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遅れを挽回か、関西に大型蓄電所、東南アジアで加速する太陽光発電の設置

 

 関西電力オリックスが共同で「紀の川蓄電所合同会社」を設立し、関西電力紀の川変電所の敷地内に蓄電所を設置すると発表しました。

 再生可能エネルギーが普及拡大し、今後も拡大していくと予想され、一方で、その弱点を補うためには、電力需要の状況に合わせて、供給力の調整を迅速に行うことが求められます。

関西電力との共同事業、2024年に運転開始 蓄電所事業に参入│オリックス株式会社

 現実に、発電量不足による需給逼迫が起こり、時に供給過多により再生可能エネルギーの出力抑制が発生している事態になっています。

 

 

 オリックスによれば、蓄電所の建設を2022年8月から始めるといいます。定格出力48MW、定格容量113MWhの大型の系統用蓄電池を設置し、2024年の事業開始を目指すそうです。稼働を始めれば、大型蓄電池は電力系統に接続され、電力の余剰時には充電し、不足時には放電することで、電力需給の安定化を図り、電力レジリエンスの強化に努めるといいます。

(画像:オリックス

 カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギー拡大のための施策が実行されはじめたのでしょうか。

 気候変動が世界の課題となり、脱炭素の潮流は日本にとどまらず、東南アジアにおいても同様になってきたのでしょうか。

 石油元売りの出光興産が、シンガポール、マレーシア、フィリピン、ベトナムなどで屋根設置型太陽光発電事業を推進すると発表しました。

Skye Renewables Energy社への出資参画について ~東南アジア地域で屋根設置太陽光発電事業を展開~ | ニュースリリース | 出光興産

 日本経済新聞によれば、東南アジアは火力発電の割合が大きく、再生可能エネルギー由来の電力を調達しにくいといいます。こうした背景があるからでしょうか、出光は「屋根設置型太陽光発電は、産業用・商業用施設や公共施設において、今後急速に普及することが見込まれる」といいます。それだけ脱炭素に関心を持つ地元企業が増え、そうした需要が増しているということなのでしょう。

 出光は、脱炭素目的に加え、エネルギーコストの低減にも期待できるといいます。

 

 

 遠回りをしながらも、ようやくカーボンニュートラルに向けての動きが始まったということなのでしょうか。国内ばかりでなく、東南アジアにおいても同様な動きがあることは評価されてもよいのではないでしょうか。ただ設置される装置のサプライチェーンが気になります。国産メーカ製であることが理想なのでしょうが、実態はどうなのでしょうか。

 出光は昨年10月に太陽電池の生産から撤退すると発表しました。こうした状況になるのならもう少し続けてもよかったのかもしれません。

 現在の気候変動の状況からすれば、遅かれ早かれ、カーボンニュートラルの時代がやってくることは自明だったのではないでしょうか。それなのに現実主義の中で、判断を誤り、開発が遅延が生じたり、早期に事業撤退してしまったことが残念でありません。

 同じ轍を踏むことのないようにしなければならないのでしょう。国の姿勢が問われているのでしょうし、また国と企業の関係のあり方も問われているはずです。いずれにせよ。カーボンニュートラルで世界の先端を行くという気概がなければ、経済状況に変化はなく、厳しさが増していくことになってしまうかもしれません。

 

「参考文書」

太陽光、東南アジアの「屋根」争奪戦 東京電力やENEOS: 日本経済新聞