首都高速道路都心環状線の日本橋区間を地下に移す工事が始まっているそうです。地下トンネルの整備に先立って、江戸橋出入り口の橋桁の撤去作業を進めているといいます。
首都高地下化で見え始めた青空、「地下鉄1両分の重さ」の橋桁一括撤去が進む | 日経クロステック(xTECH)
23年度末には撤去作業を完了させて、地下トンネルの本体工事に着手する予定といいます。地下トンネルは35年に完成予定で、その後、日本橋川上空の高速道路を撤去していくといいます。全てが終わるのは2040年、国指定重要文化財の日本橋を覆う構造物がなくなり、日本橋上空に青空が戻ってくるのはまだ先のことになるといいます。
首都高の日本橋区間が開通したのは1963年12月、1964年の東京五輪を前に建設されました。開通してすでに約60年が経過し、鋼桁の接続部を中心に、構造物全体に疲労亀裂が多数発生し、更新が必要とされていたといいます。
開通当時に便利であったものでさえ、時代変遷とともに陳腐していくということなのでしょう。同じ設備を作って更新するのではなく、時代にあったものに変えていくことはどんなことに言えるのでしょう。
林業もまた同じことがいえるのかもしれません。日本の林業は収益性が低く、昭和40年代からずっと輸入材に押されてきたといいます。木材自給率はここ数年増加傾向にあるといいますが、それでも3割強にとどまっているそうです。
一方で国際情勢が変化して、ロシアからの木材輸入が止まり、また、一方で国のカーボンニュートラル目標実現に向けては、森林を活性化させて、CO2吸収源としてしかなければなりません。
日本国土の7割は森林で、森林所有者が全国で324万人いるそうです。「一歩先への道しるべ」によれば、林業従事者は約4万5000人(2015年)まで減少し、人工林の年間成長量の約4割しか切り出されていないといいます。
森林も高齢化し荒廃が進むと、CO2の吸収量が低下していくといいます。適度に管理がなされ、古い木は伐り出していかなければなりません。
林業経営者が持続可能な森林経営を行い、適切な森林管理によるCO2などの吸収量を、カーボンクレジットとして認証する制度があります。国が取り組む「J-クレジット制度」もそのひとつです。
カーボンニュートラルに取り組むものの、あと一歩の削減ができない企業がクレジットを購入し、削減できずにいた炭素量を相殺する。それによりカーボンニュートラルを実現すれば、企業価値の向上が期待できる。(出所:一歩先への道しるべ)
「一歩先への道しるべ」によれば、21年度末で森林由来のJ-クレジットによる量は全体の2%にも満たないといいます。理由はプロジェクト申請が煩雑であること、森林のモニタリング費用がかかること、プロジェクト初期の収支が取りにくいことなどの課題が挙げられるているそうです。
IT駆使して「森林の経営計画」を策定 | 一歩先への道しるべ ビズボヤージュ
こうした現状に変革をもたらしたいと、「ウッドインフォ」という会社が設立され、林業のサプライチェーンを効率化し、森林情報をデータ化し、見える化しているといいます。
ITを活用して資源量を把握し、それに基づいて持続可能な森林の経営計画を策定する。木材流通の無駄も省いていけば、収益性を上げることができる。(出所:一歩先への道しるべ)
今年9月には日本でも、カーボンクレジットの試行取引が始まるそうです。森のポテンシャルがもっと見直されてもいいのかもしれません。ただCO2の削減をクレジットで売買して、カネによってカーボンオフセットすることがよいことなのかとの批判もあるそうです。その主張も理解できなことではありませんが、クレジット購入が懲罰的な意味を持ち、購入した企業も改善を進め、先々自らクレジットを提供できるようになっていくのが理想なのかもしれません。
社会を支えるインフラなどが、これまでは古いままに放置されることが多かったのではないでしょうか。時代に合わせてアップデートしていくことが求められているのでしょう。