Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

世界的なエネルギー不足、高騰する石油にガス、今冬、電力不足にならないのだろうか

 

 コロナ禍に世界中が陥り、そこからの回復はグリーンと言われていたが、足下の状況は決してグリーンともいえそうにない。

「環境に優しい経済への移行は、安定的なエネルギー供給に支えられる必要がある」と中国李克強首相が指摘したという。一国の首相がそう言わざるを得ない、日常生活に深刻な影響が出てしまうような電力不足が今起きている。

 エネルギー価格が急上昇し、世界が依然として化石燃料に依存していることをまざまざと知らされる。中国や英国で起きているエネルギー不足をみれば、その回避のためには、残念ながら、いまだ化石燃料に頼らざるをえない。コロナ禍の間、あれだけいわれた再生可能エネルギーへの転換が不十分でだったことを思い知らされている。

「現在の状況は、世界のエネルギー供給のぜい弱性を浮き彫りにしている」とウォールストリートジャーナルが指摘している。

 

 

 中国が9月の国連総会で、海外で新たな石炭火力発電プロジェクトは行わないと表明した。世界が二酸化炭素の排出の削減に取り組む中にあって、中国の方針転換は歓迎された。

 IEA 国際エネルギー機関は、この中国の新しい方針に従えば、最大190ギガワットの石炭プロジェクトがキャンセルされ、200億トンもの二酸化炭素の排出が防止される可能性があると推定している。その二酸化炭素の量— 2050年までに排出量をゼロにするEUの目標を達成したときに節約される量とほぼ同じ量だそうだ。

China stopping overseas coal finance to cut as much emissions as Europe going net-zero

 IEAの報告によれば、今後10年間で、クリーンエネルギー投資が3倍必要になり、2030年までに年間4兆ドル近くになるという。そして、その投資の70%が発展途上国で必要になるそうだ。

 途上国での投資分を含め、これだけの投資を先進国が自ら率先して確実に実行できるのだろうか。

 

 

 高騰を続けていた原油先物が昨日は反落したという。中国政府が高騰する石炭価格を抑制する方法を検討していると明らかになったことの影響のようだ。それに加え、電力不足の解消に向け、炭鉱のフル稼働を図ると表明したことの影響もあるという。

原油先物は反落、中国政府の石炭相場介入姿勢で | ロイター

中国のエネルギー問題を解決するには、結局は石炭生産量を増やす必要がある。(出所:ロイター)

 IEAの世界のエネルギー見通しでは、この10年間、不十分な投資により、世界のエネルギー市場はより「混乱」し、価格ショックに直面するだろうと述べていたそうだ。

 政府や民間企業が気候変動に対処するため、より多くのクリーンエネルギーに投資するにつれ、化石燃料の需要が減少することを見越して、石油とガスへの投資は近年減少している。しかし、その一方で電力需要の伸びの指摘もある。より多くの投資がなければ、世界に衝撃を与える不安定なエネルギー価格と不足は、10年を通して標準になる可能性があるとIEAは指摘した。

 そうした現実が今起きつつあるようで、少しばかり不安を覚えるが、相変わらず政治は、こうした危機的状況にはあまり関心がないようだ。衆院選でもさっぱり論議される様子もない。 

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 経済産業省が今日21日、大手電力のLNG液化天然ガスの在庫が約230万トンと明らかにした。ロイターによれば、昨年同時期に比べて約70万トン多く、過去5年間で最高水準となっているという。

経産省では「現時点において需給ひっ迫の蓋然性は低い」としながらも、想定を超える需要増や大規模電源の停止があると「需給が厳しくなる可能性がある」と警戒している。(出所:ロイター)

LNG在庫は過去5年で最高水準、現時点で需給逼迫の蓋然性低い=経産省 | ロイター

 今年の冬の電力需給については、最低限必要な予備率3%を確保できているものの、過去10年間で最も厳しい見通しとなっているそうだ。

 一般需要家に対しては、「無理のない範囲での効率的な電力の使用(省エネ)」への協力を呼び掛けているという。これでいいのだろうか。