか

 

 ロイターの8月の企業調査で、「人手不足」が生じていると回答した企業が半数を超えたといいます。企業はデジタル化など省力化の推進や通年採用、賃金引き上げ、定年延長などの対策を講じているが、対応には限界があるとの指摘も出ているそうです。

8月ロイター企業調査:ポストコロナで5割強が「人手不足」、省力化等で対応 限界の声も | ロイター

 記事によれば、特に「石油・窯業」、「建設・不動産」、「サービス・その他」などで7割を超すなどして、人材確保が難しくなっている実態が明らかになったといいます。

 小売りでは「働く人の職業観の変化が根底にあり、現場仕事は人材確保が困難」との声があるそうです。

 多くの企業で賃金引き上げや省力化などに加え、就業環境の向上などに取り組んでいるといいます。労働条件の改善はどこまで進むことになるのでしょうか。

 

 

 岡山市に「AI」による教習所が開校したそうです。「AIで自動車免許が取れる」と話題になっているとForbesが報じています。

岡山で日本初「指導教官不在のAI教習所」開校 安全はどう担保? | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 記事によれば、指導教官が同乗せず、1人で運転練習ができる「AI教習車」を使うそうです。

 その背景には、自動車学校業界における指導教官の高齢化や採用難があるといいます。

人材不足は指導教官の負担増加、高齢者講習の受入難など、社会課題ともなって顕れている。たとえば75歳以上の高齢運転者の免許更新手続きには認知機能検査や高齢者講習の必要があるが、指導教官不足により対応が難しくなっており、平均待ち日数が実に「2カ月半」におよぶ県もある。(出所:Forbes)

「リアルの学びの場でのAIの躍進は進むのか」とForbesはいい、自動補助ブレーキシステム、ペダル踏み違えリスクへの対応など、「逆に人の指導員より安全?」も大きな利点の1つではないかいいます。また、対人ストレス解消にも役立ちそうといいます。

 ただ人に見られている中で教習することで養えることはないのでしょうか。現実問題として、AI教習所の卒業生と、そうでない人の運転マナーや事故率を比較してもよいのではないでしょうか。

 

 

 お惣菜、今ではすっかり定着するようになりましたが、総菜業界もまた人材不足にあえいでいるといいます。食品製造業の労働生産性は特に低く、中でも惣菜関連は機械化が遅れているそうです。総菜の盛り付けは複雑な工程が多く、人手に頼らざるを得ず、食品製造業の労働者約130万人中、およそ半分が惣菜製造に従事しているといいます。

「盛り付けの革新」に挑む惣菜業界 | 一歩先への道しるべ ビズボヤージュ

 そうした中、日本惣菜協会がロボット・AI関連企業のチームを組成し、ポテトサラダの惣菜盛付ロボットシステムを開発し、わずか半年で実用化したといいます。

1ラインに4台を投入し、ポテサラの盛り付け工程の人数を7人から3人に減らすことができました。生産性の向上はもとより大幅な人件費削減効果が可能となり、約2年で投資回収ができる見込みです。(出所:ビズボヤージュ)

(写真:コネクテッドロボティクス㈱ )

 ビズボヤージュによれば、ユーザーチームとソリューション構築チーム15社から成るプロジェクトチームが組成され、現場で使えるソリューション開発が進められたそうです。また、これに並行して、量子コンピュータによる勤務シフト計算とAIによる需要予測にも取り組んだといいます。

 このプロジェクトを率いた担当者は、「技術が最も貢献できるのはコストを下げられる点。これは、長く技術者として生きてきた自分の実感です」と語っているといいます。

 

 

 また、その担当者は、業界共通の困りごとには企業の壁を超えて協力する姿勢が重要といいます。

根底には、渋沢栄一氏が提唱した合本主義があります。すなわち「公益を追求する使命、目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進する」との考え方です。共通課題を抽出してトップ企業が資本を合本することでシステム価格を下げることができ、中小企業にシステムが普及すれば人手不足が解消されます。その結果、惣菜製造業全体の利益向上につながるのです。(出所:ビズボヤージュ)

「みなで助け合うスキームが今後一般化するはず」と担当者は主張しています。

「そこには共感と信頼が不可欠です。それを支えるのが利他の精神にほかならない。自社が成功するのは自社だけの喜びに過ぎませんが、他社も良くなれば数十倍、数百倍の喜びを得られます。ブランドの差別化は競い合えばいい。しかし、協調領域は助け合うべきだと考えています」とも述べています。

 この成功が事例となって他の業界にも拡がり、人手不足の解消とともに生産性の向上につながっていけばいいのでしょう。理解しておきたい成功の秘訣は、利他の精神であり、単独ではなくチームによって遂行されるべきということなのでしょう。これが理解され、普及していって欲しいものです。

 

「参考文書」

惣菜業界初、惣菜盛付工程へのロボット導入、現場運用に成功 ~「惣菜盛付ロボット」を製造工場に4台導入~(コネクテッドロボティクス㈱ )