GDPとグリーンGDP、それだけでは知り得なくなった個人の豊かさ
4~6月期のGDP 国内総生産の速報値がは、物価変動の影響を除いた実質の調整値で前期比0.5%増、年率換算で2.2%増になったそうです。
実質GDP、3四半期プラス成長 経財相「先行き不確実要素に注意」 | ロイター
個人消費は前期比1.1%増、3四半期連続でのプラスで、感染症の落ち着きの影響もあって、外食や衣服、宿泊や旅客輸送など対面型サービスを中心に消費が増加したそうです。また、ソフトウエア投資などが増加、企業の設備投資も同1.4%増と、2四半期ぶりプラスになったといいます。
ただ、7~9月期は不透明で、今のところ成長が鈍化する可能性が高いそうです。
内閣府は、これとは別に「グリーンGDP」の試算値を5日、初めて公表したそうです。
1995年~2020年までの期間の日本の実質GDP成長率の平均が0.57%だったのに対し、二酸化炭素などの温室効果ガス排出削減分を考慮したグリーンGDPは1.04%で、実際のGDPを0.47ポイント押し上げた計算になったといいます。
環境考慮の「グリーンGDP」で0.47ポイント成長率上昇: 日本経済新聞
一定期間内、国内で発生した付加価値の総量のことをGDPといい、国の経済規模や景気の動きを見るために活用されます。しかし、環境負荷については加味していないそうです。
一方、「グリーンGDP」は、温室効果ガスなどの排出量が減れば、環境に負荷をかけずに経済成長していると見なして成長率にプラスし、排出量が増えていればマイナスにするといいます。
「グリーンGDP」 とは、これまでのGDP算出の矛盾を解消するために、自然界の様々な要素を加味して算出されるGDPのことを指すといいます。
基本的な概念は「自然界の様々な要素を、何らかの基準で数値化し、価値ある資源として計上する」というものである。多くの場合、人類の経済活動は環境に悪影響を及ぼしているので、GDPに相応の減少分が発生する。これは生産活動によって減価償却が行われるのと似ている。(出所:Wikipedia)
これまでは単純に、より多くの付加価値が生産されれば、それだけ経済は成長していると考えていましたが、この考え方には欠点があるといいます。
Wikipediaは、森林開発を例にして説明しています。森林開発を行えば、木材・パルプ生産や住宅建設などがGDPを押し上げますが、土壌流出など環境破壊が起こっても、GDPには何の影響もないとしていました。この矛盾を解決にするために、「グリーンGDP」の概念が生まれたそうです。
GDPの数字を眺めては汲々とすることをもうやめてもいいのではないでしょうか。価値観が多様化した社会をGDPで評価し、そこから経済対策を実施することに問題があるのかもしれません。GDPで国の経済規模が測ることができても、それが必ずしも個人の豊かさや幸福度を表すことがなくなっているのですから。
「グリーンGDP」、それはそれでよしとしても、個人の幸福度を表す指標値をもっと重要視していかなければらないのでしょう。
「参考文書」
グリーンGDP 試算初公表 環境負荷を踏まえた経済成長率 内閣府 | NHK | 環境